2021年5月号掲載
コロナ禍のテレワークの増加で「郊外ブーム」と呼ばれる現象が起きる以前から、子育て世代の移住が目立って増えている栃木県小山市。人口約17万人の地方都市になぜ多くの働き盛り世代が集まり、子育てをしているのか、その魅力を探ってみた。
東京へ新幹線で約40分!
人口が増えている都市
小山市には年に約1万人の転入者がいる。転出者も少なくないが、それを差し引いても微増が続いている珍しい地方都市だ。移住者の大多数は子育て世代。「私にも小学生の子がいますが、育児で孤独を痛感しました。パンを買ったり、食べるために立ち寄り、子どもを遊ばせながら子育て世代が情報交換できる場を提供したいと思ったんです」と話すのは、3年前にUターンしてパン屋「OLEA(オレア)」を開業した笠井麻衣さん(37歳)。
店内に子どもたちが駆け回れるキッズスペース、裏庭には遊具を備えたキッズパークまである。また、子育て世代を対象にドライブスルーマーケット、小山市と共催で「焚き火を囲んでおやま暮らしを語り合おう!」といったイベントも頻繁に開催。
ご主人の転職で札幌市から移住したプロブロガーのしょうさん(43歳)は、「私は北海道で子育てとキャンプのブログを書いてきたんですが、OLEAさんの取り組みには感動しました。今は小山市に特化したお出かけ・イベント・グルメ情報を発信しています」と言う。
小山市で若い移住者が増えている最大の理由は東京に近く、新幹線通勤もできることだ。
「今はほとんどテレワークですが、職場が東京駅の近くで、自宅から自転車+新幹線で40分座るだけ。新幹線代は通勤手当では全額出ませんが、駐車場代の出費はなくなりました。小山市の月1万円の新幹線補助金も移住地選びのキッカケになりました」と安田慎太郎さん(34歳)。
中心部から車で20分も走ると、農村風景が広がる。大部分は開発規制の厳しい市街化調整区域だが、再建築可能な分譲地もある。自然が豊かなのに、病院やスーパーへは徒歩か自転車で行ける。このバランスのよさも小山市の魅力だ。
小山市移住支援情報
新幹線通勤定期券補助金や送迎保育も
小山市に住宅を新築した場合は最大50万円、空き家バンクで中古住宅を購入した場合は最大20万円を交付。改修や家財処分の補助もある。新幹線通勤は40歳以下を対象に、月1万円を上限に最長3年間支給。通勤者を対象に、小山駅近くの保育園に集まった幼児を指定保育施設に送迎する取り組みもスタート。
移住定住推進係
☎0285-22-9376
https://www.city.oyama.tochigi.jp/site/iju/
栃木県移住支援情報
都心部との適度な距離感で、テレワーク家族の移住にオススメ
有楽町駅前徒歩1分「とちぎ暮らし・しごと支援センター」では、専属の相談員が栃木の暮らしや仕事に関するさまざまな相談に対応している。ウェブフォームやZoomによる相談も可能だ。この春には、栃木県への移住を検討するテレワーカーを対象とした補助制度「お試しテレワーク推進事業」をスタートする予定となっている。
栃木県総合政策部地域振興課
☎028-623-2233
文/山本一典 写真/鈴木千佳
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