田舎でのお悩みを、田舎暮らしのベテランライターが回答。田舎の汲み取り式のトイレでのよくある「便槽がほぼ満杯」というアクシデントです。その前に簡易水洗トイレについても説明します。
10年前に約100坪の山林を購入。建築の予算が800万円しかないと工務店に相談したら、簡易水洗トイレを勧められました。便槽を大きめにしたので、汲み取りは3~4カ月に1度。ところが、家族が遊びに来る直前、便槽がほぼ満杯なのに気がつきました。汲み取りは2週間先になると言います。結局、敷地の一部で用を足す羽目になりました。
広島県在住 出水さん●62歳
少量の水を流す水洗に近いトイレ
臭くて寒いポットン使所は嫌、かといって水洗トィレに大金をかけたくないという場合、もう1つの選択肢になるのが簡易大洗トィレ(図参照)。し尿を水で流すという点は水洗に近いが、汲み取りが必要なのはポットン使所と同じ。つまり、水洗と汲み取りの中間的なトィレと考えればいい。
用を足すと、排泄物の重みで弁が動き自然落下。さらにレバーを回すか、踏むことで少量の水が流れる。この水だけでは汚れが落ちにくいので、別売りの洗浄ガンがあると便利。これは水鉄砲のような道具で、いつでも便器を清潔に保てる。
簡易水洗には専用の便槽があり、一般家庭用なら施工費込みで6万~10万円くらい。便器を含めて総額12万~25万円程度なので、ローコスト化の大きな武器になる。
大き過ぎる便槽がうつかりミスに
汲み取りは市町村の環境課、または衛生管理組合や衛生処理センターなどが窓口。自治体によって異なるので、移住先で確認したい。
電話すればすぐバキュームカーが来ると思い込んでいる人もいるが、時間はかなりかかる。出水さんは汲み取りのタイミングを誤ったため、せっかく遊びに来た家族とともに野外で用を足す羽目になったのだ。
簡易永沈トイレに流す排泄料と洗浄水量は、1人当たり月100L前後と言われている。ただ、水洗トイレに慣れた都会の人は、1回の使用で何度も流す人が多いことも事実。来客の多い家庭では大きめの便槽がいいと考えがちだが、そうとも言い切れない。3~4力月に1度の汲み取りでは、うっかり忘れてしまうミスが多いのである。
緊張感を保つためにも、汲み取りは1~2力月に1度ぐらいがおすすめ。便槽は2人家族なら300Lの4人槽、3人家族なら約500Lの6人槽を目安にするといい。
定期的な汲み取りが必要だが、見た目は水洗トイレに近い簡易水洗トイレ。少量だが水で流すのでにおいが少ない。洗浄ガン(写真下)も設置すると汚物をきれいに流せる。
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この記事を書いた人
山本一典
田舎暮らしライター/1959年、北海道北見市生まれ。神奈川大学外国語学部卒業。編集プロダクション勤務を経て、85年からフリーライター。『毎日グラフ』『月刊ミリオン』で連載を執筆。87年の『田舎暮らしの本』創刊から取材スタッフとして活動。2001年に一家で福島県田村市都路町に移住。著書に『田舎不動産の見方・買い方』(宝島社)、『失敗しない田舎暮らし入門』『夫婦いっしょに田舎暮らしを実現する本』『お金がなくても田舎暮らしを成功させる100カ条』『福島で生きる!』(いずれも洋泉社)など。
Website:https://miyakozi81.blog.fc2.com/
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