甘酸っぱい初夏の味、完熟イチゴを露地で収穫
掲載:21年6月号
家庭菜園のイチゴは完熟で収穫したおいしさが楽しめます。
畑で育てるほか、プランター栽培にも適しています。
露地での旬は春から初夏。四季成り品種は秋にも実を付けます。
露地栽培向きの品種は、甘味とともに酸味があり、生食だけでなくジャムなどに加工してもおいしいです。
病虫害予防にはニンニクとの混植が効果的。
ハーブ類との混植は、花に集まる虫たちがイチゴの受粉を助けてくれます。
日当たりと水はけのよい畝に!新品種はプランター栽培で
(↑露地で育てるイチゴには適した品種を選ぶ。「サントリーらくなりイチゴ」は家庭菜園向きにつくられた最近の品種。)
栽培イチゴは江戸時代にオランダから日本に持ち込まれ、明治になって本格的に導入されました。
近年では日本で品種改良された品種が、そのおいしさから世界で注目を集めています。
日当たりと風通しのよい場所を好み、過湿を嫌います。
実が土につくとアブラムシやアリ、ナメクジなどが付きやすいので畑では高畝に。
養分のやり過ぎや、密植による風通しの悪さはアブラムシやダニを招きます。
露地では無農薬で育てやすい品種を選ぶのもコツです。
酸味が抜かれ甘さが際立つ最近の品種は、ハウス栽培に適しているため、家庭ではプランター栽培で雨を避けて育ててください。
夏の暑さは苦手ですが寒さには強いです。
ただし冬には弱く、霜で根が持ち上げられたままにしておくと、乾燥して枯れる場合があるので注意を。
多年草ですが、植えっぱなしでは年々花芽の数が増えて実が小さくなるため、1〜3年に度、ランナーの先に付く苗を採って植え付け、更新します。
品種選びのアドバイス
甘味とともに酸味が楽しめる、無農薬栽培に適した品種を選ぶ
冬の寒さに当たって花芽が付き、春から初夏に収穫する一季成り品種と、寒さに当たらなくても花が付き、秋にも実を付ける四季成り品種とがあります。
露地での無農薬栽培には、適した品種を選びましょう。
宝交早生(ほうこうわせ)
1960年に兵庫県で育成され、西日本で人気を博した。
甘さとともに酸味もあり、生食のほかジャムにしてもおいしい。
柔らかい果肉は輸送に適さず、家庭菜園で楽しみたい品種。
(↑粒は小さめで、早い時期から穫れる。)
章姫(あきひめ)
静岡県の萩原章弘氏が育成、1992年に品種登録された。
やや柔らかで酸味が少なくしっかりとした甘味。
(↑縦長円錐形の実は無農薬で育つ品種としては大粒。)
サントリーらくなりイチゴ
病気に強く育てやすい家庭菜園向きの品種。
春から初夏と秋に実を付ける四季成りで、粒が大きく甘くておいしい。
主なコンパニオンプランツ
ネギの仲間のニンニクやチャイブで病虫害予防!
ハーブの花に集まる虫はイチゴの受粉を助ける
ニンニク
効果
イチゴの病虫害を予防し、連作障害を抑える。
栽培のポイント
ニンニクは控えめに植える。ニンニクが多いとイチゴが負けてしまう。
収穫のポイント
春に芽を付けたら切り取ってニンニクを太らせる。葉茎の3分の1が枯れたら掘り上げる。
(↑収穫は晴天が3日続いて土が乾いた日に。)
ボリジ
効果
花がハチやアブを集めてイチゴの受粉率を高める。
栽培のポイント
イチゴの風上など畝の1カ所に植えておく。
収穫のポイント
花を摘んでエディブルフラワー(食用花)として利用。砂糖漬けにもできる。
(↑かわいい花が虫を集め、イチゴの実付きを助けてくれる。)
チャイブ
効果
イチゴの病虫害を予防し、連作障害を抑える。花は虫を集め受粉を助ける。
栽培のポイント
畑にニンニクのない時期に代わりに植え付ける。
収穫のポイント
柔らかい葉を葉ネギとして刈り穫る。咲いたばかりのネギ坊主を摘み、天ぷらやフリッターで食べるのもおいしい。
(↑ニンニクやネギと同じヒガンバナ科ネギ属で、西洋アサツキとも呼ばれる。)
ラベンダー
効果
花がハチやアブを集めてイチゴの受粉率を高める。アブラムシなどを捕食する益虫も集まる。
栽培のポイント
アレロパシー作用※が強く、地植えにするとイチゴをはじめほかの野菜が育たなくなるため、根が鉢の外に広がらないよう素焼きの鉢に入れ、鉢の下半分を畝に埋めて育てる。
※植物がほかの植物の生長を抑える物質(アレロケミカル)を放出したり、または動物や微生物を防いだり、引き寄せたりする効果。
収穫のポイント
花を摘んでドライフラワーにする。
(↑強健なラベンダーは鉢ごと畝に埋めて育てる。)
監修/竹内孝功
たけうち・あつのり●1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『とことん解説! タネから始める 無農薬「自然菜園」で育てる人気野菜 』( 洋泉社 ) 、『 完全版 自給自足の自然菜園12カ月 野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』(宝島社)、『これならできる!自然菜園』(農文協)、『自然菜園で野菜づくり』(家の光協会)、『1 m²からはじめる自然菜園』(学研パブリッシング)など。
WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/
自然菜園スクール http://www.shizensaien.net/
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