全国に広がっている住みます芸人の笑いあふれる地域協力活動にフィーチャーした、「47都道府県エリアプロジェクト(あなたの街に“住みます”プロジェクト)」をレポートする本連載。
今回は、過疎化で賑わいを失ってしまった三重県四日市市(よっかいちし)の商店街を盛り上げるべく、三重県産の素材などを使用した新商品「和プリン」のプロデュースや、地元の伝統的なキャラクターをもとに作られた「中入道さん」を修復に奮闘する三重県すみます芸人・オレンジ田中さんをクローズアップ! 地元の人に喜んでもらいたい一心で地域活性化に勤しんでいます。
三重県住みます芸人
オレンジ田中
おれんじたなか|1978年11月8日生まれ。三重県四日市市出身。ピン芸人。NSC名古屋校5期生。芸歴26年。同期は、ザブングル など。趣味はマラソン。特技はお座敷芸。
住みます芸人歴:2020年10月~
活動拠点:三重県四日市市
主な活動:三重県を地域のみなさんと一緒に盛り上げています。他県への発信に力を入れています。
X(旧Twitter):@orangetanakades
Instagram:orangetanaka
YouTube:オレンジ田中のYouTubeちゃんねる!「てつぶら」
【三重県四日市市】
「四日市市は、三重県北部に位置するまちで、古くから東海道の宿場町として栄え、江戸時代には伊勢神宮参宮の道としても賑わいました。日本最大級の石油化学コンビナート『四日市コンビナート』が有名ですが、近年、人口減少、少子高齢化などによる商店街・繁華街の衰退などの問題が浮上しています」(オレンジ田中さん。以下、省略)
三重だけに見栄をはらずに丸見えで頑張る三重芸人
「僕は中学時代から約10年間いじめられた経験があるんです。でも、お笑い芸人になって、ポンコツな僕でも明るく楽しい日々を過ごせるようになりました。今では警察一日署長までさせていただき、『夢』をテーマに“いじめ防止講演”を各地で実施しています」と、話してくれたのは、いじめという過去を乗り越え、笑いと感動を届ける芸人、オレンジ田中さん。ピン芸人として地元である四日市市を中心に東海圏で活動しています。三重県警津警察署一日署長や三重県いじめ防止応援サポーターに任命されるなど、住みます芸人として精力的です。
| いじめられた経験を笑いに昇華
「いじめられた経験から地元が嫌いでした……。しかし、お笑い芸人になり、地元でイベントなどに出演させてもらうたびに、四日市のいいところや温かい人たちが多いことに気づかされていくんですね。
そんなタイミングで住みます芸人のお話をいただき、三重県住みます芸人に。かつては嫌いだった地元でしたが、今ではすっかり溶け込めるようになったと思います。
なにより両親が喜んでくれました」と、住みます芸人になったきっかけを教えてくれました。
「100㎞ウルトラマラソンが趣味で、コロナ時期を除く11年間で、10大会ですべて完走、2022年度より、みえ松阪マラソン(フルマラソン)のゲストランナーもさせていただいてます。いろいろあったので、逃げ足だけは早いんですよ(笑)。そのおかげで、ウルトラマラソンのベストタイムは9時間46分26秒!
さらに、マラソンのトレーニングでやっている体操をベースに『お笑い健康体操』というオリジナルの体操を考案。地元で体操軍団を作って、みんなで高齢者施設を回ったりもしています」と、自虐ネタを織り交ぜながら続けます。自身の体験談をユーモアを交えて語りながら、夢を持つことの大切さや、困難に立ち向かう勇気を伝えているオレンジ田中さん。いじめ防止の講演は県内外から高い評価を得ており、多くの学校や団体から依頼を受けているようです。
| 地域活性化にも貢献
四日市市で、地域活性化プロジェクトに積極的に取り組んでいるオレンジ田中さん。いったいどんな活動なのでしょうか。
「四日市には『大入道(おおにゅうどう)』という、毎年夏に開催される『四日市祭』という地元の祭りで使われる、伝統的な大きなからくり人形があります。一回、見に来ていただけるとわかるんですが、とにかく大きい! しかも、大入道は首がめちゃくちゃ伸びます! 舌も飛び出します! とにかく圧巻なんです」
観光三重のHPのより
「伝統的な大入道とは別に、その派生で、民間の方が作られた『中入道(ちゅうにゅうどう)』というモニュメントが四日市商店街にあります。実はそのモニュメント、かなりボロボロな状態で、放置されていました。さらに廃棄寸前だったんです。それで、商店街の方から『修復して、四日市のシンボルにできないか?』という相談を受けました。
それだったら、地域のみんなを巻き込んで、みんなで楽しく修復するプロジェクトを立ち上げよう!ってなったんですね」
| 夢を与え、未来を繋ぐ
「実は僕も大入道の存在は知っていたのですが、地元なのにもかかわらず、なぜ大入道が誕生したかなどのルーツは知らない状態……。さらに、中入道がいることすら知りませんでした。なので、関係者を片っ端から取材することからスタートしました。とにかくいろんなお話を聞きに行ったんです。
取材していくうちに、僕のように大入道について詳しく知らない地元の方が結構いるってわかってきました。なので、今は、大入道の誕生秘話などをわかりやすく教えるために紙芝居を作り、若い人たちに大入道の伝統や四日市のいいところを伝えていきたいと思っています。紙芝居は間もなく完成するんですが、めちゃくちゃハイクオリティな出来栄えなので、四日市以外の方々にも見ていただきたいぐらいです!」
地元を巻き込んだ中入道の修復プロジェクト。具体的には、どんな協力者を得たのでしょうか。
「あ! 話がだいぶ脱線しちゃいましたね……(笑)。
修復にあたり、まずは、地元の高校にアポを取り、家庭科(生活文化科)にも力を入れている農芸高校の生徒らと一緒に衣装を作ったりしました。その時々のシーズンにあったテーマで、着せ替えをして、目を引くようにしたんです。シンボルですからね。だいぶ遊び心を加えています(笑)」
「さらに、このプロジェクトが進むにつれて、賛同者がどんどん増えていき、『中入道が好きな食べ物』という設定で、三重県の食材などを使ったお菓子を作ることにもなりました」
「なんと、四日市大学、四日市商業高校と吉本興業の3社コラボです!
商品自体はババロアなんですが、ババロアの知名度が低いことから、名称を『和プリン』に。『みんなの和プリン』という商品名で展開しています。味は、『あおさみるく』『きなこ』『抹茶』『黒ごま』『こしあん』『オレンジ』などたくさん種類があります。三重県はお茶の産地で、海産物も多くとれます。お味噌汁に入れるあおさなどは、全国シェアが60~70%らしいです。学生・生徒たちの発想で、県の特産品=あおさをスイーツに採用してみたんですが、これが美味しい! たちまち人気商品になりました。その収益は、就労者支援施設のみなさんの賃金にしてもらっています」
「商店街で“中入道『みんなの和プリン』イベント”も開催させていただきました。地元の高校のギターマンドリン部の演奏、ダンス部のステージ、大学生によるSDGsのクイズ、地元ミュージシャンのライブなど、様々な人が楽しんだイベントとなりました」
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