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田舎暮らしの本 7月号

最新号のご案内

田舎暮らしの本 7月号

6月3日(月)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

生産性ブルース/自給自足を夢見て脱サラ農家37年(54)【千葉県八街市】

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 6月2日。「今日の天気は我らの人生そのものであった」。

 今日は朝から雨という予報だった。しかし空は全く逆。明るくさわやか。へへっ、得したぜ。そんな気分でランニングに向かう。朝食をすませて庭に出るとチャボの親子が砂浴びしている。親が2羽、その子が2匹。2羽の親は同じ巣箱にくっついて卵を暖めた。卵が孵化したのは1週間前。あまりないことだが、協力し合って子育てし、2匹のヒヨコもふたりの母に違和感を抱かず行動している。小さい体で、深く土を掘って体を埋めた母鳥の、その真似をしているところが可愛いではないか。

 仕事に向かう。この下の写真、果皮は赤、ホクホクで糖度が高く、カボチャとしては特上品という品種である。ツルがだいぶ伸びて来たのでツルの方向を整地してやる。写真の向かって右方向には3日前までタマネギがあった。そこに鍬とスコップを入れ、草と篠竹をきれいに撤去する。

 ちょっとだけ問題がある。このカボチャにマルチを敷き、トンネルを掛けた時には、まだ芽が出ていなくてわからなかったのだが、カボチャから50センチの距離にサトイモとヤーコンが顔を出した。ありゃりゃ、困ったぞ。今となっては掘り取るのは厄介だし、無理に掘るとカボチャの根を傷つけるだろう。3者共存させることにした。カボチャのツルをうまく誘導し、サトイモとヤーコンの間を這わせるのだ。それぞれ、いくらか息苦しいことではあろうが、戦争はしない、みんなで平和共存する・・・大事なことである。

 始めはシャツ姿で作業していた。しかし時間とともに日差しが強く、気温もかなり高くなった。汗を吸い込んで重くなったシャツを脱ぎ、裸で光を受けることにした。少し憎まれ口を。日焼けを気にし、日焼け止めクリームを塗り、日傘を差す「美しき男性」たちよ、裸で太陽光を浴び、泥だらけになって労働し、ドバドバと汗を流したら・・・人生、ちょっとばかり変わって来るよ・・・。ほら、加藤登紀子さんも「ひらり一言」でこう言っている。

朝の光を浴びる、風の中を歩く、波の音を聴く、美味しい水を飲む、誰かと抱き合う!

気持ちのいいことをいっぱいしていると、気持ちのいい人になれる気がする。自然はありがたいね。そこにあるだけで素晴らしい。

 残念ながら、子供時代は波の音がすぐそばにあったのだが、山暮らしの今の僕には聞こえない。しかし、加藤さんは朝の光と限っているが、波の音の穴埋めとして、僕は、朝はもちろん、昼間の強烈な光をも素肌に長い時間受ける。そして思う。自然はそこにあるだけで素晴らしいと。気持ちのいいことが手軽に出来るのが田舎暮らし。でもって、今日の僕みたいに気持ちのいい人になれる。

 午後3時。あと1時間で荷造りが終わるというところで小さな雨が落ちてきた。急いで荷物を軽トラの中に入れようとした瞬間、首をすくめるほどのカミナリが鳴り響いた。おお、なんということだ。雨だとの予報とはまるで違う快晴の空に朝は喜んだ。かと思うと、今度は一転して雷雨。これぞ予測のつかない人生そのものだ。なんとか荷造りを終え、ちょっと口さみしいので何か食べる物を・・・色づいたビワが目に入った。ふるさと祝島はビワの産地だ。ビワ羊羹というのも売っている。子供時代、ありふれた果物、ほっといても出来る強い果物だと勝手に思っていた。だが、ふるさとへの懐かしさでもって25年前に植えた苗木。何年たってもまともな実はならなかった。去年初めて、ビワの木が、悲しみ、泣くかと思うくらいバッサリ枝を切り落とし、内部を明るくしてやった。すると出来た。苦節25年。青空の下、ドッサリの実が風に揺れている。午後5時。荷造りを終え、大工仕事を始めたところで、文字通り滝のような雨が畑をも家をも叩きつけるように降って来た。まあまあ、なんという激しい変化だ、今日の天気というやつは。後でテレビのニュースで知った。東京駅やどこかのショッピングモールですさまじい雨漏りがあったという。そうか、大都会でもか・・・築40年、屋根にシートを掛けた我が家が雨漏りしても不思議じゃないよな。

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