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- 【親子で田舎体験vol.3(前編)】移住したくても移住できない!? 「おしゃれ」で「新しい」田舎らしくない田舎。人口の半分が移住者の人気のまち で“子持ち様論争”を考える|北海道東川町
【親子で田舎体験vol.3(前編)】移住したくても移住できない!? 「おしゃれ」で「新しい」田舎らしくない田舎。人口の半分が移住者の人気のまち で“子持ち様論争”を考える|北海道東川町
執筆者:揖斐 麗歌
こんな学校に通わせたい! 驚き多数の東川小学校を見学
東川町を訪れるにあたって、私がどうしても見学したかったのが東川小学校。約4ヘクタールの敷地のまわりに、12ヘクタールの公園があり、人工芝のサッカー場や野球場、児童たちの体験活動ができる、1ヘクタールの水田、果樹園が配置されているという、驚きポイントが数えきれない学校なのです。
校舎は、学童保育施設や交流プラザ、多目的ホールがある地域交流センターとつながっていて、子どもたちは放課後、外に出ずに学童保育施設に行ったり、敷地内のスポーツ少年団の活動に参加したりすることができます。
また、地域交流センターには様々な世代の町民が訪れるので、自然と町民みんなで子どもを見守っているような雰囲気が生まれるのだそう。
この唯一無の環境を誇る東川小学校の存在が、子育て世帯の東川町への移住の決め手になっているというのも納得です。
東川小学校を訪れてまず驚いたのが、窓からの景観! 写真は地域交流センターのホールからの景色。子どもたちがどこまでも走り回れる広大な芝生の向こうに大雪山国立公園に指定される標高2,000m級の山々が連なっている様は、まさに絶景! こんな風景の中で時間を過ごす子どもがうらやましい!
まちの中心部の一番良い場所に小学校を置いたところから、東川町が、まちの将来を担う子どもの教育を最重要事項のひとつとしているんだなということも伝わってきました。
広い土地があるからこその1階建ての校舎は、端から端までの距離はなんと270m。教室と廊下を隔てる壁がなく、広々と開放感があります。
児童の机や椅子をはじめ、施設内の棚やテーブル、椅子などにはすべて地元の木材を使って町内の家具事業者が作ったもの。地元アーティストの木の工芸品も飾られています。また、北海道出身で世界的に有名な彫刻家の安田侃(やすだかん)氏の作品も設置されており、こどもたちは「本物」を体感して育ちます。
東川町の人口増加の要因の一つになっているのが、2015年に開校した、国内初の公立の日本語学校「東川町立東川日本語学校」です。東川町の小学校では外国人留学生を招いて国際交流授業が行われているのだそう。ほかにも、学童英語クラブや、交流イベントに参加することができます。滞在中、スーパーやカフェでアルバイトをする外国人留学生にたくさん出会いました。日々の生活の中で自然とグローバルな視点が育まれる環境があります。
なんといっても校庭の広さと美しさ! 息子は芝生を走り回ったり、小山を駆け上がったり大はしゃぎ!
敷地内の畑や果樹園で児童が育てた野菜や果物は、学童のおやつや給食に使われるのだそう。1ヘクタールの田んぼで児童が育てるお米は、学校給食の年間の必要量の約半分を賄っているのだとか。
東川町には、東川小学校以外に、生徒数20名~40名の集落に根付いた小学校が3校あります。少人数だから可能なきめ細やかな教育にメリットを感じて、あえて東川小学校以外の小学校の学区を選ぶ移住者も多いのだそう。
小規模学校を統合するようなことはせず、残し続けていることに、東川町が学校を地域において重要な位置においていることがわかります。
それぞれに魅力的な特色ある学校から選べるというのは、子育て世帯が移住するにあたってうれしいポイントです。
東川小学校の見学を終えて、娘のお迎えに。預けるときには大号泣で、一時保育を利用しての体験移住は、娘にとっては負担が大きかったかと心配していたのですが、部屋から娘の楽しそうな笑い声が聞こえてびっくり!
いつでも子どもを預けられる安心な場所を提供することで町内の親子を支えたいと一時預かりの保育サービスをスタートしたという園長先生は、娘があっという間になついたのも納得の暖かい方。すっかり楽しくなってしまってまだ帰りたくないという娘に、「いいのよ」と、閉演時間を過ぎても、娘が満足するまで一緒に遊んでくれて、どこまでも子どもに寄り添ってくださいました。
体験移住で、何度か地域の一時預かりを利用して実感したのは、子どもは親が思っているよりずっと対応力があるということ。そして、新しい場所で、初めてあった人に、愛を持って接してもらう体験が、子どもの自己肯定感と自信につながるということです。
(後編につづく:田んぼの中の絶景のコーヒーショップヨシノリコーヒーへ)
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この記事を書いた人
揖斐 麗歌
いび れいか|東京都在住、宮崎県出身。出版社勤務を経て、2023年子育て世帯と地域をつなぐことを掲げて㈱IBIを設立。6歳の男の子と2歳の女の子の子育て中。田舎ならではの親子時間を目的に、リモートワークをしながら親子で日本各地を巡っています。
Twitter:@oyakodeinaka
Instagram:@oyakodeinaka
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