宮崎県地域再生の最前線『のじりこぴあプロジェクト』
学生と協働で取り組む地域活性化への新たなアプローチ
今、特に力を入れているプロジェクトがあると伺いました。
「小林市の野尻湖畔に『のじりこぴあ』という、僕らが子どものときに遊んでいた施設があるんです。昔はとても賑やかだったんですが、最近は少し寂しくなってしまって……。そこで、昔みたいに賑やかにしたいという思いから、この施設でいろんなイベントを開催しています。
この活動に、宮崎大学の地域資源創生学部のゼミの学生が興味を持ってくれて、2023年末から一緒になっていろいろな活動を、この施設でやっていこうと取り組んでいます。若い世代のアイデアと行動力を取り入れることで、より幅広い層に向けた地域活性化になってくれればいいですね」
「宮崎大学の学生たちと企画した『カエル祭り』のポスターです。残念ながら、天候不良のため、中止になってしまいました……。また、いつの日か開催できると思いますので、そのときはまた、ご報告させていただきます」
地域の施設を再生させる取り組みに、若い世代を巻き込んでいるというのは素晴らしい試みです。このプロジェクトを通じて、どのような変化を期待しているのでしょうか。
「まず、地域の人々、特に子どもたちに、楽しい思い出を作ってもらいたいですね。そして、この施設を通じて世代間の交流を促進し、地域のコミュニティを強化したいと考えています。また、学生たちにとっては、地域活性化の実践的な学びの場になればと思っています。最終的には、このプロジェクトが宮崎の新しい観光スポットとして認知されるようになって、県外からもたくさんの人が訪れてくれるような場所になってほしいなぁって、夢見ています。そうすることで、地域経済の活性化にも貢献できるのではないかと考えています」
「『のじりこぴあクエスト』という謎解きイベントを実施しました!」
地域再生と人材育成、そして経済活性化までを視野に入れた、非常に意義深いプロジェクトを進める嫁恐竜のおふたり。このような活動を通じて、佐藤さんが目指す『宮崎の未来』とはどのようなものでしょうか。
「宮崎を愛し、愛されることをモットーに活動しています。生まれも育ちも宮崎なので、芸人という僕らしかできないことは何かなぁって考えながら活動しています。地域に喜ばれること、それにお笑いをプラスして、まちとみんなを元気にハッピーにしていくという気持ちを大事にしています。とにかくみんなをハッピーにしていきたいんです(笑)。
もっと真面目な話をすると、究極的には、宮崎が若者にとっても魅力的な場所になることを目指しています。都会に出て行かなくても、地元で夢を叶えられる。そんな環境を作りたいんです。
お笑いを通じて人々を笑顔にすることはもちろん、こういったプロジェクトを通じて、地域の可能性を広げていきたいですね。そうすることで、宮崎が単なる田舎ではなく、新しい価値を生み出す場所として認識されるようになってくれると思っています」
スポーツを通じた地域振興!「ヴェロスクロノス都農」の公式アンバサダーに
佐藤さんの活動は、スポーツ分野にも及んでいます。
「先ほどもお伝えしましたが、今年から都農町というところにあるサッカー九州リーグのチーム『ヴェロスクロノス都農』の公式アンバサダーに就任して、Jリーグを目指すお手伝いをさせていただいてます。僕の役割は、チームの認知度を上げ、地域の人々にもっと親しんでもらえるよう働きかけること。具体的には、試合の告知やイベントの企画、選手たちと地域の人々との交流会の開催などを行っています。サッカーを通じて地域が活性化し、さらには宮崎県全体のスポーツ文化の発展に貢献できたらいいですね」
「宮崎駅でヴェロスクロノス都農の選手たちと試合やイベントの告知チラシ配りをしましたー!」
「まずは、ヴェロスクロノス都農のJFL(Jリーグの下の全国リーグ)への昇格に少しでも力になるべく、僕のできる精一杯の力で応援させていただきます!」。スポーツを通じた地域活性化も、地方創生の重要な要素ですね。
「試合前後のピッチ内イベントは、毎回大盛況です!」
教育、空き家、過疎化問題。地域課題への取り組みとは?
さらに佐藤さんは、教育の分野でも活動しているといいます。
「今年度から小学校のPTA副会長を務めさせていただいているんです。プライベートな活動になるんですが、子どもたちが安心して学校に通える環境づくりに取り組んでいます。学校と保護者の橋渡し役として、お互いの意見をしっかりと聞いて、よりよい環境になるようにはたらきかけています。
相方の戸波が元保育士、僕が現在、PTA副会長をしているということもあって、結構子どもに向けたイベントをすることが多くなってきました。芸人としての経験を活かして、楽しみながら学べるイベントができたらなぁと思っています。大袈裟かもですが、子どもたちの笑顔を守ることが、未来の宮崎を支える人材育成につながると信じています」
「『お笑い塾』と題した子ども向けワークショップを行いました。楽しみながら学べるイベントを積極的に実施していきたいです」
佐藤さんが感じている宮崎の課題や、今後の展望について伺いました。
「宮崎の課題としては、やはり若者の流出や少子高齢化の問題が大きいですね。特に田舎の方に行くと、空き家問題が深刻になってきています。これは本当に『どげんかせんといかん(何とかしなければいけない)』と思っています。
そこで今、『宅地建物取引士』の資格取得を目指して勉強しています。なんとか合格して、こういった空き家問題解決の手助けをするのが今の目標です」と、語ってくれました。専門知識を身につけることで、地域の問題解決に貢献したいという強い意志が感じられます。
「地方には、都会にはない魅力がたくさんあります。僕自身、宮崎に戻ってきて、本当に多くの可能性を感じているんです。まだ始まったばかりなんですが、延岡市の駅前商店街の復興をまちの人と一緒にやっていこうというプロジェクトも始まりました。確かに、都会に比べると華やかさは少ないかもしれません。でも、自分の行動が直接地域に影響を与えられる、そんな醍醐味があるんです。これからも、住みます芸人として宮崎県のために精一杯やっていきたいと思います! よかったら、宮崎に遊びに来てくださいね!」
宮崎への深い愛情と、地域をよくしたいという強い思いが伝わってきました。嫁恐竜の活動が、宮崎だけでなく、日本全体の地方創生のモデルケースとなることを期待しています。
この記事の画像一覧
この記事のタグ
この記事を書いた人
田舎暮らしの本編集部
日本で唯一の田舎暮らし月刊誌『田舎暮らしの本』。新鮮な情報と長年培ったノウハウ、田舎で暮らす楽しさ、心豊かなスローライフに必要な価値あるものを厳選し、多角的にお届けしています!
Twitter:@inakagurashiweb
Instagram:@inakagurashinohon
Website:https://inakagurashiweb.com/
田舎暮らしの記事をシェアする