「わくわくスタディー」の挑戦
子ども→『楽しい』、保護者→『宿題も終わらせてくれる』。2つの願いを叶える学習塾
川端さんが現在、住みます芸人として力を入れている企画があるそうです。
「僕も今年で30歳になり、同世代の友人たちが家庭を持ち、子育ての大変さを聞くことが増えました。そんななかで、子どもたちに学びの場を提供し、少しでも保護者の方の負担を軽減できたらと思い、『わくわくスタディー』という、地域の小学生たちが集う学習塾の事業を始めました。
地域の大学生たちが中心となって活動しているNPO法人『ソーシャルデザインセンター』という団体があるんです。彼らは、『まっちスクール』という学習塾を開いているんですが、これに出会うのができたことが大きかったです。小学生のお子さんと一緒に宿題をやる時間がなかなか持てない、共働きされているお母さんお父さんのサポートをする目的で始まった企画で、大学生たちがボランティアで地域の小学生の宿題を見てあげている姿を目の当たりにして、本当に感銘を受けました。その活動を参考にさせていただき、僕も『わくわくスタディー』という地域の小学生の学び場を設けることができたんです。6年くらい眠っていた教員免許が久々に光を放った瞬間でしたね(笑)。今では相方の千田も協力してくれるようになって、2人で子どもたちとふれ合っています」
「わくわくスタディー」の立ち上げには苦難もあったと言います。
「『まっちスクール』の前例を参考にして、『わくわくスタディー』の骨組みがどんどん決まっていきました。子ども目線としては『楽しい』、保護者目線としては『そこで宿題も終わらせてくれる』といった2つの願いを叶える学習塾としてスタートすることになったんです。子どもたちに受け入れられる素敵な学習塾にしていきたいと思って、僕も生徒集めを頑張っていました。
そして、『結ケアセンターいくた』という施設の地域連携室をお借りして迎えた、記念すべき初日。
チーン……。
初回は0人。
なにかを始めることの『甘くなさ』を痛感させられました。すぐに立て直しを図らないとってなりましたね。まずは、ちゃんと知ってもらうところから始めないといけないなって……。
なんとか子どもたちに来てもらえるよう、まずはチラシを作り、地域の子どもが集まるイベントで配らせてもらったり、近隣の小学校の校長先生にお願いをして、学校で配ってもらったりしました。さらに、ソーシャルデザインセンターさんにも協力をしてもらい、周辺地域の回覧板にもチラシを入れてもらったりしたおかげで、告知のレベルがアップしました。そういった工夫をいろいろ重ねていった結果、毎週子どもたちが来てくれるようになりました。この経験はいい学びだったなと思います。
また、チラシの一部は『わくわくスタディー』に通ってくれている子がいくつか添削してくれています。子どもたちにも学ばされていますね(笑)」
芸人ならではの学習塾とはなにか?
川端さんは、芸人としての特性を活かし、子どもたちが「行きたいと思える場所」を作ることを目指しています。
「『わくわくスタディー』は学習塾というジャンルになりますが、勉強を教えることに重きを置きたくないなと思っています。僕も教育学を学んできた身ですが、既存の塾のほうが教えることへの設備やノウハウがしっかりしています。また、学校の先生は自分で解く力や考える力を育めるプロですし、それに十分な時間もあります。
で、あるとき、『芸人である僕ができる学習塾はなにか?』っていうことを考えていて、“『行きたいと思える場所』をつくること”じゃないかと思ったんです。そこから、『わくわくスタディーに行きたい、そこでなら勉強もしたい、勉強楽しいかも』って思ってもらえるように、勉強を嫌いにならないような学習塾になるよう心がけていきました。勉強が好きになったら、その子はかなりの学力アップも期待できるのではないかって思うんです。僕自身も子どもたちの成長が楽しみなんです」と川端さん。勉強を楽しいと感じられるような環境の提供を目指しているようです。
地域に根ざすコミュニティの形成
今後の「わくわくスタディー」の展望や、さらなる目標について伺いました。
「今、『わくわくスタディー』に通っている子どもたちは、『わくわくスタディー』の時間外でも、グループとして仲良く遊んでいる様子です。出会いはこの『わくわくスタディー』。学年もバラバラな子どもたちが一緒に遊んでいるんですよ。彼らのコミュニティを1つつくることができたというのが、うれしいです。すごくやりがいに感じています。今後、保護者の方のコミュニティにもなれるような何かができたらなと画策中です。
さらに、子どもたちから、『新しい子は入ってこないの?』としばしば言われることもあります。僕自身も、新しいコミュニティを広げてほしいと思っているので、なんとか通ってくれる子どもを増やしていきたいと思っています。チラシ配りは継続しつつ、さらに近隣の小学校で、なにかおもしろいことができないかと考えています。当面の目標はこのような感じです。
子どもが楽しい街、住みたくなる街であることに一役買えたらうれしいですし、少しの時間ではありますが、僕が子どもたちを見る時間が保護者の方のやすらぎの時間になればと思っています」
地元愛と地域貢献に燃えた住みます芸人として活動する川端チョイスさん。彼の取り組みは、子どもたちが新たな友達をつくる場を提供したり、保護者のコミュニティ形成にも役立っています。その姿勢から、地域密着型の芸人として新たな可能性を感じます。これからも地域イベントや学校での活動を通じて、多くの笑顔を届けてくれることでしょう。今後の活躍が楽しみです。
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