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田舎暮らしの本 5月号

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田舎暮らしの本 5月号

3月3日(月)
890円(税込)

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異常気象―そしてパリ五輪/自給自足を夢見て脱サラ農家37年(56)【千葉県八街市】

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 8月16日。「老後の生きがいを確保するために必要なのは教養です」。

 台風7号はだんだんに近づいている。昨夜から断続的に降り出した雨。ランチ前、雨がいったん止んだところで畑の見回りに出た。ビニールハウスの補強をする。ピーマンに支え棒を無茶苦茶に差し込む。収穫最盛期を迎えているピーマンの実の総重量はかなりになる。さらにピーマンの特徴はナスなどに比べるともろいこと。風に揺すられ続けると枝はバキッと折れる。でもって、トンネルパイプを総動員、ちょっと雑だが大きく揺れないようにしてやったのである。雨のせいで気温は30度を割った。昨日までの蒸し暑さは消えた。台風の接近は気がかりだが、乾ききった畑にまとまった雨、そして下がった気温。野菜たちも人間も少しばかりの安堵だ。この下の写真。ずっと青息吐息だったサトイモが生き返ったような表情を見せている。

  

 さて唐突だが、僕は前からテレビ朝日の玉川さんと、経済評論家の森永卓郎さんが好きである。自分の考えをまっすぐ言う。世間の大きな流れにあえて逆らう・・・大きな病気と闘っている森永さんの言葉を最近目にした。

ちょっと上から目線に聞こえてしまうかもしれませんが、私は、老後の生きがいを確保するために必要なのは、『教養』だと考えています。例えば、休日にテーマパークに出かければ、誰でもエンターテイメントを満喫できますよね。楽しめるように作られているのだから当然です。しかし、1日楽しむには1人1万円以上のコストを負担しなければなりません。一方、大自然のなかで休日を過ごして楽しいかどうかは、その人の教養レベルに大きく依存します。雲の名前、鳥の名前、植物の名前を知っているかどうか。どこに湧き水があるのか、どこで魚釣りができるのか、どこに秘湯があるのか。それを知らなければ楽しくないのです。それは人生も同じではないでしょうか。そういった、お金をかけずに生きがいを見つけられる教養さえあれば、老後でも人生を楽しめる仕事はいくらでもある。仕事といっても、お金を稼げることばかりではありませんが、私はむしろ今、そういう仕事に全力投球しているため、不安や恐怖を感じる暇がないのです。

 森永さんが使う教養という言葉に触れて、すぐに思い出したのが、オリンピックで敗れた選手への誹謗中傷、それと、南海トラフ「巨大地震注意」に乗じて流された大量のニセ情報だった。SNSにおける誹謗中傷もニセ情報も、僕には「教養」と結びつくように思われる。さらには、日常生活における不満や漠とした恐怖心のようなものが当人にはあるように思われる。若い頃、アパートから近かったせいでもあって豊島園のプールに行った以外、僕はレジャーランドのようなところを訪れたことがない。人工的なものがキライ・・・そう言ってはカッコよすぎるかもしれないが、たしかにそうである。さしたる教養があるとも思わないが、身近な自然を自然な心で楽しんでいる、それは間違いない。食べ物を作る。虫や鳥がすぐそばにいる。単調だが、時は静かに、軽やかに過ぎる。誹謗中傷、ニセ情報から最も遠い、それが、もしかしたら田舎暮らしなのかも知れない。

この記事を書いた人

中村顕治

中村顕治

【なかむら・けんじ】1947年山口県祝島(いわいじま、上関町・かみのせきちょう)生まれ。医学雑誌編集者として出版社に勤務しながら、31歳で茨城県取手市(とりでし)に築50年の農家跡を購入して最初の田舎暮らしを始める。その7年後(1984年)の38歳のとき、現在地(千葉県八街市・やちまたし)に50a(50アール、5000㎡)の土地と新築同様の家屋を入手して移住。往復4時間という長距離通勤を1年半続けたのちに会社を退職して農家になる。現在は有機無農薬で栽培した野菜の宅配が主で、放し飼いしている鶏の卵も扱う。太陽光発電で電力の自給にも取り組む。

Website:https://ameblo.jp/inakagurasi31nen/

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