都市部から地方へ移住して、地域の問題解決や活性化のための活動をする地域おこし協力隊。ここでは、地域おこし協力隊の任期や報酬など、応募する前に知っておきたい基礎知識を紹介します。
掲載:2024年10月号
愛媛県今治市の地域おこし協力隊の同期メンバー。年齢も経歴もさまざまで、自分たちが持つ力や経験を活かしてそれぞれに活動を行っている。
全国の田舎で7200名が活動中
地域おこし協力隊は、政府が2009年に創設した制度で、総務省が所管する。三大都市圏をはじめとする都市地域から、過疎地域などの条件不利地域に住民票を異動し、さまざまな地域協力活動を行いながら、その地域への定住・定着を図る。
活動内容は、地場産品の開発・販売・PRなどの地域おこし支援や、農林水産業への従事、住民支援など多岐にわたる。
隊員は各自治体の委嘱を受け、任期はおおむね1年から3年。その間、仕事や住居など定住に向けて準備する。令和5年度末時点では、10代から60代以上まで総勢7200名が活動している。募集年齢は一般的に20歳以上40歳以下だが、自治体によって異なる。任期後の定住率は約70%と高い。
報酬が年額420万円になることも
地域おこし協力隊の給料は、通常各自治体の行政機関から支払われる。財源は国からの特別交付税。隊員1人当たりに支給される特別交付税の上限は令和6年度現在520万円で、ここには隊員の月給のほか、活動経費、住宅補助に関する費用などの経費200万円も含まれる。
国が定める地域おこし協力隊の報酬・手当の上限は、280万円から令和6年3月に年額320万円に引き上げられた。
さらに専門性の高いスキルや社会経験を持つ人材には最大420万円まで給料を上げることができるようになった(その場合の経費は100万円が上限となる)。隊員の任期終了後には、起業・事業承継に要する補助金100万円、空き家の改修に要する経費(措置率0.5。自治体の定めた上限額内)も用意されている。
こうした積極的な待遇改善は、総務省に地域おこし協力隊の人数を現在の6447人から令和8年までに1万人に増やしたいという目標があるためだ。
地域おこし協力隊の雇用形態は、公務員扱いになる会計年度任用職員として働く「雇用契約あり」と、個人事業主として働く「雇用形態なし」の2種類に分けられる。後者の「雇用形態なし」の場合、フリーランスとして自治体と委託契約を締結するため、基本的に副業が可能となっている。
活動内容や条件、待遇などは各自治体によって大きく異なる。参加希望者は、自治体の募集情報をリサーチし、希望する自治体に申し込む。自治体による選考(書類選考、面接など)を経て、採用が決定される。
おためし・インターンでプレ体験
地域おこし協力隊を事前に体験できる制度が2つある。
「おためし地域おこし協力隊」は、おもに2泊3日で、地域の方との交流や、協力隊の業務を体験できる制度。
「地域おこし協力隊インターン」は、2週間から3カ月、協力隊と同じような活動に従事し、着任後のイメージを持つことができる制度。活動費への財政支援もある。
まずは自治体の募集情報をチェックしてほしい。
地域おこし協力隊
https://www.iju-join.jp/chiikiokoshi/index.html
おためし地域おこし協力隊・地域おこし協力隊インターン
https://www.iju-join.jp/feature_cont/file/117
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