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田舎暮らしの本 1月号

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田舎暮らしの本 1月号

12月3日(火)
890円(税込)

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この夏、指圧院&カフェを開業! 東京では難しい夢をかなえる【山梨県韮崎市】

掲載:2021年7月号

「指圧院とカフェを開きたい」という夢があった井上さん夫妻。東京は好きだったが、その夢をかなえるのが難しい場所だった。夢の実現に向けて韮崎市(にらさきし)に移住した井上さんは、集合住宅に住みながら物件を探し、理想的な古民家と出合う。庭で遊ぶ子どもたちを眺めながら仕事ができる、そんな夫婦の夢が一歩前進した。

甘利沢川(あまりさがわ)沿いの遊歩道「幸福の小径」を散歩する井上達也さん(44歳)、有希さん(37歳)、長男寛太くん(4歳)、次男颯太くん(1歳)。「幸福の小径」は韮崎市出身でノーベル賞を受賞した大村智博士が学生時代に歩いた道。

南アルプスと茅ヶ岳(かやがたけ)の間に広がる韮崎市。中央の盛り上がった緑地は七里岩(しちりいわ)と呼ばれる。(写真提供/韮崎市)

甲州街道と駿信往還(すんしんおうかん)が交わる交通の要衝の宿場町として栄えた韮崎市。山に囲まれているが土地が開けているため、日照時間が長く、ブドウや米などの産地として知られている。東京から中央自動車道経由で約1時間30分。

 

田舎過ぎず都会過ぎず、仕事も子育てもしやすい

 南アルプスをはじめ、八ヶ岳や茅ヶ岳など日本百名山の山々に囲まれた韮崎市。まちの人から「かわらべさん」と親しまれている若宮八幡宮近くの住宅街に、凛としたたたずまいの古民家が立っている。2019年に家族で東京から移住してきた、井上達也さん(44歳)、有希さん(37歳)の自宅兼職場だ。

 達也さんは長野県上田市出身。東京でシステムエンジニアや経理の仕事をしていたが、「会社員より一人ひとりに向き合う仕事がしたい」と指圧師の資格を取り転身。有希さんは東京都大田区出身で、都内でパティシエとして働いていた。

「指圧院とカフェをやりたいという夢があったんですが、東京では金銭的になかなか難しい。それなら、長男が小学校に入る前に移住しようということになりました」(有希さん)

 お互いの実家に近いことと、ある程度の利便性がありながら都会過ぎないことを条件に移住先を探し、最終的にたどり着いたのは韮崎市。のんびりした雰囲気ながらスーパーや病院が近く、「バランスのいい、暮らしやすそうなまちだなと思いました」と、達也さん。駅前に子育て支援センターがあることも決め手になったそう。

 最初は家が見つからず、市の定住促進住宅に住んでいた井上さん一家。ある日、いい物件が出たと聞いて内覧に行き、出合ったのがこの古民家だ。

「便利な立地で庭もあり、店舗スペースもある。しかも、縁側でお茶を飲む暮らしが夢だったのですが、縁側まである! 即決しました(笑)」と、有希さん。

築100年超の古民家。「賃貸だけど、大家さんがとてもよくしてくださってありがたいです」と、有希さん。

家は平屋だが、カイコを飼っていた部分をロフトに改装。寛太くんの遊び部屋となっている。

井上さん夫婦の夢だった縁側からは、晴れた日には富士山も見える。

 築100年を超える家だが、人が住み続けていたため補修箇所は水回りのみ。韮崎で知り合った建築士さんにお願いし、タイルと木、理科室のシンクなどでおしゃれで機能的なキッチンにしてもらった。

 奥の和室は達也さんの指圧院になったが、コロナ禍のため、現在は週に2日(水曜と土曜)完全予約制で施術、それ以外は訪問で施術している。夏にはカフェ用キッチンを新設し、有希さんのカフェをオープンする予定だ。

「赤ちゃんからお年寄りまで、ゆっくりできるカフェがいいな。お米や果物の農家さんの知り合いも増えたので、韮崎の食材を積極的に使おうと思っています」

 移住して、家族みんなで過ごす時間が増えたと話す有希さん。
「家族の時間がさらに楽しく、濃いものになりました。韮崎は、起業するにも子育てするにも、とてもいい環境だと思います」

保育園の友達に野の花をあげる長男の寛太くん。「最近は虫や草花にも興味を示すようになりました」。

おけたく指圧院 
山梨県韮崎市藤井町南下條1546
☎︎080-3547-7354 https://www.oketaku.com/
https://www.instagram.com/oketaku_shiatsu/
(完全予約制。新規受付は紹介のみ)

写真奥の和室が達也さんの施術スペース。手前の8畳の和室がカフェになる予定だ。

自宅と訪問での指圧のほか、月に1回「アメリカヤ」のイベントでも施術。日程はSNSに掲載している。

カフェで出すコーヒーを試作中の有希さん。豆は、個人店で焙煎しているものをいろいろ試しているという。

有希さんは書道で師範免許を持つ。「山梨県は『雨畑硯(あめはたすずり)』の産地。カフェで書道教室を開き、文化にも触れていけたら」。

 

韮崎市移住支援情報
オンライン移住相談を随時受け付け中!

 駅前の市民交流センター「ニコリ」にコワーキングとサテライトオフィス「Hir o Ba」がオープン。市に移住を考えている人が無料で利用できる「お試しシェアハウス」もある。定住促進住宅に入居した場合の家賃補助制度や、住宅取得時に助成金を交付する制度、市の空き家バンク登録物件の改修に最大100万円を助成する制度などの住宅支援も。

問い合わせ:移住・定住相談窓口 ☎0551-30-4321
http://nirasaki-iju.com/

お試しシェアハウスは、2泊3日〜6泊7日で利用可能。

4月にオープンしたばかりの「コワーキングスペース&サテライトオフィス『HiroBa』」。

「水も空気もおいしい韮崎にお越しください!」
韮崎市移住相談員 内藤さん(左)&花輪さん

 

文/はっさく堂 写真/尾崎たまき

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