北海道・壮瞥町で2024年10月から導入が開始された次世代四輪EV『ELEMOs4 MAX(エレモーズ4 マックス)』。交通インフラの整備と高齢化というまちの課題を解決すべく、新たな交通手段を広めようと奮闘する『そうべつアウトドアネットワーク』の都我剛之氏にその取り組みについてお話を伺いました。
温泉、スポーツ雪合戦、アウトドア… 恵まれた自然環境のなか、「農業と観光」で発展する北海道・壮瞥町
札幌から車で2時間ほど、洞爺湖や有珠山といった豊かな自然に囲まれているまち「壮瞥町」。噴火して80余年ほどの昭和新山の麓にあることから、町内には温泉が4つほど存在しリゾートホテルや旅館も充実したまちです。火山の影響のためにできた平らな大地と、水はけが良いという恵まれた土壌を活かし、りんごやぶどうといった果物の生産も盛んです。
北海道・壮瞥町は昭和新山を有する自然豊かなまち。
水はけのよい土壌のためぶどうなど果物の生産も盛んな北海道・壮瞥町。
また、東北では昔から馴染みのある遊び雪合戦を競技化した「スポーツ雪合戦」を30年前ほどに考案したまちとして知られており、毎年2月に開催される「昭和新山国際雪合戦」の際には、2日で5000人もの参加者が訪れるのだそう。そんな「農業と観光」に特化したまちとして知られている壮瞥町ですが、多くの小規模自治体が抱えているように少子高齢化の問題が表面化しています。
そのなかでも、最も大きな課題として挙げられるのが住民たちの「移動手段」。町民の“新しい足”として期待されているのが次世代四輪EV『ELEMOs4 MAX(エレモーズ4 マックス)』です。
町民の“新たな足”として期待が高まる次世代四輪EV『ELEMOs4 MAX』
次世代四輪EV『ELEMOs4 MAX』。
「町内のバス路線が削減されるなど、車のない状況だと生活がしにくいのが実情です」と話すのは、『そうべつアウトドアネットワーク』の都我剛之氏。3年ほど前から町と関わりはじめ、24年7月からは東京との2拠点生活を開始、月の半分弱を壮瞥町で過ごすなかで身をもって感じる課題だといいます。
「コミュニティタクシーのサービスも稼働していますが、しっかりと機能しているとは言い難いという現状のなか、なにか実用的な移動手段がないかと検討し、今回オファーさせていただきました」と壮瞥町での導入背景を語ってくれました。
LUUP等と同様、16歳以上であれば免許不要で乗れる特定小型原付である『ELEMOs4』。壮瞥町では3台の『ELEMOs4 MAX』を導入した。
四輪ならではの安定感が定評を得ていた同機にツインモーターを搭載してよりパワーアップしたのが今回導入された『ELEMOs4 MAX』です。最高20km/hを誇る上限600Wのパワーは坂道などでも大活躍してくれます。1回のフル充電で約40~50kmほどを走行できるタフさに加え、家庭用充電器で充電できる手軽さも魅力的です。
都我氏が所属する『そうべつアウトドアネットワーク』が主導する形で、2024年の10月から町内に3台の『ELEMOs4 MAX』を導入した壮瞥町。町民に加え、観光客の移動手段としても稼働を開始する予定です。
観光客の手軽な移動手段として大活躍!ゆくゆくは“町民の足”とすべく計画中
新たな交通インフラとして期待がかかる次世代四輪EV。
「当初は町民の移動手段としていち早く稼働させたいという想いがあったのですが、現状は観光客向けのニーズが高そうです」と都我氏。現在は、ガイド1名を付ける形で『ELEMOs4 MAX』を利用した町内ツアーを計画しているといいます。
「20km/hと聞くと、そこまで速くなさそうな印象を受けますが、実際に乗った人は『意外に速いんだね』と驚くことも少なくありません。また、キックボードタイプではなく四輪タイプなので、思ったよりも安定感があるという声も多数いただいております」と都我氏。導入を始めて間もないながら、今後の活用が期待される『ELEMOs4 MAX』ですが、町民の足を担うにはまだまだ課題も山積みだそう。
「デイリーで町民の方々に使ってもらうためには、機体のスペックやインフラ整備も含めまだまだ課題があると思います。一方で、観光客の方々に気軽に使える移動手段として利用していただくことで、リゾートホテルなどに宿泊する方に向けて、自然豊かな壮瞥町の魅力をますます伝えやすくなると期待もしています」と力強く語ってくれました。
近年、急速に進化を遂げている次世代四輪EV。壮瞥町での取り組みがうまくいくことで、交通インフラの行き届かない地方の新たな移動手段として、より一層広まっていくかもしれませんね。
壮瞥町教育委員会/そうべつアウトドアネットワーク 都我剛之氏。
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