季節は冬。畑は休耕期だが、実はクラインガルテンは今が来シーズンの募集がスタートする時期。そこでまずは「クラインガルテン」とは何かについて紹介しよう。長野県にある人気施設を訪れ、そのメリットについてもうかがった。春から菜園生活を始めたい人はぜひチェックを!
※2025年1月号に掲載したものに一部加筆・変更しています。
※情報は2024年11月時点のものです。
CONTENTS
クラインガルテンとは?
都市で暮らす人が自然や農作業に親しむことを目的とした、ドイツ発祥の市民農園の一形態であるクラインガルテン。日本では菜園に「ラウベ」と呼ばれる宿泊用コテージを備えた「滞在型市民農園」として広がり、コロナ禍収束後は、二拠点居住のようにリモートワークをしながら中長期滞在する利用者も増えている。ドイツ語で「小さな庭」という意味がある。
長野県の人気クラインガルテン「立科町クラインガルテン」
野菜栽培の指導付きで初心者でもしっかり収穫できる
都市生活の喧騒を離れ、自然と触れ合いながら自分だけの農園を持てるクラインガルテン。その手軽さと、初心者でも十分な収穫が期待できることから、人気が高まっている。
多くの施設では空きが出たら新たな利用者を募集するが、最近では、抽選方式の場合は倍率が高く、先着順の場合は待機リストが長くなっているところも多い。そのため、複数のクラインガルテンに応募する利用希望者も増えているそうだ。
今回取材した長野県立科町にある立科町クラインガルテン」は、約100平方メートルと管理しやすい手ごろな広さの畑付き。農機具が無 料でレンタルでき、個別の農業指導もあるため、初心者でも年間15〜30類ほどの野菜を育てることができる。特に夏場は、家族で食べきれないほどの豊富な収穫があるという。
きれいなバストイレで安心。レジャーの拠点としても最高!
ロフト付きのこぢんまりとしたラウベはまるで秘密基地のようで、遊び心をくすぐられる。菜園に面したウッドデッキもあるので、ガーデン用テーブルセットを置いて、外でお茶や食事を楽しむこともできる。
週末に通って農作業をしつつ、登山やサイクリング、釣り、温泉巡り、スキーなど、趣味の拠点にすることも可能だ。また、一帯は「信州曲川ワインバレー東地区」の認定エリア。シーズン中には周辺のヴィンヤードで収穫ボランティアが募集されることもあるので、普段とは違った農業体験をしたい人はぜひチェックを。
「コロナ禍前はシニア世代が多かったのですが、現在はリモートで働きながら農作業を楽しみたい世代からの応募が増えています」
そう話すのは、立科町産業振興課の尾美亜紀子さん。
「また、クラインガルテンの利用をきっかけに、移住に興味を持ったり、いろいろなガルテンを利用して生涯の趣味にする人も増えているようです。契約は1年ごとなので、菜園にチャレンジしたい方はぜひ応募してみてください」(尾美さん)
いいこといっぱい!クラインガルテンのメリット6選
1.ローコスト&手軽に別荘が持て、田舎暮らしの入り口に
田舎に別荘を持つためには、いろいろなハードルがある。物件購入費や修繕費、固定資産税、管理費といった費用面はもちろん、ご近所との関係づくりや、手放したくなった際に売却できるかどうかなど、考慮すべきことが多岐にわたる。クラインガルテンなら年間20万〜60万円ほどの利用料で畑付きのセカンドハウスを持つことができ、メンテナンスにも手がかからない。契約は1年更新なので、自分に合わないと感じたらすぐにやめられる手軽さも魅力。
2.自然や土に触れ、家族で心豊かな時間が過ごせる
都会で生活していると、自然や土に触れる機会が限られてしまう。クラインガルテンを利用することで、ラウベのすぐ前にある畑で手軽に家庭菜園を始めることができ、土に触れ、植物が育つ喜びを身近に感じることができる。また、子どもたちと一緒に作業を行えば、自分たちが食べている野菜がどのようにつくられるのか知ることにもつながり、食育にも最適。家族が一緒になって作業をすることで、夫婦間の会話が増えることも期待できそう。
3.新鮮な無農薬野菜が食べられる
クラインガルテンの利用者は、食に対する意識が高く、自分で育てた安全で新鮮な野菜を楽しみたいと考える人が多い。立科町クラインガルテンでは、ほとんどの利用者が減農薬で栽培をしている。多品種の野菜を少量ずつつくり、自然の恵みを実感しながら食卓を彩ることができる。
4.初心者でも野菜栽培のノウハウが身につく
野菜栽培の経験がない初心者でも、最初に講習会や個別指導などで基本的なノウハウを教えてもらえるので安心。また、多くのガルテンには野菜づくりに詳しい管理人がいて、わからないことがあったら相談できる環境が整っている。レンタル用の農機具があるのも便利。
5.菜園やアウトドアなど、同じ趣味の仲間ができる
菜園で外作業をしている利用者が多く、知らない人にも気軽に話しかけられる雰囲気がある。懇親会などのイベントを行う施設が多く、仲間づくりにも最適だ。菜園で穫れた珍しい野菜をお裾分けし合ったり、登山やスキーなどをともに楽しむことで、豊かな交流が生まれている。
6.Wi-Fiがあれば仕事もOK!癒しの環境で効率アップ
コロナ禍の収束後、リモートワークをしながら菜園を楽しみたい若い世代からの問い合わせが増加。ラウベにネット回線を開設すれば、オンラインで会議や仕事を行え、平日利用も可能になる。仕事の後に農作業することでリフレッシュでき、効率アップも期待できる。
クラインガルテンで菜園生活始めてみよう♪
畑と宿泊用コテージがお手軽にレンタルできるクラインガルテン。ローコストで別荘が持てる上、自然や土に癒され、新鮮な無農薬野菜をたっぷりいただけば、心からリフレッシュでき、身体も元気になれそう。
野菜栽培のノウハウを身に付けたり、同じ趣味の仲間をつくることも可能で、さらにインターネット環境を整えれば、リモートワークの拠点にもでき、可能性は無限大。
そんないいこといっぱいのクラインガルテンで、あなたも菜園生活を始めてみてはいかが?
長野県 立科町(たてしなまち)
立科町クラインガルテン
年間使用料金:30万円
菜園面積:約100㎡
ラウベ施設床面積:約40㎡
初期費用等:0円
総区画数:数滞在型全15棟
利用期間:4月〜翌年3月
更新:1年(最長5年まで)
交通アクセス:中部横断自動車道佐久南ICより車で約30分
問い合わせ先:産業振興課農林係 ☎0267-88-8408
文・写真/はっさく堂 写真提供/山中芳夫さん、立科町 イラスト/関上絵美
この記事のタグ
この記事を書いた人
田舎暮らしの本編集部
日本で唯一の田舎暮らし月刊誌『田舎暮らしの本』。新鮮な情報と長年培ったノウハウ、田舎で暮らす楽しさ、心豊かなスローライフに必要な価値あるものを厳選し、多角的にお届けしています!
Twitter:@inakagurashiweb
Instagram:@inakagurashinohon
Website:https://inakagurashiweb.com/
田舎暮らしの記事をシェアする