茅葺き屋根に黒光りした太い柱や梁。田舎暮らしを夢見る都会の人にとって、野趣あふれる古民家に住むことは憧れの一つです。しかし、古い建築物だけに選び方は注意すべき点も少なくありません。そこで今回、古民家を利用したい人のために、選び方や買い方のポイントをご紹介します。古民家の出やすいエリアも参考にして、夢を叶える第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
CONTENTS
憧れだけだと失敗する!古民家の選び方
文化財的価値を理解し長期の再生計画を
田舎暮らし体験ツアーや農家民宿などで、古民家の実物を見た人は少なくないはず。黒光りした柱や板戸は現代建築にはない要素で、その風情に憧れてしまうもの。
しかし、使用中の古民家の大部分はたいてい補修を施しており、最初から美しい建造物だったわけではない。なかには構造体だけを残し、内外装を全面的にリメイクしたものもある。つまり、古民家の文化財としての価値がわかる人が再生するからこそ、新たな価値が生まれるのだ。ただ安いから、部屋数が多いからといった理由で購入すると、利用段階で後悔することになりかねない。
古民家は現代の建築基準法をもとに建てられたわけではないので、気密性が悪くて当たり前。断熱施工はされていないし、隙間風も吹き込んでくる。それを現代風にリノベーションしようと思ったら、新築より高くついてしまう。
ただ、近年はセルフリフォームでコストダウンに挑戦する移住者も多く、長期計画でコツコツ直していく手はある。そのためにはまず、屋内のゴミを処分すること。そして1つでも住める部屋を確保することが先決だ。あとは仲間に手伝ってもらったり、手に負えない部分はプロを頼ればいい。
古民家に傷みはあって当たり前だが、構造体に傷みがあるものはリフォームが難しい。その古民家に直す価値があるかないか、慎重に判断することだ。
購入前に確認を!!古民家物件チェックリスト
少しでも状態のいい物件を入手するためには、見学の際にしっかりとチェックすることが大切だ。ここでは、素人でも見ることができる20の項目について採点することにした。ただ、個人の感じ方にも違いはあるし、物件による違いや素人ではわからない場所もあるので、あくまでも目安としてほしい。
<ポイント>
❶雨漏りの跡
屋根裏に大きな雨漏りの跡があったら、柱や梁が腐食している可能性も。採点に関係なく、購入を避けたほうがいいだろう。
❷シロアリ
シロアリの跡がある場合は、床下や柱などが腐っている可能性が高い。見た目は大丈夫でも、木材の中がスカスカといったこともあり、リフォームはプロに頼んだほうが無難だ。
❸道路より低い
敷地が道路より低いと、雨水が敷地に集まりやすい。当然、敷地に建つ家も雨水に浸かってしまい、家が傷む原因に。特に道路沿いに側溝がない物件は要注意だ。
あなたの古民家物件は何点? 採点結果
⚫︎20点以下
構造体に問題がなければ、補修費を100万円以下に抑えられる可能性がある。移住者の転売物件でないとなかなか見つけるのは難しいが、大工作業が苦手な人は狙い目。安く浮いた分は、好みの家具などを揃える費用に回すこともできる。
⚫︎21~50点
補修を前提にして買うことになるが、器用な人ならセルフリフォームも可能だろう。コツコツ直すといい。実際、夫婦や仲間だけで挑戦している人はたくさんいる。ただし、電気の内線工事などは有資格者でないとできないので要注意だ。
⚫︎51~80点
販売価格はかなり安いはずなので、立派な構造部材があれば検討には値する。ただし、大規模リフォームが前提なので、購入前に業者に見積もりをとるのが無難。台所・浴室・トイレのすべてを直す場合は、300万円以上覚悟すべきだ。
⚫︎81点以上
ここまで欠点が多いと、構造部材に大きな傷みがあると推定される。いくら物件が安くてもあとで追加工事が必要になる可能性が高いので、購入は最初から避けたほうが無難。古民家鑑定士などプロの判断を仰ぐのも、1つの手だ。
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