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田舎暮らしの本 7月号

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田舎暮らしの本 7月号

5月2日(金)
890円(税込)

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田舎暮らしの理想と現実|移住プランナーが語るギャップとその乗り越え方

執筆者:

教えて! 移住プランナー仲西さん vol.12

移住プランナー、移住専門ファイナンシャルプランナー、空き家相談士──。
複数の専門資格を持ち、これまでに約2500組の移住相談に対応してきた仲西康至(なかにし・こうじ)さんが、地方移住に関する疑問に答える連載「教えて!移住プランナーの仲西さん」。

第12回は、仲西さん自身の体験をもとに、「移住後に感じた理想と現実のギャップ」、そしてそれをどう乗り越えてきたかを語っていただきます。

「移住プランナーの仲西さんは40歳の時に大阪から北海道に移住されたと聞きましたが、実際に移住をしてみて、理想と現実のギャップはありましたか? 仲西さんのリアルな体験談を聞きたいです。『もう、大阪に戻りたい』と思われたことはありますか。 (Aさん、大阪在住、40代夫婦) 」

私が感じた「田舎あるある」

 

皆さんこんにちは、移住プランナーの仲西です。今回は、田舎移住の理想と現実のギャップについてご質問をいただきました。確かに、田舎移住では理想と違うことも多いかもしれませんね。

まずは、私自身が感じた田舎あるあるをいくつか紹介しますね。

1.家庭菜園は素人でも大丈夫。近所の皆さんからアドバイスもらえます。

2.外食は少ないが、庭でBBQは当たり前です。

3.子どものボール遊び場には困りません。

4.首長や議員との距離がとても近いです。

5.学校の先生、駐在所の警察官との距離も近いです。

6.公共交通機関は脆弱です。運行本数や路線は減少の一途です。

7.子どもの送迎は大変です。雨天、対外試合等も送迎が必要です。

8.ドライブ中の野生動物との衝突は、リアルに起こります。

9.街灯が少ないため、夜間走行や夜道の徒歩はとても危険です。

10.宅配便の集配BOXはなくても安心です。

「理想と現実のギャップ」

次に、私が実際に感じた「理想と現実のギャップ」を、いくつかご紹介しますね。もちろん、私だから感じたこともありますのでご理解くださいね。

(1) 家計に余裕が持てない
田舎は「家賃が安い」「物価が安い」と言われています。そのため「給与水準は低くても、生活に余裕が持てる」と思いがちです。
また、都会の住居費との差額を生活費に充てることで、「ゆとりのある暮らしができる」と考えがちです。
しかし、実際には田舎の方が物価の高いものもあります。また、車社会なので車の維持費やガソリン代等の支出もあります。
私の住む北海道では、冬の光熱費が月5万円です。隣町に行くだけで片道30㎞もあり、ガソリン代もバカになりませんね。

(2) 意外にのんびりできない
田舎にはゆっくりとした時間が流れています。広い空や静かな町並みを眺めながら、のんびりとした暮らしが実現できます。
しかし、高齢化や人口減少の進む地方では、コミュニティ内の役割も増えています。
私の場合は、PTA会長、町内会役員、子供の部活部長、ほかにも〇〇協議会委員等たくさんのお役目が回ってきます。特に、町内会のお祭りは、参加側から運営側になりますね。
というわけで、意外とのんびりする暇はありませんが、これも「都会では経験できないこと」と思い、取り組んでいます。

(3) 運動不足になりがち
田舎では自然と共存した暮らしができます。しかし、移動はもっぱら車になり、ほとんど歩かないことに驚かされます。
私の場合は、通勤やスーパー・コンビニの買い物には、車が必要になります。子どもの通学も車の送迎が必要ですからね。そこで、運動不足解消のために、ジョギングを始めてみました。ちなみに、10kmのジョギングでも、信号無し、すれ違う車や歩行者もいないことに、都会とのギャップを感じます。

(4) 仕事探しは難しい
地域や町の規模によって異なりますが、仕事探しはそれほど簡単ではありません。
地方都市では人手不足から求人情報も多くありますが、希望する職種ややりがいのある業務になると難しくなります。「求人は多いから」と安易に捉えていると、仕事のやりがいを感じられずに、転職を繰り返すことになります。もしかすると、仕事が理想と現実のギャップを最も感じるかもしれません。最近では、リモートワーク、二地域居住を検討する方が増えています。田舎移住をするのならば、現在の仕事を継続できる環境を構築しておくか、事前に就職先を決定しておくことが賢明です。

「理想と現実のギャップ」の対処方法

前項でお伝えした通り、「田舎に移り住めば、健康的でのんびりとした、豊かな暮らしが待っている」と理想を抱いていると、そのギャップに驚かされてしまいます。

大切なことは、「神経質にならない」ことです。私はセミナー等において、「田舎に向かないタイプは神経質な方」とお伝えしています。神経質な方ほど、理想と現実のギャップを感じてしまうからです。すると、不平不満が口から出るようになり、地域でのトラブルに繋がることもあります。神経質になるのではなく、上手く順応する術を見つけることが大切かもしれません。

次の「移住者にみられる4つのタイプ」を見てください。理想と現実のギャップを一番感じるタイプは「都会持続型」ですね。

移住後のギャップの乗り越え方!

移住にはリスクはつきものです。例えば、移住を希望していたのに途中で断念する人もいます。
同じく、移住後にあきらめて帰っていく人もおられるでしょう。

そこで「移住を成功させる秘訣」をお伝えします。
移住を成功させるのに最も大切なことは、「移住の目的」を明確にすることです。そして、移住後のギャップを乗り越えるには、「移住の目的」を達成するための「強い思い」が必要となります。

困った時や辛い時があるかもしれません。そのような時は、「どうして移住をしたのか?」と、移住の目的を見つめ直して、乗り越えてくださいね。

あとは、仲間をたくさん作ってください。知り合いのいない町に移住をすると、孤独感からマイナス思考に陥りがちです。田舎の人々は仲間意識がとても強いです。小さなコミュニティの中から、知り合いをたくさん作っていくことが大切ですね。そのためには、コミュニティの行事にも積極的に参加することが望まれます。
私も理想と現実のギャップはありましたが、「理想」ではなく「現実」をしっかり見つめることが大切ですね。

SNS等では「田舎暮らしの失敗」についての記事を見かけますが、私の知る限りでは「田舎暮らしに失敗をした人」はほとんどおられません。理想と現実のギャップはありますが、皆さん幸せに暮らされています。

今回のご相談者Aさんの、田舎移住をする目的までは解りませんが、「移住の目的」を明確にし、その思いを高めることで、移住を成功に導かれることを祈っていますね。

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この記事を書いた人

仲西 康至

仲西 康至

移住プランナー/移住専門FP/「一般社団法人移る夢」代表理事/空き家相談士 大阪出身。2006年国内初の移住専門FPとして独立。家族で北海道に移住し、「移住プランナー」として活動を始める。2022年には総務省「地域プロジェクトマネージャー」として鹿児島に移住。大阪・北海道・鹿児島の3拠点生活を実現。これまで18年間の活動で2500組の移住相談に対応。著書「移住を成功させる5STEP」「雪国に移住 住宅選びのテクニック20選」他

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