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田舎暮らしの本 12月号

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田舎暮らしの本 12月号

11月1日(金)
890円(税込)

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ぜんぶ実話! 移住相談で自治体の担当者が困った実例28

掲載:2019年7月号

本誌が自治体の移住担当者に実施したアンケートによると、約7割の担当者が「こんな方にはご遠慮いただきたい」と思ったことがあると回答。そこで移住担当者に実例を教えてもらった。なお常識をわきまえた移住者がほとんどであり、このようなトラブルは数としては少ないことは申し添えておきたい。

移住相談で「困った!」

【1】「電話を持っておらず、やりとりがすべてメールでした。質問に対しての返信もないことがあるなど、対応に困りました。コミュニケーションがスムーズにとれないため、移住後きちんと地域の方とコミュニケーションがとれるのか、すごく心配に……」

【2】「困窮している移住希望者を救済する支援策はないかと来課。すでに移住するつもりでいらっしゃっており、そのような支援策がないと知ると怒って帰られました。自力でその日に移住したようですが、職を転々としている様子です」

【3】「当地へのリスペクトがなく、都市部の価値観を押し付ける方がいらっしゃいました。都市部と比較したり、過去の経歴を話したりするなど、見下した態度が対応していて悲しくなりました。さらに家賃など田舎の物価は安いだろうと決めつける方もいらっしゃり、対応に困ります」

【4】「動物を外で何十匹も飼いたいと言われる方。同様の問い合わせが結構あります。『地域の方の迷惑になるかもしれない』と、少しでも周りのことを考えてもらえると助かるのですが……」

【5】「急に来て、空き家バンク物件を内見したいという方がいらっしゃいました。当地の場合、空き家バンクの管理を各不動産屋にお願いしているため、急に来ても対応できない場合があります。対応できない旨を伝えると、怒って帰られたことがありました」

【6】「『補助金ありきの移住相談』には毎回苦慮しています。ほかの市町村ではこうだ!こんなことはできないのか?と要求されることが多く、困ることがあります」

【7】「個人情報の開示を拒否される方には毎回困ります。氏名、現住所、年齢、家族構成などがわからないと具体的なアドバイスができません。一番困るのはメールでの問い合わせで、氏名も書いていない場合です。まずはお名前から尋ねなくてはならないので、相談に時間がかかります」

【8】「移住後生活保護を申請したいと相談を受けたことがあります。仕事を紹介しましたが、仕事はしたくないと言われ、途方に暮れました」

【9】「移住して政治・宗教団体を立ち上げたいと言われ、どんな団体かわからず困りました」

【10】「『知人から犯罪者でもどんな人でも受け入れてくれると聞いたんだけど……』というお問い合わせがあり、対応に困りました」

家のことで「困った!」

【11】「所有者の厚意で相場より低価格で借りたにもかかわらず、自分の都合で転居してしまうケースがありました」

【12】「登録されている300万円以下の物件を3分の1や4分の1に値下げしてくれるのであれば、現地も見ないですぐに買いますという申し出をされた方がいらっしゃいました。窓口で断るわけにもいかず、所有者に意向を確認しましたが、どのような使い方をされるかわからないような方には売りたくないということで、所有者が拒否されました。地方の物件は、所有者も持て余しているだろうと足元を見るような方はご遠慮いただきたいです」

【13】「大幅に改修が必要な古民家物件を購入されたが、結局資金不足で入居ができずに、周辺の地域住民も迷惑するような崩壊寸前の危険家屋になったことがあります」

【14】「職員およびコンシェルジュが見学や体験は冬の雪があるうちに来てくださいと言っているにもかかわらず、経験があるからとすぐに移住。しかし思った以上の雪に驚き、焦って役場へ飛び込んでこられた人がいました」

仕事とお金で「困った!」

【15】「自然農を始めた移住者と、地元の慣行農法の農家との間でトラブルとなりました。その後、移住者への受け入れのアレルギーが地元の方に生じたことがあります」

【16】「『田舎で起業したいと思っているので、お金を行政で出せないのか。こちらは行ってあげるんだから』と言う方からの問い合わせがあり、参りました」

【17】「1週間のお試し定住で、地域おこし協力隊制度に興味を持った方が、滞在中に面接を受けて内定。赴任したまではよかったのですが、すぐに辞めて、実家に帰郷されました」

【18】「物件を購入後、補助金をあてにして改修しようとしているため、計画通りに修繕が進まず、入居できないという方がいらっしゃいました」

【19】「『田舎は野菜がもらえるのでお金がかからない』『田舎だから月1万円くらいの賃貸物件がある』などの間違った田舎の認識を持っている移住希望者からの相談を受け、対応に困りました」

【20】「自己都合で地域外転居された方に、出産祝い金の返還を拒まれたことがあります」

ご近所付き合い、モラルのなさで「困った!」

【21】「住民への説明会や地域活動には参加されず、地域活性化や地域のためと言いながら、自分の事業などの利益につながる活動にのみ参加される方への対応には苦慮しました」

【22】「移住後に所属した自治会の活動が面倒なのでどうしても参加したくないとクレームの電話をいただいたことがありました」

【23】「子ども連れのご家族でしたが、いきなり移住したいと電話が。転校手続きなどの書類が足りない状況のなか、『そこを何とかして』と日程を勝手に決められてお越しになり、大変驚きました。何とか間に合わせましたが結局、その後もさまざまなトラブルが……」

【24】「賃貸物件の所有者とその家を借りている移住者との間でトラブルがあり、それがもとで移住者が転出。移住者が賃貸物件を大規模に模様替えしていたため、転出前に所有者が原状回復を求めましたが、夜逃げ同然で転出して連絡が取れず、困りました」

【25】「移住したはいいが、家賃は未払い。さらに家主さんから借金をし、夜逃げ同然で退去した人がいらっしゃいました」

【26】「家財道具を置いたまま音信不通になったことがあります。近所の方たちはその後の移住希望者に対しても不信感を持つようになりました」

その他の「困った!」

【27】「行政の間違った情報を不満点としてSNSでコメントされたことがあります」

【28】「お試し住宅は、地域性や気候などを感じていただくほか、住まい探し・仕事探しの拠点として利用していただくことを目的としています。家電製品や生活用品は必要最低限のものを設置しているのですが、まれにホテルのような快適さを求めて入居され、移住以外で要求・相談をされることがあります。また注意事項を理解されず一方的な連絡だけでお越しになる方がときどきいらっしゃいます」

 

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文/編集部 イラスト/吉野 歩

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