田舎暮らしの本 Web

  • 田舎暮らしの本 公式Facebookはこちら
  • 田舎暮らしの本 メールマガジン 登録はこちらから
  • 田舎暮らしの本 公式Instagramはこちら
  • 田舎暮らしの本 公式X(Twitter)はこちら

田舎暮らしの本 9月号

最新号のご案内

田舎暮らしの本 9月号

8月1日(金)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

暑さに立ち向かう/自給自足を夢見て脱サラ農家40年(72)【千葉県八街市】

執筆者:

若者の魚離れと鯛の骨に挑む

鯛の骨と向き合う夕餉のひととき

さて、これも年寄りの憎まれ口となるだろうか、若者の魚嫌いについて書く。世界的な寿司ブームの一方で日本国内の魚介類消費は減少している。2001年との比較で半分ほどに減っている。若い世代での魚離れが大きな理由だという。理由は骨。回転寿司はにぎわっているも、焼き魚、煮魚は骨を取るのが面倒くさく敬遠されるとのことだ。

僕の今日の夕食の1品は鯛のアラ煮だった。スーパーで切り身を買うことはない。鯛は1本丸ごとか、今日のようにアラを何パックもまとめ買いする。理由は僕の食べ残しをニワトリたちが喜んで食べるからだ。

僕の父は魚の仲買人だった。よって、タイ、ハモ、タコ、フグなどを常食していた。包丁の使い方はそばに腰を下ろし、父のやり方を見て学んだ。父の言いつけで今も忘れられない言葉がある。他の魚はいいが、鯛だけは喉に引っ掛けたりするな・・・そうなのだ、鯛の骨は鋭く、他の魚に比べると非常に硬いのだ。

鯛の調理法をひとつ紹介しよう。圧力鍋で半日煮込む。そうすると身と一緒に食べられるくらい骨が柔らかくなる。血液をサラサラにする成分EPAやDHAが摂取できる魚は健康に良い。特に骨には切り身の数百倍のカルシウムが含まれているという。回転寿司のマグロやサーモンも悪くはなかろうが、参考にすべきことであろう。

その鯛の調理法をひとつ紹介しよう。圧力鍋で半日煮込む。そうすると身と一緒に食べられるくらい骨が柔らかくなる。血液をサラサラにする成分EPAやDHAが摂取できる魚は健康に良い。特に骨には切り身の数百倍のカルシウムが含まれているという。回転寿司のマグロやサーモンも悪くはなかろうが、参考にすべきことであろう。

暮れゆく空に漂うかすかな秋の息吹

日傘を差す、日焼け止めクリームを愛用する。そして骨を嫌って骨のない回転寿司を愛用する若者たち。世の中、色白で美男、だが、骨抜きのヤワな男たちで将来いっぱいになるのではあるまいか。異常気象がさらに増幅したら、そんなんじゃ気温40度には立ち向かえないぜ、ハンディ扇風機なんてものの役には立たないぜ・・・そう思うのである。

7月が終わる。猛暑は依然続くが、朝7時台の空気はほんの少し体に優しい。ランニングを終えた僕は朝顔に水やりする。ほどなくしおれてしまう花を愛でる。朝食をすませたら暑さとの闘いが待っている。朝顔はその前の、チョッピリ、しかし貴重なくつろぎタイムだ。

7月が終わった。猛暑は依然続くが、朝7時台の空気はほんの少し体に優しい。ランニングを終えた僕は朝顔に水やりする。ほどなくしおれてしまう花を愛でる。朝食をすませたら暑さとの闘いが待っている。朝顔はその前の、チョッピリ、しかし貴重なくつろぎタイムだ。

夏至から40日が過ぎた。太陽が西に落ちた後の空には今かすかな秋がある。日没は30分早くなり、午後7時を過ぎても読めた夕刊が、今日あたり6時45分がギリギリだ。夜の気温が20度、ほどほどの雨。それを野菜も僕も望んでいるのだが、まだこの望みは叶いそうにない。

異なる道を歩む生き方の哲学

ロシアの食文化と歴史に触れながら思索する人生の味わい

先週から『厨房から見たロシア』(ヴィトルト・シャブウォフスキ著、白水社)を読み進めている。430ページという大部、猛暑でもって頭の働きが鈍っているが、毎日20ページというノルマを課して読んでいる。この本を読んでみようと考えたのは、ニコライ二世、レーニン、スターリン、近くはプーチン、さらに一般庶民、彼らがどんな食事を摂っていたか、彼らの思想・行動と食生活にはいかなる関連があったかに興味を抱いたからだ。

僕がロシアに関心を抱いたのはバイト先で知り合った8歳くらい年上の、作家を目指している人の影響からだった。政治的なことは抜き。あくまで影響を受けた根本はロシア文学。それでもって僕は25歳から20年間くらい、NHKのラジオ講座で学ぶとともに、東中野にあった、早大露文の先生が営むマヤコフスキー学院という所にも仕事を終えて通っていた。

初めてロシアの風景を見たのは1990年12月。ソ連崩壊の少し前。シベリア鉄道でモスクワまで7日間の旅。政治的な混乱とともに食料事情もすでに悪化していたのだろう。列車内で口にする食堂メニューは黒パンにジャガイモと単調だった。しかし長距離列車がそれ以前から好きという僕は不満なく、退屈もしなかった。ただ運動不足が心配で、毎日デッキでスクワットや腕立て伏せを欠かさずやった。これ以後ロシアには4回足を運んだ。

心に響く今永投手の言葉

誰かと異なることに自分の生きる道がある

誰かと異なることに自分の生きる道がある・・・。

今回最後は、先に引用させてもらった人生相談の女性を意識しつつ書こう。僕は大谷選手も好きだが、カブスの今永投手も好きである。少しひねった難解な言葉で、しかし論理的に自らの心情を表現する。「投げる哲学者」と言われるゆえんだ。

誰かと比べるのが嫌になることもある。でも、誰かと異なることに自分の生きる道がある、と再確認できている。

世間では普通、誰かと自分を比べてイジイジしている人に対し、他人は他人、気にせず自分の道を進みなさい、そう助言する。今永投手はおそらくそれを意識したのであろう。「誰かと比べるのが嫌になることもある・・・」。しかし、自分の特色を出す、他人とは違う自分になるためには他人と自分を比較することが必要なのだ。

人生相談の女性は、誰かと異なる自分になろうという意識を欠く。お金のためだけにあと30年も働くのかと思うと地獄・・・そう言う。そもそも20代で30年後を考えるなんて、そんな経験がなかった僕には不思議だが、でも、自分の将来に目を向けるのは悪いことではない。ならば、暗い気持ちになるばかりでなく、自分の頭、自分の手足を使い、心が満ちる将来の暮らしに踏み出すべきではないか。

気温37度。無風。熱気の綿が我が全身に覆いかぶさる。先が見通せないほど高く茂った草、その7×10メートルに今日は腕1本で挑む。自分へのご褒美は風呂上がりのスーパードライ500ml。ドライの酔いと昼間の労働の疲労をバネとし、朝まで扇風機を回し続けて僕は深く眠る。

気温37度。無風。熱気の綿が我が全身に覆いかぶさる。先が見通せないほど高く茂った草、その7×10メートルに今日は腕1本で挑む。自分へのご褒美は風呂上がりのスーパードライ500ml。ドライの酔いと昼間の労働の疲労をバネとし、朝まで扇風機を回し続けて僕は深く眠る。

かすかに秋を感じさせる赤く染まった空の雲。林の奥から響き渡るカナカナの合唱。惜しみなく力を出し切った労働の心地よさと夕暮れの風景のブレンド。田舎暮らしとは、胸の奥のマグカップでそれをひそかに味わうことである。食べ物を作る。電気を作る。自分の技量と体力でどこまで自力で生きてゆけるか・・・「誰かと異なることに自分の生きる道がある」・・・今永投手の言葉が目の前の深い草の中からふんわり耳元に届くのである。

この記事の画像一覧

  • 身長が低いぶん地上温の影響を強く受ける。子どもの体の周囲の温度は大人より7度も高いというのだ。これを聴いて僕は思った。オレも毎日、地面に近い所にいるなあ、子どもみたいに・・・。単に身長が低いからではない。日々の作業の多くは中腰か腹ばいになってやるからだ。
  • 今日は、先月までキャベツがあって、収穫終了後ほっといたら小さなジャングル状態となった、そこを耕し、人参をまく準備に取り掛かった。障害物がなく、太陽光をストレートに受ける畑の表面温度はごらんのとおりである。
  • 読売新聞に気象予報士の随筆連載がある。今回は「猛暑対策 筋トレや日傘も重宝」という見出しに興味を持った。筆者・蓬莱大介氏は朝晩の筋トレを欠かさない。食事も抜かない。「炎天下で体の中を空だき状態にしないこと」が大切だと言う。僕も前回の原稿に書いた。筋肉細胞は貯水能力に優れる。熱中症予防の根本は運動で筋肉を増やすことなのだ。
  • 日傘は「日陰を持ち歩くようなもの」という表現に百姓の僕は頷く。同じ畑仕事でも、360度ひとつも障害物のない場所と、どこか1方向に高い木なんかがある場所では感覚的に5度以上の温度差がある。
  • 週間天気予報では35度か36度がずっと続く。夜も26度か27度だ。午前中3時間の作業を終えてランチの前、どうにもこりゃメシどころじゃない、という日は水シャワーを浴びる。猛暑でも食欲は落ちないのだが、水シャワーでもって味覚がだいぶ回復する。
  • 「紫外線は『肌の敵』浸透」・・・新聞にそんな大きな記事があった。化粧品大手「コーセー」の研究では、屋外での運動時に日焼け止めを使用することで疲労感が軽減される可能性があるらしい。日焼けという言葉が一般に浸透するようになったのは明治時代末、日焼け止めが発売されたのは大正時代。ただし日焼けは健康に悪いという認識は1990年代までは高くなかったという。そして今、男も日焼け止めを塗る、日焼け止めを使う男は20代、30代が中心らしい。
  • 平年、最も遅い梅雨明けは7月20日頃だ。しかし今年は6月以降まとまった雨が降ったのは10日足らずだった。雨なし高温の天気を喜んだのはまずトマトで大豊作。ジャガイモもよく出来た。ブルーベリーは糖度が高く、ナス、ピーマンも上出来だった。ポポー、柿、栗も順調に育っている。
  • バナナは親株の足元に子株がどんどん出て来る。これを別な鉢に植えてやるといくらでも増やせるということを僕は知った。しかし問題はやはり越冬なのだ。年によってはマイナス7度まで冷え込む当地ではそれが問題なのだ。
  • 僕は料理は下手だが、栄養学的な意識は高く、肉、魚、野菜、果物、乳製品・・・日々、まんべんなく食べる。クスリは全くのまず、健康サプリメントのようなものとも無縁だ。すべて健康は食べ物からという意識がある。目下の猛暑、それを乗り切るには目いっぱい体を動かすこと、栄養バランスを心がけた食事をすること、そして、昼間の労働の疲労をバネに、よく眠ることと考える。
  • 鯛の調理法をひとつ紹介しよう。圧力鍋で半日煮込む。そうすると身と一緒に食べられるくらい骨が柔らかくなる。血液をサラサラにする成分EPAやDHAが摂取できる魚は健康に良い。特に骨には切り身の数百倍のカルシウムが含まれているという。回転寿司のマグロやサーモンも悪くはなかろうが、参考にすべきことであろう。
  • 7月が終わる。猛暑は依然続くが、朝7時台の空気はほんの少し体に優しい。ランニングを終えた僕は朝顔に水やりする。ほどなくしおれてしまう花を愛でる。朝食をすませたら暑さとの闘いが待っている。朝顔はその前の、チョッピリ、しかし貴重なくつろぎタイムだ。
  • 誰かと異なることに自分の生きる道がある
  • 気温37度。無風。熱気の綿が我が全身に覆いかぶさる。先が見通せないほど高く茂った草、その7×10メートルに今日は腕1本で挑む。自分へのご褒美は風呂上がりのスーパードライ500ml。ドライの酔いと昼間の労働の疲労をバネとし、朝まで扇風機を回し続けて僕は深く眠る。

この記事の画像一覧を見る(13枚)

123

この記事のタグ

この記事を書いた人

中村顕治

中村顕治

【なかむら・けんじ】1947年山口県祝島(いわいじま、上関町・かみのせきちょう)生まれ。医学雑誌編集者として出版社に勤務しながら、31歳で茨城県取手市(とりでし)に築50年の農家跡を購入して最初の田舎暮らしを始める。その7年後(1984年)の38歳のとき、現在地(千葉県八街市・やちまたし)に50a(50アール、5000㎡)の土地と新築同様の家屋を入手して移住。往復4時間という長距離通勤を1年半続けたのちに会社を退職して農家になる。現在は有機無農薬で栽培した野菜の宅配が主で、放し飼いしている鶏の卵も扱う。太陽光発電で電力の自給にも取り組む。

Website:https://ameblo.jp/inakagurasi31nen/

田舎暮らしの記事をシェアする

田舎暮らしの関連記事

眩しいほどの光沢の「とろなまバウム」、見た目もかわいい「ぴーなっつ最中」、うまいのに「まずい棒」……地元民がリアルにオススメするお菓子はコレ!【千葉県ご当地お菓子】

努力/自給自足を夢見て脱サラ農家40年(71)【千葉県八街市】

なにんとかなるさマインドの利回りはNISAよりも高いかも/自給自足を夢見て脱サラ農家40年(70)【千葉県八街市】

一番大切なことを見失わない生き方/自給自足を夢見て脱サラ農家40年(69)【千葉県八街市】

光に当たろう 風や光とともに ゆったりと生きていこう/自給自足を夢見て脱サラ農家40年(68)【千葉県八街市】

【道の駅大賞2025|関東編】環境を生かした施設満載!プロが選んだ道の駅BEST3を発表

《一人暮らし・老後も安心》《シニア専用ハウスあり》高台で海山一望の大規模ニュータウン「伊豆下田オーシャンビュー蓮台寺高原」【静岡県下田市】

《一人暮らし・老後も安心》《シニア専用ハウスあり》海山一望の大規模ニュータウン「伊豆下田オーシャンビュー蓮台寺高原」【静岡県下田市】

【人口20万人以上のまち・秋田市】3年連続 住みたい田舎ベストランキング『若者世代・単身者部門』で1位|クリエイティブな取り組みで夢に挑戦したい若者を応援!