バッハが好き
激しく弾む音
テンポの速い音楽
それが子どもの頃から苦手
で、恥ずかしながらいま
暗く、沈み込む音楽が好き
バッハが沈み込ませてくれる心
どこに心は沈み込むか
ミミズやムカデがいる土の中
田舎暮らしとバッハは相性がいい
ピタッと重なる表と裏
365日、意識が土に注がれる
田舎暮らしとはバッハそのもの
暗い旋律、ゆるやかな音の流れ
それでいて我が心は高揚する
沈み込みながら湧き上がる?
田舎暮らしの、そんな矛盾が
・・・好き、バッハが好き
CONTENTS
雨の日の畑仕事が教えてくれること
自給自足に必要なのは「効率」より心地よさ
9月に入って猛暑が一段落した。ここ3日ほど雨模様である。特に今日5日は台風の接近で強雨。今朝、さあ起きようかとベッドから立ち上がった時、頭に冷たいものが当たった。雨漏りだった。ボロの我が家、雨漏りは珍しいことではないが、寝室での雨漏りは初めて。特大のバケツを慌てて設置した。
激しい雨の中で働く。送るべき荷物があるだけでなく、雨だからって、部屋の窓から外を眺めてたってつまんない。前に、自給自足、田舎暮らしの下準備は2つだけ、暑さ寒さに耐える体を作ること、筋肉を鍛えておくこと、そう書いたが、もうひとつ付け加えておこう。雨の中でズボズボになりながら畑仕事が出来ること。出来るだけじゃなく、それを心地よいことと感じる心も大事である。
ブラック企業を辞めた女性とヘンリー・ソローの思想
かぶった帽子と作業着から雨がしたたる。そこで思い出す。20代女性のしたたる悩み。メーカーの正社員だったが退職した。ブラック企業でなく、パワハラを受けたわけでもない。ただ職場には自分の理想とはかけ離れた現実があったという。
現代は、目に見えるモノも見えないモノも多く、とにかくモノがあふれかえっています。私たちの生活はもう十分便利になっているのに、企業は即戦力や効率を重視し、ひたすらモノを作り続けて利益を追求しています。利益のためにモノを作るのはいったんやめるべきだと感じています・・・。
感想を一言でいえば、純粋で、優しく美しい心の持ち主である。かような疑問を抱くようになってしまったら、もはや現代社会で生きるのは難しい。利潤を追求し、得た利潤を自分たちの生活費とするというのが世の大原則。それとは相いれない。別の会社に移っても、彼女の心は満たされないだろう。そこで思う。まさしく彼女は21世紀日本のヘンリー・ソローだと。
どうするか。田舎の山中にこもり、自給自足の生活を始めればいい。栽培における「効率」はいくらか重視せざるを得ないが、利潤追求はせずともよい。必要なのは日々3食分の食べ物を栽培収穫すること。それで心を解き放つことができる。自給自足の暮らしをうまく軌道に乗せることが出来たなら、メーカー正社員時代のあの悩みは夢だったか・・・と思うに違いない。
日本食と田舎暮らしの健康効果
伝統食が抑うつを減らすといわれる理由
荷作り作業を終える時刻、いつも僕は夕食の準備をしておく。お客さん用に収穫した野菜を袋に詰めながらチェックし、不合格品を集めて我が夕食とするわけだ。今日の夕食はゴーヤ・ピーマン・ニンニクと牛肉の煮もの、それにカボチャとサバ。そして湯上りのビール。
魚・野菜・果物に囲まれた食卓の力
前に、日本の伝統食は抑鬱症状を減らすとの研究報告を伝える新聞の記事があった。海藻、大豆製品、野菜に含まれる葉酸は神経伝達物質の合成を助ける。魚は神経伝達物質の働きをサポートするという。僕は海育ちで魚なしの食事は考えられない。同時に、百姓という仕事ゆえ野菜を食べる機会は増える。結果、我が食卓は自然に日本の伝統食になるのだ。ストレートにそのせいだとは言えまいが、日常生活でウツになることは皆無。
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この記事を書いた人
中村顕治
【なかむら・けんじ】1947年山口県祝島(いわいじま、上関町・かみのせきちょう)生まれ。医学雑誌編集者として出版社に勤務しながら、31歳で茨城県取手市(とりでし)に築50年の農家跡を購入して最初の田舎暮らしを始める。その7年後(1984年)の38歳のとき、現在地(千葉県八街市・やちまたし)に50a(50アール、5000㎡)の土地と新築同様の家屋を入手して移住。往復4時間という長距離通勤を1年半続けたのちに会社を退職して農家になる。現在は有機無農薬で栽培した野菜の宅配が主で、放し飼いしている鶏の卵も扱う。太陽光発電で電力の自給にも取り組む。
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