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田舎暮らしの本 10月号

最新号のご案内

田舎暮らしの本 10月号

9月3日(水)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

土の下から聞こえて来るG線上のアリア/自給自足を夢見て脱サラ農家40年(73)【千葉県八街市】

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田舎暮らしがもたらす矛盾と豊かさ

ボクシング好きの“ネクラ男”の矛盾

ずっと晴れと曇りと雨が入り混じる天気であったが、今日はどうやら安定、そして暑い1日になりそうである。爽やかな風を受けながらランニングに向かった。走りながら昨夜のボクシングの試合を思い出す。僕はサッカーもバスケットも駄目。唯一心躍るのはボクシングなのだ。暗く沈み込む音楽が好きな男。そいつが激しく殴り合うスポーツを好む。少しばかりの矛盾もあるが、それもまたよし。

KOシーンがなかったのは物足りないが、井上尚弥のテクニックは素晴らしかった。それ以上に僕がすごいと思ったのは最終ラウンドまでフットワークが軽かったこと。ボデーを打たれた相手選手の足の動きは徐々に鈍くなったが、井上にはそれがなかった。フットワークが変化しない。下半身が強い。田舎暮らしを途中挫折させないための条件でもある。

カボチャ畑が見せたアート

ツルが描いた自然の造形美

朝食をすませて畑を見回り点検する。作物Aが終わったらBに引き継ぐ。さらにC、Dと続く。少品種を大量に作る農家の畑には途中の休みがあるが、我がチマチマ多品種農法には休みがない。朝の見回りでまず気が付いたのはカボチャの葉がほとんど黄色になっていること。間もなく撤去である。

カボチャのアートを楽しむ

カボチャのアートを楽しむ

カボチャを撤去したら来月、ニンニク、タマネギを植えようか。そこで目に留まったのがこの上の写真だ。期せずしてアートになっている。冬の間に使用したビニールトンネルのパイプ。それを5月、わきに立てかけておいた。カボチャのツルは10メートル近くを這ってこのパイプにからまり、こうして実をならせたのだ。ざっと勘定してカボチャは畑に100個ある。すでに収穫したものと合わせると四畳半の床が埋まるほどになる。

さて、9月も半分が過ぎた今は夏なのか秋なのか。気温こそ少しばかり下がったが、カラッとした秋の空気には程遠い。高い湿度は野菜を苦しめる。かつまた僕をも苦しめる。

保存食としてのかぼちゃと「まだ来ぬ秋」

カボチャは貴重な食品である。栄養的に優れているだけでなく、長期保存が可能。ネズミに齧られさえしなければ来年春まで食べられる。さて、9月も半分が過ぎた今は夏なのか秋なのか。気温こそ少しばかり下がったが、カラッとした秋の空気には程遠い。高い湿度は野菜を苦しめる。かつまた僕をも苦しめる。6月半ばから3か月、エアコンなし、2方向の窓を開け、扇風機を朝まで回して熱帯夜をしのいできた。長い時間「強」でフル稼働する扇風機は熱を持つ。この扇風機をも早く仕事から解放してやりたい。本物の秋は・・・まだか。

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  • 激しい雨の中で働く。送るべき荷物があるだけでなく、雨だからって、部屋の窓から外を眺めてたってつまんない。前に、自給自足、田舎暮らしの下準備は2つだけ、暑さ寒さに耐える体を作ること、筋肉を鍛えておくこと、そう書いたが、もうひとつ付け加えておこう。雨の中でズボズボになりながら畑仕事が出来ること。出来るだけじゃなく、それを心地よいことと感じる心も大事である。
  • 荷作り作業を終える時刻、いつも僕は夕食の準備をしておく。お客さん用に収穫した野菜を袋に詰めながらチェックし、不合格品を集めて我が夕食とするわけだ。今日の夕食はゴーヤ・ピーマン・ニンニクと牛肉の煮もの、それにカボチャとサバ。そして湯上りのビール。
  • 人間も辛いが、野菜はもっと辛い。この下の写真は定植半月の白菜。猛暑に痛めつけられ、数日前の強雨に叩かれ、いま再び猛暑にさらされている。さらに不運だったのは虫害。青虫や毛虫には熱中症というのはないらしく、むしろ、低温気味の天候よりも活動が活発になる。この白菜は激しい雨と高温でダメージを受け、さらに青虫に食われてのトリプルパンチなのである。どうやら生長点がダメになったみたいだから外葉は伸びても巻くことはあるまい。ニワトリの餌にするしかない。
  • 先週の台風は強い雨だけでなく風もかなりだった。それでソーラーパネルが傾いた。固定しなおすとともに、ちょうど良い機会、周辺の草も取ってやることにした。この作業をしながら思い出すのは、秋田県由利本荘市の洋上風力発電のこと。
  • 抑鬱症状を減らす伝統的な日本食。しかしそれにも弱点があるという。精製された白米には食物繊維やミネラルが少ない。漬物や干物には塩分が多く、日本食では乳製品や生野菜、果物などが不足しがちになる。
  • ポポー
  • 野菜にとって辛い天気は依然として続く。発芽から日の浅いものにとって、焼け付くほどの光がどれほどキツイものか、想像に余りある。それでも年間のスケジュールに従い種まきはやっておかねばならない。今日は普通の大根と聖護院大根をまいた。相変わらず猛暑何するものぞと、何もかもを覆い尽くすほどのカナムグラ、それを撤去しながらの畑作りである。
  • 日中の光はキビシイ。しかし朝一番の風にはかすかに秋がある。オクラの花が心地よさそうに咲いている。ただしそれも一時のこと。昼前にはもくもくと雲が立ち上がり、やがて雷鳴と強い雨。ここ数日すっかりこのパターンになった。
  • 僕は激しいリズム、テンポの速い音楽、それが若い頃から苦手。暗く、緩やかで、沈み込むような音楽が好き。焼け付くほどの太陽の下で裸で畑仕事をする僕は、友人・知人から野蛮人、原始人とも呼ばれるが、こと、音楽に関しては間違いなくネクラな男のようである。
  • カボチャのアートを楽しむ
  • さて、9月も半分が過ぎた今は夏なのか秋なのか。気温こそ少しばかり下がったが、カラッとした秋の空気には程遠い。高い湿度は野菜を苦しめる。かつまた僕をも苦しめる。

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この記事を書いた人

中村顕治

中村顕治

【なかむら・けんじ】1947年山口県祝島(いわいじま、上関町・かみのせきちょう)生まれ。医学雑誌編集者として出版社に勤務しながら、31歳で茨城県取手市(とりでし)に築50年の農家跡を購入して最初の田舎暮らしを始める。その7年後(1984年)の38歳のとき、現在地(千葉県八街市・やちまたし)に50a(50アール、5000㎡)の土地と新築同様の家屋を入手して移住。往復4時間という長距離通勤を1年半続けたのちに会社を退職して農家になる。現在は有機無農薬で栽培した野菜の宅配が主で、放し飼いしている鶏の卵も扱う。太陽光発電で電力の自給にも取り組む。

Website:https://ameblo.jp/inakagurasi31nen/

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