田舎暮らしの本 Web

  • 田舎暮らしの本 公式Facebookはこちら
  • 田舎暮らしの本 メールマガジン 登録はこちらから
  • 田舎暮らしの本 公式Instagramはこちら
  • 田舎暮らしの本 公式X(Twitter)はこちら

田舎暮らしの本 11月号

最新号のご案内

田舎暮らしの本 11月号

10月3日(金)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

農業はやっぱり3Kと思われているのか/自給自足を夢見て脱サラ農家40年(74)【千葉県八街市】

執筆者:

農業の3Kを超える希望の力

汚れることを恐れない

農業はきつい、汚い、危険。そう言うけれど、僕はほとんどキツくはない。どれも小さい、けれど作物のひとつひとつが希望をくれるゆえだ。希望のKがキツイのKを帳消しにしてくれるのだ。そのことを40年の経験で知る。

そして汚いのK。世に綺麗好きという言葉があるが、僕は真反対。汚い好きという言葉はさすがないが、汚れることに全くアレルギーがない。だって、風呂に入って、タワシでこすればどんな汚れも落ちるじゃないのさ・・・午後6時。予定の仕事を終えた僕は腕枕でネギの畝間に横になっている。空に半月。バッハが聴こえる・・・。

自給生活の達成感と健康

自分の腕2本で多くの仕事をなし終えた。その達成感が心を満たす。さあアナタもいかがですか、田舎暮らし、自給生活。健康で、美味しく食える2つのK。シンプルな人生・・・。たしかに汚れる。時に蜂に刺され、切り傷も負う。でもなんの。田舎暮らしの帳尻は、かすかといえども常に黒字なんです。豊かな食べモノもさることながら、精神面で大きく足る暮らしなんです。ダジャレ川柳でシメましょう。

我はゆく 精神面足る 軽き日々

おやりなさい。足を踏み出しなさい。キャリア40年の先輩が自信を持ってアナタに推しています。小泉八雲が言った通り、生き残れるのは自然と共存し、足るを知る人間なのです。

おやりなさい。足を踏み出しなさい。キャリア40年の先輩が自信を持ってアナタに推しています。小泉八雲が言った通り、生き残れるのは自然と共存し、足るを知る人間なのです。

この記事の画像一覧

  • 指先の細かい動きで土を寄せ、軽く押し付ける作業をジリジリと照り付けるお日様の下でやっているところ
  • 朝のランニングは長袖がちょうどよかった。この爽やかさはいつ以来か。なんだか懐かしくさえある。そして僕も嬉しいが、野菜たちはもっと嬉しいに違いない。
  • 僕はアイス珈琲を飲まない。真夏でもホットを飲む。朝の幸せと、さあ今日もしっかり働くぜというファイトをくれるのが熱い珈琲とパンなのだ。
  • 今年初めて本物の秋を感じる天気の1日であった。湿度が低い。光に濁りがない。起きた時ひんやりしていたので長袖のセーターで7時20分、ランニングに出た。しかしそれでも寒いと感じた。だがこひ太陽が高くなるとまだ気温は高くなる。今日はまずネギの移植から。太陽の位置が変わり、日陰の時間が多くなる場所から移し替えるのだ。収穫は来年1月以降になる。
  • 我が物顔に繁茂した草の撤去。まず、手で抜けるものは抜く。スコップで取れるものは取る。そして最後は重い4本刃の鍬の登場である。これをフルパワーで打ち込むとほとんどのツワモノ草も掘り出せる。それを最後はベルト状にして引きずるのである。次は土に手を入れ、大中小の根っ子を根気よく探り出す。
  • タネをまきおわったら、ブルーネットで囲う。他の農家にはない手間がひとつ増える。耕したばかりの土にニワトリたちは興味を示す。引っ掻き回す。それを防ぐためだ。大鍬を使っての荒起こしからブルーネットで囲うまで2日がかり、のべ10時間の作業だった。
  • 今月初めの激しい雨で雨漏りした寝室。応急処置として張ったビニールの一部が風でプカプカしている。土嚢を増やさないといけないな。土嚢7つを持って屋根に登った。今年は幸い、まだ台風が来ない。今日も日中は32度に及んだが、風雨より猛暑の方が僕はいい。そう思うわけは雨漏りする家に住んでいるせいでもあろうか。
  • 僕は百姓として食える日まで、昼間は仕出し弁当屋の配達をやり、夜は英語塾をやった。だから、定年退職後、カネの心配する必要なく、ずっと自宅の定位置に座り、妻が作った食事を食べていればよいというこの男性には、すごいなあ、いいなあ、感動さえするのである。
  • 3匹しか写っていないが、同時に10匹ということもある。いちいち追い払っていたらタネまきの効率が悪くなるのでほったらかしする。自宅の定位置から動かないという人生相談のあの男性は、きっと蚊に刺されるなんてことはないんだろうなあ・・・極小のレタスのタネをポットに慎重に落としていきながら、僕はそんなことを考えたりもした。
  • 大きなバケツを持って栗拾いに向かう。ああ、そういえば「秋を感じる」食材は何ですかというアンケート調査の結果を新聞が伝えていたな。梨、サンマ、柿、マツタケをおさえて1位は栗だった。先週だったか、栗の専門農家をテレビが取材していた。今年の高温は品質と収量に影響を与えているらしい。この下の写真は色づいた柿。うちの柿もやはり高温、雨なしが響いて実は小ぶりだ。
  • 先週だったか、栗の専門農家をテレビが取材していた。今年の高温は品質と収量に影響を与えているらしい。この写真は色づいた柿。うちの柿もやはり高温、雨なしが響いて実は小ぶりだ。
  • 先週まいたとんがり帽子型のキャベツだ。土を足してやり、水やりをする。ワンポット3つ発芽しているものはいずれ別なポットに分割する。畑に定植可能なサイズになるのは10月中旬。3日がかりで草を払って整地した場所に植えてやる。収穫はたぶん1月からだ。
  • 地に足を着けて働く田舎暮らし。雑念なしに無邪気に働き、出来上がった野菜や果物を楽しんで食べる自給生活。それは健康というオマケをもくれる。もうおわかりであろう。健康のK。これで合わせて4Kだ。先輩格の3Kを数字で1つ上回った。KはノックアウトのKでもある。勝負あったではないか。
  • 昨日は晴れたり曇ったりの1日であったが、晴れている時間の暑さはものすごく、温度計は31度を差していた。昨日まで3日連続、栗拾いをしつつ栗の木の下草刈りに汗をかいた。
  • 今年はやたら蜂が多い。春に切り落とした栗の木の太い枝をどけようとして遭遇した足長バチの巣。触れる寸前に気づいて手を引っ込めたからいいが、うっかりつついていたら総攻撃を受けていただろう。
  • おやりなさい。足を踏み出しなさい。キャリア40年の先輩が自信を持ってアナタに推しています。小泉八雲が言った通り、生き残れるのは自然と共存し、足るを知る人間なのです。
  • 大きなバケツを持って栗拾いに向かう。ああ、そういえば「秋を感じる」食材は何ですかというアンケート調査の結果を新聞が伝えていたな。梨、サンマ、柿、マツタケをおさえて1位は栗だった。

この記事の画像一覧を見る(17枚)

この記事のタグ

この記事を書いた人

中村顕治

中村顕治

【なかむら・けんじ】1947年山口県祝島(いわいじま、上関町・かみのせきちょう)生まれ。医学雑誌編集者として出版社に勤務しながら、31歳で茨城県取手市(とりでし)に築50年の農家跡を購入して最初の田舎暮らしを始める。その7年後(1984年)の38歳のとき、現在地(千葉県八街市・やちまたし)に50a(50アール、5000㎡)の土地と新築同様の家屋を入手して移住。往復4時間という長距離通勤を1年半続けたのちに会社を退職して農家になる。現在は有機無農薬で栽培した野菜の宅配が主で、放し飼いしている鶏の卵も扱う。太陽光発電で電力の自給にも取り組む。

Website:https://ameblo.jp/inakagurasi31nen/

田舎暮らしの記事をシェアする

田舎暮らしの関連記事

絶対に訪れたい!【無印良品の地域連携スポット】後編/宿泊施設編

【海好き必見!】サーフィンや釣り、SUPなどが日常的に楽しめる! 海の近くで暮らす夢をかなえた人たち| 海辺の物件を購入する際のポイントも紹介

絶対に訪れたい!【無印良品の地域連携スポット】前編/地域とつながる拠点&キャンプ場編

土の下から聞こえて来るG線上のアリア/自給自足を夢見て脱サラ農家40年(73)【千葉県八街市】

暑さに立ち向かう/自給自足を夢見て脱サラ農家40年(72)【千葉県八街市】

眩しいほどの光沢の「とろなまバウム」、見た目もかわいい「ぴーなっつ最中」、うまいのに「まずい棒」……地元民がリアルにオススメするお菓子はコレ!【千葉県ご当地お菓子】

《シニア専用ハウスあり》《一人暮らし・老後も安心》海も山も一望できる「伊豆下田オーシャンビュー蓮台寺高原」で自分らしく暮らす【静岡県下田市】

注目の移住先! 豊かな自然と暮らしやすい利便性が調和した東京・多摩地域で暮らしませんか【東京都多摩地域】

50代から「地域おこし協力隊」で夢への第一歩を踏み出す! 長年の社会人経験を活かして充実した人生を