冷たいの語源は「爪痛い」との説があるらしい
ビニールハウスの中でも凍える現実
元日にまいた大根。そろそろ1回目の間引きをやろう。間引き菜は5センチくらい。お客さんにサラダでどうぞと書いて荷物に入れよう。ビニールハウスの中は、体を入れたとたんポカポカとするものだが、今は、かすか、まあ外よりはいいかな、そんな感じ。
昨日の天声人語で、「冷たい」の語源は「爪痛い」という説があると教えてもらった。筆者は旧満州、中国の東北地方に勤務経験がある。零下30度になるそこでの寒さは、寒さというより痛みだったと書く。土地の人は”先”に注意と教えてくれた。耳の先、手や足の先、頭の先・・・そう書いてから、冷たいの語源は「爪痛し」との説があると付け足していた。
指先が動かない寒波の影響
これほどの冷えでは困ることがいくつも。荷造りのガムテープが思うように切れない、卵を包むために新聞紙を細く折りたたむのだが、それにも手間どる。このキビシイ寒さは僕の場合、指先の不自由さに集中する。
草の香りをかいで、土をいじってると、生き返るみたい
ランニングを終えて朝食しようと水道をひねったが、水が出ない。ポータブル蓄電器はどれもエラー表示でONしない。すべてが凍りついた朝である。今日はまずハウスのビニール交換から。新年の3日続きの強風でズタズタにされたハウス。いったんは応急処置ですませたのだが、中には花をいっぱい咲かせているエンドウがある。ずっと古くて光の透過の悪いビニールで我慢させてきたのだ。
この機会に奮発するか。この寒さの中、せめて光だけでもタップリ浴びさせてやろうか。8×10メートルのビニールを1万円ちょっとで買った。野菜たちの喜びを自分の喜びとする。このエンドウであれ人参であれ、野菜が喜んでいる姿を肌で感じる、それが農家の心だ。
耐寒野菜タアサイの生命力
続いてやるのは、他のビニールトンネルで優秀な発芽を見せているタアサイ。しかし発芽率が良いぶん、かつて経験した朝の通勤電車みたいに込み合っている、それを移植する作業だ。野菜はそれぞれ寒さに対する抵抗力を備えているが、とりわけ耐寒性が強いのがこのタアサイだ。うまく育つと直径が30センチくらいになる。味、栄養価ともすばらしい。
草の香りをかいで、土をいじっていると、生き返るみたい
これは、能登半島地震の被害で、金沢などのマンション、いわゆる「みなし仮設」に暮らす高齢女性たちが、畑サークルというのを作って野菜作りに励む、そこで、土を鍬で起こしながら口にした言葉だ。そう、たしかに「生き返る」。会社では死にかかり、必死にもがいていた僕が病気せず陽気に働いている。土のおかげだ。
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この記事を書いた人
中村顕治
【なかむら・けんじ】1947年山口県祝島(いわいじま、上関町・かみのせきちょう)生まれ。医学雑誌編集者として出版社に勤務しながら、31歳で茨城県取手市(とりでし)に築50年の農家跡を購入して最初の田舎暮らしを始める。その7年後(1984年)の38歳のとき、現在地(千葉県八街市・やちまたし)に50a(50アール、5000㎡)の土地と新築同様の家屋を入手して移住。往復4時間という長距離通勤を1年半続けたのちに会社を退職して農家になる。現在は有機無農薬で栽培した野菜の宅配が主で、放し飼いしている鶏の卵も扱う。太陽光発電で電力の自給にも取り組む。
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