掲載:2021年9月号
世界的に有名なカルデラを持つ阿蘇や干潟で有名な有明海など、山あり海ありの熊本県。豊かな名水や温泉、新鮮な食材、そしてそこに住む人たちも熊本の魅力です。今回は、地域おこし協力隊を経て、ライダース&コミュニティスペースを開業した森本さんを紹介します。
水田が広がる静かな里山の一角に、「ライダース&コミュニティスペース俺家(おれんち)」がある。主(あるじ)は、4年前に北九州から南関町肥猪(なんかんまちこえい)地区に単身移住した森本和臣(もりもとかずおみ)さん(48歳)だ。
事故で大けがをするなど人生の転機に遭遇した森本さんは、ゼロからのスタートを決意。新しい生き方を模索するなかで見つけたのが、第1号の地域おこし協力隊員を募集中の南関町だった。「南関は田舎だけど都市へのアクセスがいい。もし北九州に住む親に何かあっても、2時間で帰れる安心感があった」と森本さん。
空き家バンクで見つけた築100年の古民家を借りて生活が始まった。
「引っ越しの挨拶に回ると、『今カレーができたから』と分けてくれたり、穫れたての野菜が玄関先に置かれていたり。これまで経験のない距離感に驚きましたが、次第にそのよさを感じるようになりました」
着任した森本さんは、移住定住に絞って取り組みたいと志願。さらに玉名圏域の他地域の隊員にネットワークづくりを呼びかけ、地域を超えた活動にも取り組んだ。
南関町には住民が伝承する神楽が多数ある。担い手らは、文化伝承だけでなく、地域の問題を自らの力で解決しようという思いも強い。彼らは地域に溶け込もうと努力をする森本さんの力強い仲間にもなった。
自宅として借りた古民家は6DK+納屋付き。地域おこし協力隊を卒業し、自宅を簡易宿所兼コミュニティスペースとしたのは2020年6月のこと。家を改修し、庭にはピザ窯やドラム缶風呂を設置するなど、地域の人の手を借りてつくり上げた。
その一方、地元企業にも職を得た。勤め先は、昔ながらの竹の箸を守ろうと、熊本と福岡の竹を使い、箸だけをつくり続けている㈱ヤマチクだ。ここは2年前に自社ブランドを立ち上げ、ミシュランシェフに愛用されたり、海外コンテストで次々と受賞して注目を集めている。
「地元にありながら、世界とつながれる仕事をしたい」と山崎彰悟専務取締役は話す。
南関町は、新しい人生を模索する移住者を、温かく迎え入れるまち。地域に根差し、世界につながれるまち。この小さな山里には、大きな可能性が満ちている。
熊本県南関町
熊本県の北西に位置し、福岡県との県境にある緑豊かな町。かつては豊前街道沿いに関所が置かれ、現在は九州自動車道の南関ICがあって、県北の玄関口となっている。参勤交代の際の休憩所となった御茶屋は、国指定史跡として保存整備され、多くの人が訪れるスポット。年間を通して、大津山のサクラ、ホタル、夏祭り「ぎおんさん」、ふるさと関所まつり、陶器・梅まつりなど、四季を通して楽しむことができる。
〈アクセス〉
・阿蘇くまもと空港から車で、九州自動車道経由で約45分
・九州新幹線新大牟田駅から車で約10分
南関町の移住支援
ずっと住み続けたくなる町を目指し、「住んでよかったプロジェクト推進事業」に取り組んでいます。住宅取得補助、出生や入学の際の関所っ子応援金、高校生までの医療費全額補助、保育料や給食費の助成、乗り合いタクシーの運行など多岐にわたる支援を行い、子どもから高齢者までが暮らしやすい町づくりをしています。
問い合わせ:南関町まちづくり課 ☎0968-57-8501
https://www.town.nankan.lg.jp/page2751.html
熊本県への移住のお問い合わせ
くまもと移住定住支援センター
【東京窓口】
☎080-2125-1656(直通)/☎03-6273-440(1代表)
(火~日曜10:00~18:00)
〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館8階(ふるさと回帰支援センター内)
【大阪窓口】
☎090-9288-0046(月~金曜9:00~17:00)
〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田1-1-3-2100 大阪駅前第3ビル21階(熊本県大阪事務所内)
【熊本窓口】
☎096-333-218(1月~金曜9:00~16:00)
〒862-8570 熊本県熊本市中央区水前寺6-18-1(熊本県地域振興課内)
【熊本県移住定住ポータルサイト】
「LIFE KUMAMOTO」https://www.kumamoto-life.jp
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