掲載:2021年9月号
ログハウスは自然の風景になじみ、田舎暮らしの住宅として人気が高い。その魅力は、見た目や雰囲気だけではない。じつは住宅としての性能が非常に高く、時代のニーズにマッチした実力で人気が高まっている。
住宅として人気が高まるログハウス
ログハウスとは、ログ材と呼ばれる丸太や角材を横に積み上げてつくる建物だ。日本の一般的な住宅は柱や梁を構造体とするが、ログハウスは丸太組構法といって壁となるログ材がそのまま構造体になっているのが特徴。
かつてログハウスといえば自然の木を職人が手作業で加工するいわゆる丸太小屋(ハンドカットログハウス)が典型的だったが、近年はログ材を機械で加工するマシンカットログハウスが主流。メーカーの展示場もあり、住宅として普通に住むことができる。
地震にも、火事にも強い安心安全な家
ログ材を横積みしたログハウスは、地震で建物が揺れるとログ材同士の摩擦が制震の働きをして揺れを軽減する。また、ログ材が直角にかみ合う家のコーナーはノッチといわれる加工が施され、揺れによるログ材のズレを防いでくれる。耐震性は実証実験でも証明されている。
木の家ということで火に弱いイメージもあるが、一定の厚さがあるログ材は火がついても表面が炭化するだけで、それ以上内側は延焼しにくく、よほど燃え進まない限り家が燃え崩れるようなことはない。準耐火構造の認定を取得しているメーカーもあり、じつは燃えにくい建物なのだ。
夏は涼しく、冬は暖かい
木は伐採されたあとも湿度を吸収したり、放出したりする。そのため木をふんだんに使ったログハウスは高い調湿性能を備えており、湿度の高い夏でも比較的快適に過ごせる。また、ログ材は通常100㎜以上の厚さがあり、それ自体が高い断熱性を有している。
木はチューブ状の細胞が束なってできており、その中にたくさんの空気が含まれた天然の断熱材だからだ。加えて精密に加工されたマシンカットログハウスはノッチやサネといわれる凹凸でログ材同士ががっちりと密着しているので気密性も非常に高い。
メンテナンスで経年変化を楽しむ家
ログハウスは建てたら終わりの家ではない。木の家であるため再塗装などの定期的なメンテナンスで紫外線や風雨による傷みを抑えなくてはいけない。それが面倒と思う人もいるかもしれないが、メンテナンスが必要ないものは、言ってしまえば使い捨て。車でも道具でも手入れをすることで長持ちするし、愛着も湧く。
自然素材でできた古民家が100年後の今も健在であるように、木の家であるログハウスも、時の経過とメンテナンスで味わいが増し、ずっと住みたい家になるのだ。
文/和田義弥 イラスト/関上絵美・晴香
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