掲載:2021年9月号
「美しい自然に囲まれて子育てがしたい」「田舎で暮らすなら林業をやろう」。そう考えていた夫妻が四万十町(しまんとちょう)に移住できたのは、林業の就職先が見つかり、タイミングよく中間管理住宅に出合えたからだった。
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東京から高知県内の二段階移住で四万十町へ移住
四万十町西部の十和(とおわ)地域は、四万十川の流域に田畑が点在する一方、域内の約9割を山林が占める。ここを拠点にして林業に携わっているのが、妻の英理加(えりか)さん(30歳)、優依子(ゆいこ)ちゃん(1歳)とともに暮らす塙賢治(はなわけんじ)さん(36歳)だ。東京から高知県大豊町(おおとよちょう) での仮住まいを経て、2020年3月に今の場所へと二段階移住した。
「僕は橋梁メーカーで働き、妻はプロボクサーとして活躍していましたが、子育てをするなら自然の多い場所がいいと考え、双方の両親が住んでいる四国にしようと決めました」
そう話す賢治さんは以前から林業に興味があり、高知県林業大学校で1年間学んだ。その際のインターンシップ先の1つで、造林など循環型の林業を実践する「とおわ守人企業組合」に就職。併せて近隣地域で家探しをしていたところ、四万十町の中間管理住宅が新たに供給されたことを知り、即決した。中間管理住宅は町が空き家を借り上げ、改修して貸し出すもので、明治時代築の古民家らしい外観とは対照的に、室内は快適に整えられていた。
「システムキッチンやユニットバス、温水洗浄機能付き水洗トイレなど現代的な機能が揃い、東京で住んでいた賃貸アパートよりもいいくらいです」
と、英理加さん。家賃がお手ごろで、新鮮な野菜が買える道の駅に近いことも気に入ったという。現在は子育てに専念する英理加さんだが、家の前の畑で少しずつ野菜を育て、「今後は庭にお花を植えてきれいに彩りたいですね」とも話す。
賢治さんは林業の傍ら、昨冬からワナ猟に挑戦。「目の前には四万十川があるので、カヤックやラフティングもやりたいし、アマゴ釣りもしたい。子どもが大きくなったら家族でキャンプや登山に行くのも楽しみです」と、まだまだやりたいことが尽きない。ゆくゆくは土地を購入し、ログハウスをセルフビルドすることが夢だという。
【物件データ】
●間取り…3LDK
●築年数…117年
●家賃…月2万5000円
●敷金…2カ月分
●礼金…なし
●仲介手数料…なし
塙さんに聞く!賃貸物件Q&A
Q.希望する物件をうまく見つけるためのコツは?
A.役場や不動産会社、NPO法人などに連絡してみること。ネット上の情報は最新でないケースもありますし、掲載していない物件を紹介してもらえるかもしれません。
Q.購入ではなく賃貸を選ぶメリットは?
A.初期費用が少ないことが一番。買うにしても建てるにしても、まずは賃貸で住みながらじっくり検討すれば失敗は少ないはず。
四万十町Information
清流が誇る美食の王様「四万十うなぎ」
清らかに澄み渡る四万十川で獲れたシラスウナギに、四万十川のアオノリなどこだわりの餌を与えて育てた四万十のウナギは、臭みがなく、うま味がしっかり。ふるさと納税では、お手軽な蒲焼きカットから炭火の香りが心地よい伝統的な“地焼き”まで、寄付額に応じて選べる。
問い合わせ先:にぎわい創出課 ☎0880-22-3145 https://furusato-shimanto.jp/
四万十町移住支援情報
幅広い滞在スタイルを用意
四万十町では、1日から利用できる短期滞在型宿泊施設、1~6カ月間の利用ができるお試し滞在住宅、2年間入居できる移住支援住宅、最長3年契約の「四万十町滞在型市民農園クラインガルテンしまんと」と、幅広い受け入れ体制を整えている。
お問い合わせ:にぎわい創出課 ☎0880-22-3281 http://shimanto-iju.jp/
文・写真/笹木博幸
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