宮崎県は「日本のひなた宮崎県」といわれるほど、温暖な気候に育まれ、様々な食資源が豊富。今回は、そんな宮崎県の強みである“食”と“農”を起点として、持続可能なビジネスモデルを目指すプロジェクト「みやざきLFP(ローカルフードプロジェクト)」から、実際に誕生した商品を紹介しよう。
神話の里 高千穂のグルメをブランド化
(事業主体:高千穂町農産物加工連携会議・パートナー:あまてらすの娘たち)
日本神話発祥の地、景勝地として宮崎県内屈指の観光地である「高千穂(たかちほ)」の社会課題である、地域食資源の活用や中山間地域の活性化を解決するために、農業者、加工販売業者、地元企画会社などによるプロジェクトを発足させ、特産である農産物加工品のパッケージデザインの一新や、商標登録ロゴによるPR、さらにはオンライン観光ツアーによるファン獲得など、高千穂ブランド確立に向けた取組を進めている。
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「高千穂ゆず胡椒(激辛)」
高千穂では唐辛子を育てている家庭が多いことから、通常の3倍の量の唐辛子と千切りにした高千穂産のゆず、米麹を組み合わせ、高千穂にて収穫された素材のみで作られたゆず胡椒開発に取り組んだ。千切りにされたゆずと唐辛子の絶妙な配合バランスが織りなす、辛味と旨みが特徴。調味料としても、お酒のお供にも最適な高千穂ゆず胡椒は、是非一度味わってほしい逸品。
県内加工業の推進と健康志向に優しい美味しさを
(事業主体:ベジフルミルクあまざけ協議会・パートナー:株式会社Milk Lab.)
ベジフルミルクあまざけ協議会は、株式会社 Milk.Labが主体事業者となり、JA宮崎経済連などと立ち上げた協議会だ。社会課題解決として、食資源の廃棄率減少や県産農産物の県内加工促進に加え、加工品の特性を活かし、旬の時期だけでなく、年間を通して農産物をアピールできることを挙げている。
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「フローズン優乳甘酒 完熟きんかん」
優乳甘酒に宮崎県特産の完熟きんかん「たまたま」を使用したフローズン甘酒を開発。宮崎大学と共同で加工方法などを検証し、免疫力向上が期待できるβ-クリプトキサンチンを豊富に含むきんかんを配合した甘酒の製品化を実現した。
自然生態系を守る農業を続けて40年 有機農業のまち 綾町
(事業主体:綾町有機農業研究会・パートナー:有限会社九南サービス)
1988年に全国初となる「自然生態系農業の推進に関する条例」を制定してオーガニック栽培の取り組みを開始し、現在は、国内有数のオーガニック野菜の産地である綾町(あやちょう)。社会課題解決として、コロナ禍によって時短・簡便品の利用が増えたことを背景に「お湯で戻すだけで手軽に調理できる乾燥野菜ミックス」の開発に取り組んだ。
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「ななつのしあわせ 野菜ミックス『ベジ畑』」
綾町の豊かな⾃然と肥沃な⼟壌から⽣まれた、栄養豊富な6種の有機野菜(にんじん、赤大根、大根、白菜、キャベツ、レタス(※2023年度生産品) と、九南サービスの⾃社農園で育てた⾁厚な椎茸の計7種類の素材をミックス。 使用している野菜は、有機JAS認証を取得した畑で栽培し、年に1回有機JAS認証機関による監査などがあり、安全を守る厳格な基準が定められたなかで栽培から出荷まで行っている。旬の野菜を低温乾燥させることで素材の美味しさが凝縮され、⼿軽に栄養も摂取できるのも嬉しいポイント。
↑ ベジ畑を使ったラーメン。袋麺のトッピングとして最適だ。ほかにも炊き込みごはんやスープなど、レシピもたくさんある。
国内流通量1%未満!? 希少な国産グレープフルーツをジュース&ゼリーに
(事業主体:柑橘加工品開発プロジェクト・パートナー:有限会社緑の里りょうくん)
国産だからこそできる、グレープフルーツを樹上にて完熟させることで、新鮮かつ果汁の量が格段に上がり、濃厚で高糖度なグレープフルーツが収穫される。さらに防腐剤・防カビ剤・ワックス不使用のため、果皮まで味わうこともできるのも驚きだ。社会課題解決として、グレープフルーツの年間生産量トップクラスを誇る日南のグレープフルーツを加工し特産品とすることで、地域全体における柑橘農家の高齢化等による生産者の減少を食い止め、地域振興に役立てる狙いがある。
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「HIMUKA CITRUS:JUS(ヒムカシトラス:ジュス)GF 100%PREMIUM」
「HIMUKA CITRUS:GELEE(ヒムカシトラス:ゼリー)GF」
「緑の里りょうくん」の国産グレープフルーツ「月夜実(つくよみ)」は、通常より約1ヶ月ほど収穫を遅らせ樹上完熟させているが、果物自体の旬はだいたい3月末~6月中旬ごろのため、食べられる時期が限定されている。そのため、年間を通して国産グレープフルーツを味わえる商品を作りたいという思いから、商品化にいたった。
霧島山系の湧水と穏やかな木漏れ日を浴びて育った原木椎茸
(事業主体:田中椎茸・パートナー: Bistroマルハチ、Kokoya de Kobayashi)
田中椎茸の原木椎茸は、山から切り出したクヌギの木(原木)に椎茸の菌を打ち込んでから、約2年の期間を経て、菌糸をゆっくりと成長させる。その後、榾場(ほだば)に移し、霧島山系の天然水を散水しながら、栽培し収穫を行っていく。社会課題解決としては、コロナ禍で原木椎茸の需要が減るなか、「みやざきローカルフードプロジェクト(LFP)」として、宮崎県内のレストランのシェフと協力し、原木椎茸に合うレシピ開発を行うことで、県産原木椎茸の魅力や認知を広めていく狙いがある。
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「有機原木冷凍椎茸」「田中椎茸とセミドライトマトのタプナードソース」
有機原木冷凍椎茸は旬である冬の時期の原木椎茸を厳選し急速冷凍しており、風味や食感を閉じ込めている。また、タプナードソースは宮崎市内のフレンチレストラン「Bistroマルハチ」のオーナーシェフと連携。自宅で楽しめるプチ贅沢メニューとして開発され、「まるでお肉のような弾力の椎茸とシェフ渾身のタプナードソース」の組合せが絶品だ。
宮崎県の豊かな自然と地域の活性化に奮闘する人々の想いが詰まった商品を、一度味わってみたくなったのではないだろうか。
次回は、現在新たに取り組んでいる新しいプロジェクトについて紹介するので、お楽しみに。
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