農業YouTuber黒壁の「誰でも手軽に家庭菜園」vol.11
YouTubeチャンネル「まるっと農業日記」を運営する黒壁勇人(くろかべ・はやと)さんが、誰でも気軽に家庭菜園を楽しめる方法をまるっとレクチャーする本連載。
第11回のテーマは、家庭菜園をする人に限らず、庭のある家の多くが悩まされる「雑草対策」。「雑草は根っこから抜かないと意味がない」──そんなふうに思っていませんか? 実はそれ、ちょっと待った! 今回の記事では、雑草と上手に付き合うための基本の考え方と、初心者でもすぐ実践できる「正しい草刈りのコツ」をわかりやすく解説します。
CONTENTS
雑草は“抜く”のではなく“刈る”のが正解!
抜いても抜いても生えてくる雑草。「とにかく根っこから抜くことが大事」そう思っていませんか?
誤解している方が多いのですが、実は雑草は“抜かずに刈る”のが正解なんです。抜いてしまうことで、かえって雑草が増えたり、野菜の成長に悪影響を与えてしまうこともあるので注意が必要です。
なぜ雑草は“抜いてはいけない”のか?
雑草を引き抜くことで、以下の3つの問題が起こってしまうんです。
1. 土が締まって固くなる
雑草の根は、土をふかふかに保つ役割を果たしています。
引き抜いてしまうとその機能が失われ、土が固く締まりやすくなり、野菜にとって育ちにくい環境に。
2. 新たな雑草の種を掘り起こしてしまう
雑草を抜くと、地中に眠っていた種子が一緒に表に出てきてしまいます。
これが次の雑草をどんどん呼び込む原因に。
3.さらに強力な雑草が生える
固くなった土でも雑草はしぶとく生えてきます。しかも、次に生えてくるのはより生命力の強い“強敵”になりがち。
この“雑草ループ”を断ち切るには、抜かずに刈るのがいちばんなんです。
抜いた方がよい雑草もある!
とはいえ、すべての雑草が「刈り取ればOK」というわけではありません。中には抜いたほうがよい雑草もあります。
地下茎の雑草は、地中で根を張って増殖し、広がってしまうので抜いた方がよいでしょう。スギナやドクダミ、ヨモギ、ススキ、クズなどが地下茎の雑草です。
生命力が強く、栄養を溜め込んで野菜以上に大きく育ってしまい、野菜の生育を邪魔してしまうこともあるので抜くのが正解。ツルボ、ノビル、ハマスゲなどが球根タイプの雑草です。
地下茎タイプと球根タイプは見つけたらしっかり「抜く」のがベスト。それ以外の雑草は、基本的に「刈る」でOKです!
雑草を減らす“草刈り”のコツ|成長点を狙え!
「刈る」といっても、ただザクザク刈ればいいわけではありません。大事なのは“成長点の下”で刈ること!
雑草は地面から少し上にある「成長点」で光合成を行い、エネルギーを作っています。このポイントより下を狙って刈ることで、光合成を止め、雑草の再生を防ぐことができます。
つまり、刈る位置は“地面スレスレ”が正解!成長点より上で切ってしまうと、数日後にはまた復活してしまうので要注意です。
雑草を効率よく処理するには、刈払い機(草刈り機)が便利。ただし、石などの硬いものに当たると、刃が体に当たって大けがにつながってしまうので注意が必要です。成長点の下を意識して、地面ギリギリを刈り取るイメージで!
刈った雑草は“資源”になる!
刈り取った雑草、捨ててしまうのはもったいない!
雑草を活用することで、家庭菜園の循環が良くなりますよ!
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堆肥にして土に戻す:しっかり乾燥・分解すれば、栄養豊富な土壌改良材に
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マルチ材として再利用:畝に敷けば、保温・乾燥防止・雑草の発生抑制にも
まとめ|“抜かずに刈る”で、家庭菜園をラクに楽しく
今回のポイントをおさらいしましょう
☑ 雑草は「抜く」より「刈る」が基本 ☑ 地下茎タイプと球根タイプだけは“抜く” ☑ 成長点の下で刈る=地面スレスレを狙う! ☑ 刈った雑草も、堆肥やマルチとして有効活用 |
草刈りもまた、家庭菜園の醍醐味! 雑草と上手につき合えれば、家庭菜園はもっとラクに、もっと楽しくなります!
写真提供:YouTubeチャンネル「まるっと農業日記」
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この記事を書いた人
黒壁勇人(農業YouTuber)
黒壁勇人(くろかべ・はやと) 北海道出身の農家の息子。 登録者数7.13万人のYouTubeチャンネル「まるっと農業日記」を運営。 農業声優Machico「週末ノウカー」準レギュラー、 第3期サントリー本気野菜公式アンバサダーも務める。 より多くに人に農業の魅力を知って欲しいと、YouTubeチャンネルでは、家庭菜園から野菜の植え方・育て方、そのコツまで誰でも簡単に農業を楽しめる方法を初心者にもわかりやすく紹介している。
Instagram:@kurokabe_farm
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