富山県射水市出身で、カメラマンとして東京でキャリアを積んでいた利波由紀子さん。東日本大震災をきっかけに「家族の近くにいたい」という思いが強くなり、2012年、Uターンを決意します。地元で仕事をスタートするなかで出会った仲間たち、そして高岡で築いたご家族との暮らしについて、寄稿してもらいました。
掲載:2025年8月号
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利波由紀子(となみゆきこ)●大学進学のため上京。カメラマンになることを志し、出版社スタジオやアシスタントなどを経験後、地元富山にUターン。地元情報誌に勤務後独立。料理、商品、人物、建築など広告撮影を中心に活動。一児の母として育児と仕事に奮闘中。趣味は登山とアウトドア。https://tonami-y.jp
富山県高岡市(たかおかし)
山も、海も、キャンプも。気軽に行ける環境
標高約2450mの立山室堂から1時間ほどの距離にあり、絶景を望むことができる雷鳥沢キャンプ場。9月中旬ごろから見頃になる紅葉と青空は息をのむ美しさです。(利波さん 以下省略)
カメラマン修業中の20代後半から、将来どこで暮らすのかを考え始めました。そんななか、東日本大震災を経験し、家族が身近にいないこと、未来への不安などから富山にUターンすることを決意。
10年以上地元から離れていたので、富山のことを何も知らなかった私は、地元情報誌にカメラマンとして勤務することにしました。
北陸を駆け回り、富山の自然や食などの魅力に触れることができたうえ、会社には以前からの趣味でもあった登山部があり、北アルプスの壮大な絶景にも魅了されました。そこで出会った同僚や仲間たちは独立後も一緒に仕事をしたり、情報を共有したり、登山に行ったりして刺激をもらっています。
現在は、古い町並みや伝統が残る高岡市に暮らしています。国の重要有形・無形民俗文化財である「高岡御車山祭(たかおかみくるまやままつり)」が行われる町内です。
息子が小学生になってお祭りに参加するようになると、今までお話しする機会がなかった町内の皆さんとの距離も縮まりした。お祭りの準備や当日はとても大変なのですが、伝統的な文化に触れ、山車に乗る息子を見ると、誇らしい気持ちに……。町の中心部には若い世代や子どもが少なく、祭りや町を守る未来にも関心が出てきました。
高岡は美しく雄大な立山連峰や海がとても近く、休日には市場でおいしい魚介類などの食材を買ってキャンプに行ったり、「明日晴れるから登山に行こう!」と気軽に出かけられる場所。今後は息子と一緒に立山登山に行きたいと準備中です。
400年以上の歴史がある御車山祭。子どもたちは江戸時代の武士の正装である裃(かみしも)を着て、ご神体の守り役・花警護( はなけいご)として山車に乗ります。
能登半島にある大島キャンプ場の海岸から 日本海に沈む夕日を眺めることができました。
キャンプ歴は10年ほど。大自然のなかでのキャンプは、回を重ねるごとに息子の成長を実感します。非日常のなかでリフレッシュできて楽しんでいます。
山を撮影する際のポイント
「山を撮影するときは 山だけでなく 山道や登山者の後ろ姿などを一緒に写し込み、写真に遠近を加えると、奥行きが出て躍動感のある写真になります。三分割法(=画面を縦横3分割した線上に被写体を配置する構図)も意識しています」(利波さん)
文・写真/利波由紀子
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