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田舎暮らしの本 11月号

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田舎暮らしの本 11月号

10月3日(金)
890円(税込)

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農業はやっぱり3Kと思われているのか/自給自足を夢見て脱サラ農家40年(74)【千葉県八街市】

執筆者:

やっぱり農業は3Kなのか
愛媛県のミカン農家の長男
48歳まで女性と交際したことがなかった
44歳、軽トラ運転中に出会ったハトのつがい
その姿が無性にうらやましくなり
自分も結婚したい・・・
大阪の結婚相談所に登録
しかし道は険しかった
3か月で300件のリクエストをするも
面会まで進めたのは3件
すなわち相手からの応答は100分の1
相談所の職員が言う
農業は、きつい、汚い、危険の3K
・・・そう思われていますから
久しく耳にすることがなかった3K
まっ、いいでしょう、認めましょう
でも俺はあと2つKを足したいね
日々、お日様と土に触れる良き気分のK
やがて訪れる実りの時への希望のK
5Kなる新しい言葉・・・それを
ここで、世に問いたい

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季節の移ろいと野菜の成長記録

猛暑から秋への変化

ものの見事に天気は猛暑から秋にスライドした

昨日9月18日は大汗かきながら裸で仕事するような天気であった。前夜のニュースで今日は激しい雨との予報を聴いた。それで、まだ3センチ足らずの人参やカブ。激しい雨に打たれると横倒しになり土に埋まってしまう。それを防ぐため、この下の写真は、指先の細かい動きで土を寄せ、軽く押し付ける作業をジリジリと照り付けるお日様の下でやっているところだ。

指先の細かい動きで土を寄せ、軽く押し付ける作業をジリジリと照り付けるお日様の下でやっているところ

苗を守るための作業

雨は寝床に入る頃に降り始めた。しかし静かな雨だ。これなら大丈夫だろう・・・そう思うのは、先週の雨は激しく、寝室が雨漏りしたからだ。他の場所の雨漏りはいいとして、寝室だけは困る。しかし午前2時頃だったか。大丈夫ではなかった。すごい音で目が覚めた。ライトを手に天井を点検して回り、異常なしと判断して布団にもぐり直したのだった。

そして今日19日。起きると天気は見事に猛暑から秋に変わっていた。朝のランニングは長袖がちょうどよかった。この爽やかさはいつ以来か。なんだか懐かしくさえある。そして僕も嬉しいが、野菜たちはもっと嬉しいに違いない。例年だと、お盆を境に日暮れが早くなり、日中の光も柔らかくなる。だが今年は違う。200本植えたブロッコリーの苗はおよそ半分が暑さで溶けた。長ネギもかなりの打撃を受けた。発芽率はよかった大根がヤケドを負った。

朝のランニングは長袖がちょうどよかった。この爽やかさはいつ以来か。なんだか懐かしくさえある。そして僕も嬉しいが、野菜たちはもっと嬉しいに違いない。

天気よ
お前は
晴天なのが本当か
曇天が本当か
雨がふるのが本当か
風が吹くのが本当か・・・
私は知らないよ

読売新聞「編集手帳」で目にした武者小路実篤の『どちらが本当か』という詩である。気象庁によると10月までは気温が高く、11月は平年並み。そして12月は一気に寒くなる、むしろ平年よりも寒い冬になるという。百姓泣かせだ。

コーヒーから考える地球温暖化と農業

私のコーヒー習慣

コーヒー2050年問題

僕は珈琲が好き。パンも好き。ご飯に味噌汁という朝食は何十年も食べたことがなく、朝は決まって珈琲、パン、チーズ、折々の野菜、そしてバナナという組み合わせだ。珈琲に目覚めたのは50何年も昔。勤めていた医学書専門の出版社がまだ神田神保町にあった頃で、すぐ近くに重厚な感じの喫茶があった。

3時のティータイムになると先輩たちはそこに珈琲の出前を頼む。もう確かな金額は忘れたが、まだ安月給の僕にはけして安くはなかった。しかしある時、オーダーをまとめる女性社員の笑顔につられ、オーダーに加わった。そして知ったのだ。それまで安アパートで飲んでいたインスタントとは天と地の違いであることを。

僕はアイス珈琲を飲まない。真夏でもホットを飲む。朝の幸せと、さあ今日もしっかり働くぜというファイトをくれるのが熱い珈琲とパンなのだ。

僕はアイス珈琲を飲まない。真夏でもホットを飲む。朝の幸せと、さあ今日もしっかり働くぜというファイトをくれるのが熱い珈琲とパンなのだ。そんな僕の目に留まったのは朝日新聞「読書」の頁、『コーヒー2050年問題』の書評だった。評者・酒井正氏は冒頭にこう書く。

コーヒー豆の主な産地は赤道に近い国々であり、それらの多くは開発途上国である一方で、コーヒーの主たる消費地は先進国である。先進国の嗜好品が途上国の安価な労働力によって生産されることから、しばしばコーヒーは南北問題の象徴として語られてきた。

地球温暖化がもたらす作物への影響

2050年問題とは、地球温暖化によって世界の適作地域が2050年までに半減するという予測であるらしい。コーヒー豆生産地についての詳しい知識はないが、自分の農業から推測することは出来る。梅雨なんてほとんどなかったに等しい6月半ばの梅雨明けから90日、高温少雨が作物にとってどれだけ厳しいかを僕は目の当たりにした。先に書いたように、キャベツ、ブロッコリー、長ネギ、大根は予定した収量のたぶん半分にも満たないであろう。

我らの地球は、もはや戦争なんかしている場合じゃない。世界各地でひたひたと、かつて100収穫されていたものが90、80、70と減少している現実がある。人間が持つ知恵とカネ、そして労力、全てを食料生産に向けるべきだ。他はなくても死ぬことはないが、食いものがなければ人間は死ぬのだから。

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この記事を書いた人

中村顕治

中村顕治

【なかむら・けんじ】1947年山口県祝島(いわいじま、上関町・かみのせきちょう)生まれ。医学雑誌編集者として出版社に勤務しながら、31歳で茨城県取手市(とりでし)に築50年の農家跡を購入して最初の田舎暮らしを始める。その7年後(1984年)の38歳のとき、現在地(千葉県八街市・やちまたし)に50a(50アール、5000㎡)の土地と新築同様の家屋を入手して移住。往復4時間という長距離通勤を1年半続けたのちに会社を退職して農家になる。現在は有機無農薬で栽培した野菜の宅配が主で、放し飼いしている鶏の卵も扱う。太陽光発電で電力の自給にも取り組む。

Website:https://ameblo.jp/inakagurasi31nen/

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