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田舎暮らしの本 5月号

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田舎暮らしの本 5月号

3月1日(金)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

ニンジン&ゴボウ/自然菜園で育てるキッチンガーデン【第21回】

掲載:2021年12月号

集団で発芽して根を伸ばし、じっくりと育つ

セリ科のニンジンは競り合って育ちます。種を密蒔きして、発芽後は初期に密植で育てた後、タイミングよく間引いて生長させるのがコツ。夏蒔き秋冬穫りが育てやすく、品種を選べば春蒔きもできます。同じく根が真っすぐ深く張るゴボウは、ニンジンと相性のよい野菜です。秋の収穫に向けてゴボウを春蒔きし、隣の条にニンジンを夏蒔きして一緒に育ててください。

ニンジンはゆっくり時間をかけて発芽、生育する。収穫までの期間は短根の品種ほど短い。写真は自家採種を続けた四寸ニンジン。

初期は密蒔き密植で保湿 徐々に間引いて根を太らせる

 ニンジンの属するセリ科はもともと水辺に育ち、発芽に水分が必要です。そのうえでニンジンは原産地の気候に適応し、雨期に発芽したのち乾期に向けて根を発達させ、生長するにつれて乾燥に強くなる性質を持ちました。水持ちと水はけのよい畑を好み、貪欲に養分を吸い上げて、根を太らせます。

 春、初夏、夏と種蒔きできます。特に梅雨明け直前の7月が、発芽時に保湿しやすく、発芽・生育期が適温に当たり、最も育てやすいです。春蒔きはサクラの満開以降、露地では平均気温が10度になったころにします。

 ニンジンは時間をかけて発芽し、じっくりと育ちます。発芽までの日数は15〜20度で8〜10日、10度で14日、5度では30日以上で発芽率も下がります。35度以上ではほとんど発芽しません。密蒔き・鎮圧・保湿で発芽させ、初期生育を促しましょう。

 種蒔きから収穫までは4カ月ほどかかります。発芽後はしばらく密植の後、徐々に間引いて根を発達させ、太く育てます。

品種選びのアドバイス

東洋種は寒さに強く甘味が強い
西洋種は春にとう立ちしにくい

 アフガニスタンからオランダに伝わった西洋種と、中国に伝わった東洋種とがあります。日本には17世紀に東洋種が伝播して全国に普及。西洋種は江戸時代後期に渡来して広まり、東洋種に代わって一般化しました。春蒔きにはとう立ちしにくい品種を選びましょう。

各種「四寸」ニンジン(冒頭の写真参照)

 丈が短めの「四寸」ニンジンは種苗メーカーの扱いが減っていますが、収穫までの期間が短いぶん育てやすく、調理にも手ごろなサイズです。春蒔きに向くものも多いです。

筑摩野五寸(ちくまのごすん)

 長野県松本市の(公財)自然農法国際研究開発センター育成で、火山灰土や無肥料栽培でよく育ち、夏蒔き秋冬穫りに向きます。

草勢が強く少肥で育ち、自然菜園に向く。

金時(きんとき)

 和食に欠かせない東洋種。ニンジン臭が少なく、鮮紅色で長さ30㎝ほどになる。おせちや煮物に好まれる。

鮮紅色はトマトと同じ色素のリコピンで、がんの抑制効果を持つといわれる。

ニンジンの主なコンパニオンプランツ

同時栽培や前後作でお互いの生育を促進

ゴボウ

効果

お互いによく育つ。

栽培のポイント

ゴボウ、ニンジンいずれかを先に育てておく。条間は50~80㎝空ける。

収穫のポイント

鉛筆ほどの太さになったら間引き収穫。大きいものを残し、太いものが揃ったらスが入る前に掘り取る。

長さの短い大浦ゴボウは、収穫しやすく家庭菜園向き。

カブ

効果

お互いに生育を促進し、虫を避ける。

栽培のポイント

カブは虫害に遭いやすいため、虫を効果的に避けるにはニンジンを先に育てておき、隣にカブを蒔く。春蒔きのニンジンを蒔く際には、ニンジンの種の分量の5%ほどカブの種を混ぜて蒔くと、ニンジンの発芽がよくなる。ニンジンとカブを交互に育てて連作もできる。

収穫のポイント

小カブ、中カブは大きくなったものから順次収穫。大カブは小さいものを間引き、大きいものを育てる。ニンジンと混ぜ蒔きしたときは、ニンジンの1回目の間引きの際に、カブはすべて葉として収穫する。小カブ、中カブの葉は特に美味。

小カブは間引くようにして少しずつ収穫できる。

ダイコン

効果

ニンジンはダイコンの虫を避け、お互いによく育つ。

栽培のポイント

本葉8枚になるまでに間引いて肥大を促す。

収穫のポイント

充分に育ったら早めに収穫する。穫り遅れるとスが入ったり割れたりしやすい。

立ち上がっていた葉が水平近くまで垂れたら収穫適期。

エダマメ

効果

エダマメの根に付く根粒菌が空中窒素を固定し、菌根菌が働いてニンジンの根の生育を助け、肥大を促進させる。ニンジンはエダマメの虫害を避ける。

栽培のポイント

ニンジンから50㎝以上離して育てる。種を3粒ずつ蒔いた後、2本に間引く。

収穫のポイント

マメが6~8割膨らんだら収穫する。鮮度が落ちやすいので収穫後は早めに調理する。

開花の時期に1週間雨がなければ朝か夕方にたっぷり水やりする。

ニンジン&コンパニオンプランツの配置例

夏蒔きのニンジンに向け、
春から育てるコンパニオンプランツ

 4月にゴボウ、カブ、ハツカダイコンを蒔き、6月にカブとハツカダイコンを収穫。カブの後地には7月の梅雨明け前にニンジンを種蒔き、ハツカダイコンの後地には9月にダイコンを蒔く。

 

監修/竹内孝功

たけうち・あつのり1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『完全版 自給自足の自然菜園12カ月 野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』(宝島社)、『これならできる!自然菜園』(農文協)など。2018~19年の本誌連載をまとめた新刊『自然菜園で育てる健康野菜』(宝島社)が好評発売中。

WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/

自然菜園スクール http://www.shizensaien.net/

 

文・写真/新田穂高 イラスト/関上絵美・晴香

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