リモートでの勤務が増加したことで、都心から自然が豊かな環境へと移住できた丸尾さん。車が持てるようになって行動範囲が広がり、趣味も楽しめるようになった。都内へのアクセスも確保しつつ、リノベ団地での豊かな生活を送っている。
丸尾亮(まるおりょう)さん●29歳
大分県別府市出身。大学進学で上京後、海外生活や高知県での農業の研修などを経て、現在はIT系の企業にエンジニアとして勤務している。
【神奈川県二宮町(にのみやちょう)】神奈川県中部に位置し、なだらかな丘陵地が広がる人口約2万7000人の町。町名の由来である川匂(かわわ)神社のほか、古墳群など名所旧跡が多い。東京駅まで東海道線で約1時間10分。
◎リモートで出勤頻度が減ったため移住を決断
エンジニアとして働く丸尾さんは、21年6月に都内から二宮町へ移住した。緊急事態宣言発令中などはフルタイムのリモートワーク、コロナ禍が落ち着いたら出社とリモートが半々となる状況を繰り返しているという。
「所属する会社はIT系ということもあり、以前よりリモートワークで働く人を増やしたいという考えを持っていました。結果的にコロナ禍で、全員が強制的にリモートワークに移行したことで、自然が豊かな場所に住むという目標を前倒しでかなえることができました」
渋谷のオフィスまで通う日があるため、電車で1時間前後の場所を候補地とした。緑が多くて海に近い二宮町の物件をネットで探して、見つけたのがリノベーションされた物件が並ぶ「二宮団地」だった。
「間取りは2Kで、家賃は月5万2000円と、都内よりもはるかに安い。駅まで徒歩30分ほどですが、夏は自転車、冬も家の前にバス停があって運行本数も多いので、問題ありません」
丸尾さんが住む二宮団地は、昭和40年代に開発が進んだが、少子高齢化の進行や空き家の増加で再編プロジェクトが組まれた。多くの建物がリノベーションされ、現在では新たな住民が集まるまちとなっている。
同じ湘南地域でも、平塚市以東は平野部が多く、開発が進んでいるが、二宮町と隣の大磯町は丘陵地が多く、自然が多く残されている。
◎IT系でもリモートへの完全移行が難しい場合も
ネットの光回線がVDSL方式だったため、仕事に支障が出るかと思ったが、使ってみると充分な速度を確保することができた。車を持てるようになり、丹沢の山登りやサーフィン、箱根の温泉巡りなど、趣味の幅も広がったという。
「ただ、自宅での作業は自己管理が難しいですね。監視の目がありませんし、同僚とのちょっとしたコミュニケーションや質問ができない。チャットツールも、どのレベルで使えばいいか手探りの状況です。IT系はリモートワークとの相性がいいですが、私が勤務している会社では完全リモートにするのは難しい面があると感じています」
文/渡瀬基樹 写真提供/丸尾 亮
この記事のタグ
田舎暮らしの記事をシェアする