掲載:2023年1月号
瀬戸内式気候に属し、年間通じて温暖な国東市は、神秘的な歴史や文化と穏やかな時間の流れに包まれ、新しいことにチャレンジしたいという移住者を魅了してやまない。もともと海好きだった夫妻は都会生活を卒業し、農業や狩猟などアクティブな田舎暮らしを満喫中!
田畑や海を通じて、まちの豊かさを実感
若いころからウインドサーフィンに打ち込んできた池田孝(いけだたかし)さん(59歳)と、以前はサーフィンが好きだった妻のめい子さん(57歳)。一緒にバイク店を営みながら神奈川県横浜市で暮らしていたが、貸家の取り壊しに伴う退去を機に移住を決めた。
「知人から国東市がオススメと聞いたので、東京で開催された移住相談会に参加しました。温暖で海も山も川もあることに加え、大きな地震がほとんどないことにもひかれたんです」
と、孝さん。空き家バンクで見つけたのが、築約100年の古民家。めい子さんが「横浜ならマンションが建つ」と例える広い敷地に、家庭菜園には充分な畑と、孝さんのバイク4台を収納できるミカン倉庫が付属。高台からの風景も気に入った。
2018年8月の移住後、ネットを参考にしながらDIYでの改修に着手。同時に2人で無農薬での野菜づくりも始めたが、横浜との環境の違いに驚いたと孝さんは振り返る。
「横浜でナスを育てたときには1本の苗から2つぐらいしか収穫できなかったんです。その感覚でこちらに来てナスの苗を10本植えたところ、食べきれないほど実って大変なことに。日差しも土も勢いが違います」
新たに田んぼを借りて減農薬や天日干しでの稲作に挑戦。孝さんは地域の人から託されたわな猟も始め、不用品として回収した農機具などを修理してネット販売する仕事もしている。
「まだ余裕がないものの、近くによいビーチがあるのでもっと通いたいし、船を買って趣味の釣りも再開したいですね」
と、孝さん。将来はバイカーズハウスや特産品のショップの開業など、2人が思い描く構想はまだまだ多い。ただし、めい子さんはこうも付け加える。
「あくまでもマイペース。国東市は真夏でも日陰に入ると涼しく、ハワイなどの南国のような雰囲気も。せっかく素晴らしいまちにいるので、まずは自分たちが楽しむことがメインです」
池田さん夫妻に聞く!国東市の海・山の楽しみ
バイク好きには最高の環境
バイクが趣味の孝さんいわく、国東市はバイクで走りやすい天国だそう。「マンホールがほとんどなく、気候も穏やかですから。特にミカン農家が多くあったという通称オレンジロードは、海が見えたり、春にはヤマザクラが咲いたり、すてきな景色です」。ときにはめい子さんを乗せて気分転換に出かけることも。
文・写真/笹木博幸
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