掲載:2023年1月号
「海外を相手に、仕事で活躍したい」と人生を見直した、岡山県出身の坂井さんが移住したのは愛媛県今治市。コロナ禍をきっかけにアウトドアの楽しさに目覚め、終の棲家として見晴らしのいい古民家を購入した。補助金を使いつつ、只今絶賛リフォーム中!
200万円の家は築60年補助金を使って大改修
東京でテレビ業界に就職したものの、理想とのギャップを感じて一度故郷の岡山に戻った坂井巳予(さかいみよ)さん(37歳)。
「世界を相手にバリバリ働きたい!」と人生を見つめ直した2019年。縁あって転職したのが、海外でも活躍している今治市の企業だった。
「まちの伝統産業である今治タオルのメーカーさんなどに向けて、洗剤や柔軟剤などを製造し、提供しています。その技術をもとに、海外とも取引があるんですよ」
と、坂井さんははつらつとした笑顔を見せる。転職と同時に市内に居を移した坂井さんだが、この地に根を張ることを決意したのはつい1年ほど前だという。
「最初は都心と比べて、田舎で仕事を充実させられるというイメージが湧きませんでした。しかし、コロナ禍で近所を散策していた時期に、温暖な気候で自然を愛でる喜びやアウトドアにも目覚めて、こんなところで老後まで過ごしたいと考えが変わりました。市内の伯方島(はかたじま)にある『ドルフィンファーム オートキャンプ場』では、真冬でもテントでの宿泊やバーベキューも楽しめるんですよ」
それまでは賃貸のアパートで生活していたが、2022年の2月末から家の購入を検討。パートナーの石岡辰雄(いしおかたつお)さん(44 歳)も同居予定だ。
「愛媛県の空き家バンクで見つけた物件の立地に、一目ぼれしました。4月に下見に来たところ、畑越しに咲き誇るサクラや菜の花がきれいで――。この景色を眺めながら2人でお酒を酌み交わしたいと、夢が膨らみました。それに、築60年の家と聞き、40年後に100歳のお祝いもしてあげたくて」
将来的に景観が維持できるのか土地を調べたところ、周辺は市街化調整区域で、新たな住宅や商業施設は建たないことが判明。200万円で購入した物件は劣化が著しかったが、どうしてもここに住みたいと、1400万円の費用を投じての大改修に踏み切った。補助金は、市の「空き家リフォーム補助金」の200万円を利用した。
新居の完成は2023年1月。今後はプライベートも充実し、仕事面でもさらなる飛躍が待っていることだろう。
坂井さんに聞く!今治市の海辺での楽しみ
橋で渡れる島に気軽にドライブ!
「市内にある『星の浦海浜公園』からは、大型の船が浮かぶ手前に、漁師のおじいちゃんが魚を手繰り寄せていたりするのが見え、地元の人の営みを感じます。持参したドリンクなどを片手にその光景を眺めるのが大好きです。橋で渡れる島が多いので、思い立ったときに車で気軽に出かけられるのもいいですね」(坂井さん)
文・写真/吉野かぁこ
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