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田舎暮らしの本 12月号

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田舎暮らしの本 12月号

11月1日(金)
890円(税込)

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【田舎暮らしの困ること】プロが回答! 公図と現況の違いが移住する段階で判明。なぜか隣の人は測量に後ろ向き

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田舎でのお悩みを、田舎暮らしのベテランライターが回答。田舎ではよくある公図と現況が異なること。はっきりさせるにはどうしたらいいのか、お答えします。

信州の広い農家物件を購入。いざ住んでみると、あるはずの田んぼがなかったり、公図と様子がかなり異なっています。隣の人に相談したら、「10年以内に国土調査があるから、それまで待ったら」と言われました。でも、私たちが生きているうちに子どもたちに正確な境界を伝えられるか不安です。境界をはっきりさせるには測量するのがベストだと思いますが、10万円くらいでできるでしょうか。
長野県在住 原口さん●70歳

境界を確認するには、多くの立ち会い人が必要に

 移住後、公図と現況の違いや境界のあいまいさに驚いた原口さんは、測量で境界をはっきりさせたいと考えた。それをするには、隣接所有者に立ち会いを求めるのが普通。田舎物体は一般に筆数が多く、あちこちで調査すると、下の図の例のように立ち会い人の数も膨大になりがちだ。

 隣地の所有者が多かったり、遠隔地に住んでいたりする場合、立ち会いの依頼は土地家屋調査士を代理人にするケースが多い。土地家屋調査士とは、不動産の表示に関する専門家で、測量なども行う。

 境界イコール所有権の境と考える人が多いはず。しかし、公法上確定した境界は、当事者同士で合意したからといって変動できるものではない。立ち会いは双方とも「ここが境界」と相互認識を持ち、紛争を防ぐためのもの。その点は誤解しないことだ。

田舎の不動産では公簿売買が主流

 昭和26年に国土調査法が発令され、国土の正確な面積を測る地積調査が始まった。基準点を設け、光波測距儀(こうはそっきょぎ)などの機械を使って測量したものは精度が高くなる。これを「14条地図」と呼び、同じ公図でも昔の字限図(あざきりず)より信用できる。ところが、国土調査が実施された面積は令和3年度末で全体の52%に過ぎない。

 田舎の土地は単価が低いため、測量せずに取り引きする公簿売買が主流。どうしてもという人は、自己負担で測量を依頼するケースが多い。費用は最低でも数十万円以上。原口さんの10万円という予算は現実的ではない。隣の人が「国土調査を待ったら」と話すのも、高い費用負担を避けたほうがいいという判断があるのだ。境界争いがないなら、それで納得するのも1つの考え方だろう。

光波測距儀などの機械を使った現代の測量。精度はかなり高い。

 

文・写真/山本一典 イラスト/関上絵美

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この記事を書いた人

山本一典

山本一典

田舎暮らしライター/1959年、北海道北見市生まれ。神奈川大学外国語学部卒業。編集プロダクション勤務を経て、85年からフリーライター。『毎日グラフ』『月刊ミリオン』で連載を執筆。87年の『田舎暮らしの本』創刊から取材スタッフとして活動。2001年に一家で福島県田村市都路町に移住。著書に『田舎不動産の見方・買い方』(宝島社)、『失敗しない田舎暮らし入門』『夫婦いっしょに田舎暮らしを実現する本』『お金がなくても田舎暮らしを成功させる100カ条』『福島で生きる!』(いずれも洋泉社)など。

Website:https://miyakozi81.blog.fc2.com/

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