田舎でのお悩みを、田舎暮らしのベテランライターが回答。広い敷地に家を建てる場合のポイントをお教えします。
南側に公道がある約6反の土地を見学。とりあえず週末利用で土いじりを始めたのですが、あまりお金をかけたくなかったので、道路沿いの100坪だけを簡易造成。ワンルームの小屋と駐車場をつくりました。昨年、定住する家を建てようと工務店に相談したら、「あれほど広い土地は、奥に建てないともったいない。進入路と小屋の移築に150万円以上かかる」と言われてしました。
大阪府在住 松田さん●38歳
進入路を整備して、庭や畑は建物の南に
松田さんは南接する公道沿いに小屋を建築。ところが、工務店に定住家屋の相談をしたら、進入路と小屋の移築に150万円以上かかることがわかった。
田舎では住宅を建てた残りのスペースが駐車場、物置、庭と畑になるのが普通。住宅の採光と敷地の有効活用を考えれば、下図の➊のように北側に東西に長い家を建て、その南側を庭や畑にするのがセオリーだ。最初に公道沿いの土地を簡易造成するのではなく、敷地内に車が進入できる道を整備して、先に定住に向けた田舎暮らしの環境を整えるべきだった。
仮に➋のように北側が道路に接しているなら、公道近くに建てたほうがベター。ただし、通行量が多ければ少し離して建てる騒音対策も必要だ。また、駐車場は建物の脇でかまわないが、畑や庭を行き来する遊歩道はほしい。
建築位置を決めるときのポイントは?
田舎の土地を手に入れたら、まず建築場所を決めて、そこまでの道筋を考えることが大切。最初にグランドデザインを描かないと、松田さんのようなミスになりかねないので注意を要する。
ただし、建築場所の決定はさまざまな要素が絡んでくる。例えば、海や山の眺めを優先する人は、それで位置が決まってくる。周囲に山林があれば、日陰になりにくい場所が適地。傾斜地だったら、なるべく勾配の緩い場所を選ぶことも大切だ。そこが畑なら宅地に変える農地転用が可能か、慎重な判断が求められる。
自治体の条例も関係してくる。例えば、軽井沢町の保養地域では道路から5m、隣地から3m離すのが決まり。別荘地帯ではこういう規制にも注意しよう。建築場所は全体の予算にも影響するので、プロのアドバイスに耳を傾けたい。
文・写真/山本一典 イラスト/関上絵美
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この記事を書いた人
山本一典
田舎暮らしライター/1959年、北海道北見市生まれ。神奈川大学外国語学部卒業。編集プロダクション勤務を経て、85年からフリーライター。『毎日グラフ』『月刊ミリオン』で連載を執筆。87年の『田舎暮らしの本』創刊から取材スタッフとして活動。2001年に一家で福島県田村市都路町に移住。著書に『田舎不動産の見方・買い方』(宝島社)、『失敗しない田舎暮らし入門』『夫婦いっしょに田舎暮らしを実現する本』『お金がなくても田舎暮らしを成功させる100カ条』『福島で生きる!』(いずれも洋泉社)など。
Website:https://miyakozi81.blog.fc2.com/
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