東京・羽田空港から直行便で2時間半、那覇空港からは30分のフライトで到着する沖縄県の離島・久米島(くめじま)。島暮らしに憧れる人たちから支持を集める理由は、離島らしからぬ買い物のしやすさにあり!?
取材・文/藤尾かおり
那覇から空路で30分、海路で3時間半で久米島へ
久米島は沖縄本島の西約200キロメートルに位置する離島で、美しいビーチや自然が魅力。また、島暮らしを体験できるスポットも多く、近年人気が高まっています。
【久米島】
周囲:約48㎞
面積:約63㎢
【行き方】
久米島へのアクセス方法は、飛行機とフェリーの2通り。
飛行機は那覇空港から久米島空港まで直行便が運航しており、所要時間は約30分。東京・羽田空港から久米島空港までは、夏季限定の直行便を利用すると約2時間35分、大阪の関西国際空港からは、那覇空港で乗り換えて最短3時間半で到着します。
また、フェリーを使う場合は、那覇空港からバスやタクシー、モノレール&徒歩で那覇市内の泊港旅客ターミナル(通称・とまりん)まで移動し、そこから3時間~3時間半かけて久米島・兼城(かねぐすく)港ターミナルに行くこともできます。
飛行機は便利ですが、運賃は高めです。フェリーは運賃が安いですが、所要時間が長くなります。予算や時間に合わせて、自分に合ったアクセス方法を選ぶとよいでしょう。
琉球王朝時代には、「球美(くみ)の島」と呼ばれ、琉球列島で最も美しい島と称賛されていた久米島。東部には、絶景の無人島・ハテの浜があり、天然記念物のクメジマボタルも生息しています。リゾート化されすぎていない豊かな自然を、気軽に満喫できる島です。
【移住者の声】
「田舎暮らし初心者でも、Aコープがあれば久米島に住める!」
久米島のリアルな住み心地を移住者に聞いてみた
「埼玉県で暮らしていたので、田舎暮らしは未経験で。そんな僕でも、久米島なら住めると思ったんです」
そう語るのは、久米島に移住して3年目を迎えた新井さん。現在は、地域おこし協力隊の一員として、移住希望者のサポート活動を行っています。大学卒業後は商工会議所に就職し、順調に仕事をこなしていましたが、幼い頃から抱いていた夢を叶えたいという気持ちが強くなっていきました。
その夢とは、「沖縄の島に住む」というものでした。
「小さい頃、NHK連続テレビ小説『ちゅらさん』を見て、小浜島(こはまじま)に魅了されちゃったんですよね」と照れくさそうに笑う新井さん。しかし、小浜島は石垣島から船でしか行けない場所で、交通の便も限られています。コンビニやスーパーもなく、生活必需品を都会のようにスムーズに調達することはできません。
「小浜島への移住は、今の自分にはハードルが高すぎるかもしれない……」
一度は夢を諦めかけた新井さんを、あたたかく迎えてくれたのが、ショッピングスポットが多い久米島でした。
写真は沖縄本島内で撮影した「コープおきなわ」の看板。久米島でもコープおきなわの協同購入による宅配サービスは利用できます。
新井さんは、そんな小浜島ではなく、久米島を選んだ理由について、次のように話します。
「久米島は、小浜島よりも都会で、生活に必要なものが揃っています。でも、小浜島のような自然の豊かさも残っています。そんなバランスの良さが、久米島に惹かれた理由です」
久米島には北西部と東部の2ヵ所に市街地があり、大小さまざまな商店が点在しています。離島らしい個人商店のみならず、24時間営業のファミリーマートは島内に2店舗構えています。
さらに心強いのが、JAグループが運営するスーパーマーケット、「Aコープ」があること! 個人商店を訪れたときのような「ゆんたく(沖縄の方言で「おしゃべり」を意味)」は楽しめませんが、生鮮食品からちょっとした消耗品まで、ひと通りの生活必需品を揃えることができます。特に都会暮らしで個人商店を利用する習慣がなかった移住者には、頼れる存在ではないでしょうか。またコープおきなわの協同購入を利用すれば、自宅まで商品を届けてもらうこともできます。
そして食料品店以外にも、23時まで営業している大型店「ドラッグストアモリ」や、家電量販店「ベスト電器」、地域で愛される「ホームセンターねは家具」など複数の店舗が。おしゃれなカフェやスイーツの販売店もあり、買い物の利便性の高さは久米島暮らしの大きな魅力となっています。
「また、意外なことに、自動車教習所もあるんです!」
「島を周回するメイン道路は、一周の長さが約23㎞。それなら、自転車でも暮らせるのでは?」と思われるかもしれませんが、島内を周回する路線バスは、普段づかいするには少し心許ない1日5便程度という運行本数(停留所により異なる)。さらに、土地の高低差や夏場の強い日差し、悪天候時の暴風雨を考慮すると、車の運転免許を取得しておきたいところ。
島内の「仲里自動車学校」では、普通車やけん引といった各種運転免許の取得指導のほか、ペーパードライバー講習を行っています。とはいえ、島内の道は幅広&シンプルで、信号や標識も数えるほどしかないようですが……。
「プロの指導を受ければ、腕に自信がない人でも心おきなくハンドルを握れますよね」と、新井さんは、久米島で免許を取得するメリットについて語ってくれました。
【久米島の「ちょっとお得!」】
「離島住民割引カード」があれば那覇まで片道2000円台から!
久米島町に住民票を移せば発行してもらえる「離島住民割引カード」。
日常的な買い物には不自由しない久米島での生活。しかし、沖縄本島に用事がある場合は、移動費がかさんでしまいます。そんなとき、久米島町に住民票を移せば発行される「離島住民割引カード」が便利です。
このカードがあれば、久米島~那覇間の船の片道運賃が4310円、飛行機の片道運賃が5440円(2023年5月現在)になります。小児や障がい者も割引対象です。久米島町役場町民課にお問い合わせください。
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久米島の「仕事と住居のあれこれ」を紹介!
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