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田舎暮らしの本 1月号

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田舎暮らしの本 1月号

12月3日(火)
890円(税込)

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ビル4階相当の巨石が出現!「巨石の里」の本誌スタッフが現地調査リポート【福島県田村市】

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地質の大部分が花崗岩(かこうがん)ということで知られる福島県の阿武隈(あぶくま)山地。かねてより巨石が多いことは知られていましたが、産業団地の造成中にとんでもない巨石が現れました。ローカルだけでなく全国でもニュースで流れたため、今、話題になっています。現地の様子と、田村市内にあるほかの巨石についても紹介します。

 

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福島県田村市
福島県の中部に位置する田村市は、坂上田村麻呂による蝦夷征討後、その子孫である田村氏がこの地を田村郡として代々支配してきたことに由来する地域です。阿武隈高原が南北に広がる自然豊かな地域で、その雄大な風景を満喫できる観光スポットが数多くあり、ありのままの地球の姿を目の当たりにできる「あぶくま洞」など、見るものに自然の神秘と偉大さを肌で感じさせてくれます。また、日本では2カ所しかない、電波時計塔があり、田村市都路町(みやこじまち)にある「おおたかどや山標準電波送信所」(もう1ヵ所は佐賀県佐賀市の「はがね山標準電波送信所」)から標準電波を発信しています。

全国的な話題になった高さ17mの巨石とは

田村市の工事現場で見つかった巨石。左の重機が小さく見えるほどの大きさです。

田村市に出現した巨石は高さ17m。
田村市の工事現場で見つかった巨石。4階建てのビルの高さに相当し、170cmの人が縦に10人分の高さ。

 調整池の工事中に見つかった巨石は、高さ17mと、4階建てのビルに相当するほど。横幅は30m、奥行きが22mと推定されていて、重さはなんと数万トンに達するといわれています。

 もともとは民家の庭に見えていた大きめの石でしたが、産業団地として造成するに当たり、雨水などを一時的に貯める調整池をつくるために掘削していたところ、予想外の巨石が現れたというわけです。場所は田村市常葉町(ときわまち)の東部産業団地で、幹線の国道288号線からも巨石が見えるため、かなり目立っています。

国道288号線沿いに集会所、その裏に民家、2階建ての屋根の奥に巨石が。運転していても目に飛び込んできます。
国道288号線沿いに集会所、その裏に民家、2階建ての屋根の奥に巨石が。車を運転していても目に飛び込んできます。

 もちろん、現在工事中であり、団地内の立ち入りは禁止。すぐ近くに民家も1棟建っていますが、その敷地に入るのも厳禁です。現在舗装工事中の道路があり、そこから全容を眺めることは可能。工事関係者などに迷惑がかからないよう、その道路からちょっとだけ見学させてもらうのがマナーでしょう。観光地化を期待する声もありますが、今のところ工事優先で、この先どうなるかは未定。調整池の工事は現在も進行中で近づくのは危険ですし、工事が完成すれば水没して見えなくなる可能性が高いようです。

この近くで調整池を工事中で、もちろん立入禁止。これ以上は近づかないようにしましょう。
この近くで調整池を工事中で、もちろん立入禁止。これ以上は近づかないようにしましょう。

阿武隈山系には巨石郡が点在する?

 それにしてもなぜ、このような巨石が現れたのでしょうか。実は、このまわりにも大きな岩がゴロゴロしているのです。阿武隈山地は大部分が花崗岩類。雨水で風化して砂の状態になったところが多いのですが、今回見つかった巨石はその芯の部分が出てきたものと思われているようです。たまたま工事で姿を現しましたが、阿武隈山地の地中にはこういう巨石があちこちに存在しているのかもしれません。

 田村市内ではすでに観光地化した巨石もあるので、話をそちらに移しましょう。産業団地から東へ車で15分ほど走って田村市都路町(みやこじまち)岩井沢地区の中心部まで来ると、左手に正確な日本標準時を表示している電波時計塔が見えてきます。

都路町の電波時計塔。ここから全国に時計の電波を発信しています。
都路町の電波時計塔。ここから全国に時計の電波を発信しています。

 その裏手の道路脇にあるのが「地域の宝  発見事業案内板」で、ここが地元では有名な「古代亀石」の入口にもなっています。この一帯には巨石が多く、「笠石」「船石」「博打石」と呼ばれる巨石の位置もこの案内板で確認することができます。

「古代亀石」と名山「五十人山」と「地域の宝」案内板。電波時計塔のすぐ裏手にあります。
「古代亀石」と名山「五十人山」と「地域の宝」案内板。電波時計塔のすぐ裏手にあります。

 「古代亀石」は国道288号線の案内板から車で10分ほど。岩井沢地区の強梨(こわなし)集落の奥にあります。あちこちに小さな案内板が立てられているので、見逃さないように注意してください。この巨石は車で現地までたどり着くことができるので、ぜひ足を伸ばしたい名所です。

巨石の位置関係がわかる案内板。これを参考にパワースポットを目指してください。
巨石の位置関係がわかる案内板。これを参考にパワースポットを目指してください。

古代亀石

下から見た「古代亀石」は亀に似た形。昔から信仰の対象になっていた巨石です。
下から見た「古代亀石」は亀に似た形。昔から信仰の対象になっていた巨石です。

 「古代亀石」は下から眺めると、まさに亀のように見えます。伝説の案内看板も掲げられていますが、「亀は万年」といわれたため無病息災を祈る信仰の対象だったようです。高さ10.7m、周囲50.5m、重量2800トンと表記されており、見た目も美しい巨石。そこに清水が流れており、飲用もできるようです。

「古代亀石」の伝説を紹介した案内看板。ここに清水も流れています。
「古代亀石」の伝説を紹介した案内看板。ここに清水も流れています。

横から見た「古代亀石」も迫力満点。周囲50.5mはびっくりです。
横から見た「古代亀石」も迫力満点。周囲50.5mはびっくりです。

笠石山の刃

 ここまで来たら、脇道を85m登った「笠石山の刃」というパワースポットにも寄りたいもの。伝説については案内書きを参考にしてください。

パカッと割れたように存在する「笠石山の刃」。集落を守った伝説が記されています。
パカッと割れたように存在する「笠石山の刃」。集落を守った伝説が記されています。

 実は「笠石」もさらに山道を300m登ったところにあるのですが、急坂で足場もよくないので、服装や靴に注意が必要。雨の日は見学を避けたほうが無難でしょう。


 以上、今、話題になっている福島県田村市の巨石と周辺のパワースポット紹介でした。お時間があれば、ぜひ訪れてみてください。

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  • 田村市の工事現場で見つかった巨石。左の重機が小さく見えるほどの大きさです。
  • 田村市に出現した巨石は高さ17m。
  • 国道288選沿いに集会所、その裏に民家、2階建ての屋根の奥に巨石が。運転していても目に飛び込んできます。
  • ここの近くで調整池を工事中で、もちろん立入禁止。これ以上は近づかないようにしましょう。
  • 都路町の電波時計塔。ここから全国に時計の電波を発信しています。
  • 「古代亀石」と名山「五十人山」と「地域の宝」案内板。電波時計塔のすぐ裏手にあります。
  • 巨石の位置関係がわかる案内板。これを参考にパワースポットを目指してください。
  • 下から見た「古代亀石」は亀に似た形。昔から信仰の対象になっていた巨石です。
  • 「古代亀石」の伝説を紹介した案内看板。ここに清水も流れています。
  • 横から見た「古代亀石」も迫力満点。周囲50.5mはびっくりです。
  • パカッと割れたように存在する「笠石山の刃」。集落を守った伝説が記されています。

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この記事を書いた人

山本一典

山本一典

田舎暮らしライター/1959年、北海道北見市生まれ。神奈川大学外国語学部卒業。編集プロダクション勤務を経て、85年からフリーライター。『毎日グラフ』『月刊ミリオン』で連載を執筆。87年の『田舎暮らしの本』創刊から取材スタッフとして活動。2001年に一家で福島県田村市都路町に移住。著書に『田舎不動産の見方・買い方』(宝島社)、『失敗しない田舎暮らし入門』『夫婦いっしょに田舎暮らしを実現する本』『お金がなくても田舎暮らしを成功させる100カ条』『福島で生きる!』(いずれも洋泉社)など。

Website:https://miyakozi81.blog.fc2.com/

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