誠には、龍という弟分のような存在がいる。演じる原田龍二さんと翔さんはかつて多くの作品で共演し、プライベートで釣りに行ったりする仲。鉄パイプを手に仁王立ちする翔さんと原田さんが対になったとき、そこに生まれるバディ感はまさに本物!
「ちょくちょく会うけど、お芝居をするのは十何年かぶりで。原田も、芝居が変わってきたなって。いい感じじゃない? ものすごく一生懸命にトライしていたしね。それで誠にとって龍というのは島で唯一、付き合いがある人間なのかも。妻を亡くし、自分が娘を育てなきゃいけない環境に置かれた誠はある種、孤立をしただろうね。そんななか何かあると駆け付ける、仲間でいてくれる龍という存在は大きい。人と人とのつながりって大切だなと」
八丈島ではつらいことがあると太鼓を叩く、という風習が。劇中、誠も太鼓を叩くシーンがある。
「〝八丈島太鼓〞を見たことがあるんだけど、最初はあんなスゴイものを求められたらどうしよう?と。和太鼓に関しては、一世風靡セピアのときに叩いたりしたけど(笑)。でもそうではなく、どん!どん!と一つひとつの響きにつらい思いを吹き込む、そんな太鼓だったからよかったけど」
ロケ地の移動もそのまま撮影の時間に使われるほど、無駄のないスケジュールだったそう。だからこそなのか、その場にいた人たちの、いいものをつくりたい!という思いが凝縮されたよう。映画は息を飲む緊張感と迫力が、観る者の心をがっちりとつかむ。
「監督は撮りたい画が決まっている。だから演じるほうも、『よしっ、この画を撮る!』という気持ちになれて。スムーズだったし、1回でOKが出ることもたくさんあったよ」
そうして映画は完成する。翔さん自身は、何を感じたのだろう?
「あれだけの世界観がある作品の中で、自分のところはわかりやすくてホッとするのかなと。そういうのも大事でしょ。それでいて撮影しながら、〝旅立ち〞というテーマがあるのかもしれないなと。娘の旅立ちと、娘が離れていくことに対する誠の旅立ち。いろいろなことがあるけど、旅立ちにつながると感じられたら明日の希望が見える。一歩を踏み出すきっかけになるかもしれない、そんなことを思ったんだよね」
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