住みます芸人に初の起業者が!
「私は埼玉県出身で、埼玉県の学校に通い、埼玉県で就職し、23歳のころに埼玉県に家を買いました。埼玉県は私が一生をそこで過ごすと決めた場所です」(おだいらさん。以下、略)
2022年8月に埼玉県の住みます芸人として活動を始めたおだいらさん。高校卒業後、看護師として就職したのち、2011年によしもとのお笑い養成所であるNSCに入学。女性トリオ「ヴァージン」としてデビューしました。その後、紆余曲折があり、現在のコンビ「えりんぎ」を結成。住みます芸人としては、コンビではなく、一人で活動に参加しています。
「埼玉県の魅力は県外はもとより、県内でも伝わっていないのが現状です。首都圏に位置していますが、まだまだ知名度は低く、魅力はあるものの、十分に理解されていないんですよね……。私自身も、観光で埼玉に行きたいと相談されても、今まで胸を張って案内できる場所もなく……。それは、『他の都道府県の方が見どころや、楽しいところがあるのでは?』という考えがあったからでした。
あるとき、なんとなく埼玉県内を車で一周旅行したことがあったんです。そこからですね。価値観が変わったのが。実際、埼玉に触れてみたら、知らなかっただけで、楽しいことがたくさんある場所だと気づいたのです。『47都道府県エリアプロジェクト』のことも気になっていた頃で、『それならば!』と思い、『住みます芸人になろう!』と決意しました。埼玉の魅力を伝え、埼玉の課題があれば、本気で解決したいと思ったんですよね」と、住みます芸人になった経緯を話してくれました。現在、芸人の活動としては、地域のイベントやお祭りに参加し、より魅力的なまちになるように、地元の方々を中心に笑いを届けているようです。
「実力はまだまだですが、“よしもと将棋芸人”としても活動しています。今は、四間飛車(しけんびしゃ)を勉強中です。写真はアマチュア将棋の社団戦の会場です」
住みます芸人初の起業という、新たな一歩を踏み出したおだいらさん。『47都道府県エリアプロジェクト』に参加してからわずか1年3ヶ月で会社を設立し、事業をスタートさせたバイタリティの持ち主です。詳しく話を聞きました。
「住みます芸人として初の起業を達成し、2023年11月に『おだいら川口訪問看護ステーション』をスタートさせることができました。
全国的に超高齢化社会の訪れとともに、看護師不足が社会問題になっているなか、実は埼玉県は、47都道府県のなかで看護師の数が一番少ない県なのです。正確にいうと、人口10万人に対する看護師の数が全国最下位で、全国で最も多い高知県は1600人台なのに対して、埼玉県は700人台にとどまっています(令和2年)。
現在の社会情勢として在宅での医療が重要視されていますが、その中核を担う訪問看護師の人数も不足しており、訪問看護ステーション(訪問看護師が在籍し、訪問看護を行う事業所)の数は、人口規模の近い愛知県が令和5年時点で1035事業所なのに対し、埼玉県が717事業所と、約7割の数にとどまっています」
「訪問看護の研修をしている私です。薬の仕分けと、飲み方などに関して説明している様子ですね。私は、病棟での看護経験しかないので、開業当初は、利用者さまのご自宅での看護に戸惑うことも多くありました。今はすっかり慣れましたけどね(笑)」
「私が住みます芸人として就任した2022年8月頃、埼玉県では訪問看護の充実に対する取り組みを進めてはいるものの、まだ十分ではない問題がありました。特に『訪問看護』と『訪問介護』の違いがわからない、『訪問看護の認知度が不足している』という現実があったんです。利用者さんはもちろんのこと、実際の看護師でもしっかり説明できないことがあったり……。
そこで、埼玉県における看護師不足の現状を伝え、訪問看護について啓蒙する活動をしたいと考えたわけです。その活動は、自身の経験や体験をもとに行うことが最適と考え、この度、起業し、訪問看護ステーションを開業いたしました。
ということで、現在、経験を積んでいる最中です」
「訪問看護の研修に出かけるときの様子ですね。訪問看護は自転車で各ご家庭に伺うことが多く、体力の必要な職業です」
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