車いすユーザーのロングトレイルのサポートも訪問看護の一環
「埼玉県とは違う内容になってしまいますが、訪問看護のあり方を違った角度でみられるプロジェクトに参加したときのことをお話ししたいと思います。
2023年10月に、車いすユーザーのロングトレイルのサポートに参加したんですが、これがすごくいい経験になったんですよ!
簡単にいえば、車いすを使われている方と一緒に山登りをするプロジェクトなんですが、私が参加したのは、長野県のコースを使用していて、その距離なんと、全長110㎞!
もちろん、1日でクリアしてくださいっていうわけではございません! 安心してください。その110㎞の道のりを『10年にわたって踏破しよう!』という試みです(笑)。
今回はその一部の10㎞にチャレンジしてまいりました」
「just one trailという、車いすユーザーの方と一緒にロングトレイル踏破に挑むチャレンジに参加してきました。訪問看護の一環として地域で暮らす方のニーズに合わせたオーダーメイドの看護のあり方を学びました」
「知り合いに誘ってもらって参加したのですが、最初は『車いすのユーザーが安全に動けるようにサポートするのかな?』って。でも、実際に参加させてもらって、とにかく楽しい! サポート側の私も楽しいんです! 歩いていれば数歩で行けるところを車いすで進むとなると、みんなでサポートして障害物を乗り越えていかなければなりません。同じゴールを目指すにも、ルートを変えたり、それぞれのコンディション(現場状況)を考えながら、みんなで力を合わせて山道を進んでいく共同作業になります。みんなで協力して進んでいくので、ものすごく達成感を味わうことができるんです。
一日がかりで山を登るんですが、ゆっくりとしたスピードで登っていくので、しっかりと山との会話もできるんです。高いところからの景色も最高で、充実した時間を過ごすことができました。車いすのユーザーも普段とは違う景色を眺められたり、自然に溶け込むアウトドア体験ができたということで喜んでいらっしゃいました。
もし、いろいろな障がいや困難があり、誰にも言わずに諦めていることがあるなら、「やりたい」と気軽に言える世の中になれるようにお手伝いする、そういった看護のかたち、関わりもあると実感しました。ロングトレイルのサポートも訪問看護の一つのあり方だと思いますし、このプロジェクトがどんどん広がっていけば素敵だなって思います。
今仕事のエリアは、川口市になるんですが、エリアを飛び越えていろんなフィールドを見ることができたということで、すごく価値があることだなと思いました」
看護の分野で地域に貢献。それでは、地方創生に関して、力を入れていることはなんでしょうか。
「冒頭でもお話ししましたが、埼玉県は看護師の人数(割り合い)が47都道府県で1番少ない県です。正確にいうと人口10万人に対する看護師の数が一番少ない県です。かつて私も、看護の現場では忙しいと思いながらも、『看護師の忙しさってこんなものなのだろう』と思いながら働いていました。しかし、この看護師不足が解消されれば、もっと患者さんに寄り添った個別の看護ができる可能性があります。現在、在院日数をなるべく少なくしようという動きのある日本において、退院後の生活について十分に調整がされないまま退院していくケースが多々あります。今後個別の看護として、退院後の生活の指導・調整に時間を割くことができるようになれば、退院後の在宅での生活がより快適に、長期間過ごせるようになると考えています。また、在宅での看護をする人数が増えれば、より快適に在宅での生活を送れるようになります。
そういった理想もあり、私は、埼玉県の医療が充実するように、訪問看護ステーションの運営をしながら、『埼玉県の医療の現状』の啓蒙活動に力を入れていきたいと思っているんです」
最後に、今後の目標をうかがいました。
「まずは『おだいら川口訪問看護ステーション』を実直に運営していき、半年間で黒字化を目指します。
そのなかで苦労した点、気づいた点、問題点についてまとめて、1年後のイベント開催を目指します。そして、少しでも多くの人に現状を伝えていきたいです。
埼玉県の医療の現状、地域医療・地域看護の現状に目を向けてくださる人を一人でも増やしていければと思っています」
小平さんのような人が、埼玉県の魅力や課題を発信していくことで、埼玉県がもっと活性化していくことを期待しています。
おだいら川口訪問看護ステーション
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