翌日は収穫体験へ!黒岩牧場で産みたてのたまごを収穫
鶏肉といえば宮崎県。宮崎県では昔から、チキン南蛮や鶏の炭火焼などの郷土料理が愛されており、そのなかでたくさんのブランド鶏も誕生しています。今回、児湯郡高鍋町(たかなべちょう)にある、黒岩土鶏(つちどり)を飼育する黒岩牧場さんへ伺わせていただきました。スーパーでパックに入ったたまごしか見たことのない息子に、たまごの収穫を体験をさせてもらえないかと、無理を承知で相談すると、黒岩牧場を経営する、黒岩正志さんが、快く受け入れてくださいました。
木城町のお隣、高鍋町に黒岩牧場はあります。宮崎県内でいちばん大きな尾鈴(おすず)山系の山のふもと、標高400m、面積は18㏊(東京ドーム4つ分)の広大な敷地の中で、放し飼いで鶏たちを育てています。牧場に到着すると、豊かな木々とその向こうに青い海が見え、澄んだ空気と暖かい日差しがとても気持ちの良い場所でした。こんなところで自由に遊び育った鶏たちはそれはおいしいだろうねと息子と話していると、黒岩さんが迎えてくれました。
【宮崎県高鍋町】
宮崎県高鍋町は、宮崎県の海沿いのほぼ真ん中にある宮崎県一面積が小さい自治体。コンパクトなまちの中に、行政や教育、商業施設が集中しているので、便利で暮らしやすいまちです。「歴史と文教のまち」でもあり、長い歴史に育まれた史跡や文化遺産が多くあります。高鍋藩三万石の城下町という歴史があり、現在も地名や町並みに城下町の名残が残っています。また高鍋町の海岸はサーフィンスポットとして知られるほ
たまご収穫の前に、鶏舎を見学。鶏たちが斜面の赤土をつついています。「ここの鶏たちは体調が悪くなると土を食べるんだよ」と黒岩さん。山の土に天然の抗生物質が含まれていて、そのおかげで、鶏たちに人工的な薬を与えずに育てることができているのだそう。それが、黒岩牧場の鶏を「土鶏」と呼ぶ所以なのだそうです。鶏たちはみんな羽がつやつやとしていて、まるいからだからは発達した筋肉と力強さを感じられて、なんてキレイな鶏!と思いました。養鶏場と聞いてイメージするような臭いもまったくありません。
それにしても不思議なのは、私たちが近づいても、鶏たちがまったく逃げたり攻撃的になる様子がないこと! 息子もこわごわとですが、鶏に触ることができました。「ストレスがない鶏は穏やかなんだよ。だから攻撃してくるような鶏はおいしくない。人間も一緒だよね」と黒岩さんが笑います。
黒岩さんはかつては大阪で働いていたこともあったのだそうですが、その後、故郷の宮崎県に戻ってきて実家の養鶏を継ぎ、今の、山の中で自由に放し飼いにする養鶏法をスタートさせたのだそうです。「仕事で東京に行くことがあるけれど、宮崎に帰ってくるとホッとして嬉しくなるよ」ということばに、宮崎という土地と養鶏の仕事を心底愛して楽しんでいるのが伝わってきました。
自ら山を切り開いて、養鶏場を作りあげたという黒岩さん。大自然のもと、信念をもって鶏を育てている黒岩さんは、とてもあたたかくて、カッコイイ方でした。東京では出会えないこんな素敵な大人に出会えたことは、息子のなかにもなにか残っていくに違いありません。
いよいよたまごの収穫です。一般的な養鶏場だと、鶏舎内に鶏たちがぎゅうぎゅうにおしこめられていますが、黒岩牧場の鶏たちは、自由にケージ内を歩き回っています。「あったかい!」産みたてのたまごを手に、うれしそうな息子。
【黒岩牧場】
宮崎県高鍋町にある、鶏がもつ本来の本能や自然治癒力が目覚めるように環境を整えストレスフリーで薬や抗生物質に頼らない安心安全な山林放飼を実践し続ける「黒岩式養鶏法」で宮崎県の養鶏をけん引する牧場。唯一無二のブランド地鶏「黒岩土鶏」は風味が濃く歯ごたえのある鶏本来のおいしさがあり、料理人にもファンが多い。完全受注生産で一般向けの販売はしていないが、公式サイトからお取り寄せすることが可能。
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