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田舎暮らしの本 12月号

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田舎暮らしの本 12月号

11月1日(金)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

【予算200万円】DIY経験しかないスタッフが廃材で家を建ててみた【15】

外壁がようやく終わり、内装工事に突入する和田邸である。今回は床の施工。床下には断熱材を入れるのが常識だが、和田が持ち出したのは驚くべきシロモノであった。

掲載:2017年7月号

この汚らしいクッションフロアを、一体どうするつもりなのか……。

薄汚いクッションフロア登場!

 今回から内装工事となる。床の施工の段取りは次のような順序となる。

 根太を渡す ➡ 断熱材を入れる ➡ 荒床を張る ➡ 仕上げの床材を張る

 ここで和田がさっそうと持ち出してきたのは、薄汚いシートである。
中山「また汚いの持ってきたよ」
阪口「あ! なんか見覚えあると思ったら、ウチで使わなかったクッションフロアじゃん!」
 またしても阪口邸の払い下げなのであった。
水野「でもまだ仕上げの段階ではないのでは?」
和田「床下の防湿に使おうと思ってさ! さすがにこんな汚いの、仕上げに使わないでしょ!」
中山「いや、オマエなら使う」
阪口「使う使う」
 床下の防湿というのは、こういうことである。和田邸の布基礎はベタ基礎と違って、地面が露出しているので湿気の影響を受けやすい。つまり土台や大引(おおびき)が腐りやすいので、地面を防湿性のあるシートなどで覆うのが望ましいのだ。そこでこの“薄汚い”クッションフロアの登場となったわけだ。
和田「“汚い”を強調しすぎ!」
 手分けして適当に切り揃えて床下に並べていく。
水野「こんなのでいいの?」
中山「いいんじゃないの? どうせ見えないし」
阪口「床束(ゆかつか)が土に埋もれてるような家だからね。10年持てば……」
和田「なんか言った?」
一同「なんでもねえよ」

最初は大引の上に敷くことを考えたが、あんまり意味がないのではないかということで、切り張りして地面に直接敷くことに。これで多少は湿気防止に役立つ……、かも。

燻炭と農業用防虫シート?

 ブツブツ言いながら作業しているうちに、和田はまったく別の仕事を始めた。何をしているのかと思えば、近所の農家から「タダで」もらってきた軽トラいっぱいのもみ殻を運び込みはじめたのだ。なんでこの時点でもみ殻なのか。一同が不審に思っているのもかまわず、和田が持ち出したのは燻炭(くんたん)器である。「燻炭」といえば、本誌読者にはおなじみの土壌改良材だ。
阪口「なんで今ごろ、燻炭つくるんだよ」
和田「うふふふ。今にわかるよ」
 笑みを浮かべて作業を続ける和田である。そのうち、もみ殻がくすぶりはじめる。風にあおられて煙は我われが作業している和田邸に流れ込み、一同の不平は倍増。
阪口「ゲホゲホ……。なんとかならんのか、この煙は」
和田「文句は風に言って!」
水野「ほかの場所で燻すという手もあったのでは?」
和田「だから文句言わない!」
 燻されながらも防湿シートを敷き終えると、次に和田が持ち出したのは、農業用防虫シート(もちろん近所の農家からのもらいもの)であった。
和田「これを大引の上に広げてタッカーで留めていって!」
 一同の頭はさらに「?」でいっぱいになるが、言われるままに作業を進める。防虫シートをタッカーで留めていき、さらにその上に根太を打ち付ける。

軽トラ1杯分のもみ殻を「タダで」(←ここ重要)もらってきて、ご満悦の「ドケチ大王」。

燻炭には専用の燻炭器を使う。地面に焚き火を起こして燻炭器を設置。もみ殻で覆ってしばらくすると炭化して黒変してくるので、水をかけて消火。普通は畑の土壌改良材として使うわけだが、和田の発想は別のところにあった。

「使用済み」の防虫ネットを持ち出してきたドケチ大王。ここでもご満悦。一方で、訳もわからぬまま、防虫ネットを張っていく一同。

苦しい姿勢にもかかわらず、なぜか楽しそうなカメラマン阪口。作業ズボンは買い替えたほうがよさそうだ。

今回の助っ人は、本誌でカメラマンとして活躍する鈴木さん。「手伝いがしたい!」と宮城県から駆けつけた。

根太材ももちろん中古。割れたり欠けたりしているのをツギハギしてやりくりする。

防虫ネットの上に根太を打っていく。誤って踏み抜くと防虫ネットが破れる(実際に破れた)ので要注意。

このころになってようやく和田のもくろみがおぼろげに見えてきた。ちなみに、中山が立っている場所は、薪ストーブを設置予定のため、根太が多め。

床下の燻炭は断熱材になるのか

 もみ殻は、もうもうと煙を上げている。すっかり炭化して真っ黒になった燻炭に、和田が水をぶっかけはじめた。
阪口「なんとなくわかってきた気がするんだけど」
中山「……オレも」
 果たして。予感は的中した。
 バケツに山盛りの燻炭を運び込んだ和田が、床に張った防虫シートの上に、ドバーッとぶちまけたのだ。
和田「名付けて『もみ殻燻炭断熱』! 炭化しているから防虫・防湿効果もあって、さらにエコで “安上がり”! 一石五鳥! 今風に言えば『ウインウインウインウインウイン』!」
 和田が自画自賛する「もみ殻燻炭断熱」だが、一同からは疑問の声が次々と……。
中山「……でもさ。これ、燃えるよね。低温発火とかすぐに起こしそう」
阪口「あとさ、防虫シートが垂れ下がって、断熱効果がなくなるのではないかと」(下の図参照)
水野「シートの網目からパラパラと落ちたら、嫌だよね」
和田「ぐ……、大丈夫大丈夫!」
一同「なにが大丈夫なんだよ!」
 さらに不気味な事実が判明した。燻炭は炭化しているから、まだしも清浄だとして、和田の見通しの甘さから絶対量が不足してしまい、「生の」もみ殻をそのまま敷き詰めることになったんだが、作業していた担当・水野が悲鳴を上げた。
水野「変な虫がいる!」
 なんと、もみ殻の中に黒っぽいちっちゃな虫がウジャウジャ潜んでいるではないか!
阪口「気持ち悪~!」
水野「ワカメちゃん(和田の妻)、きっと顔が引きつると思うよ」
中山「梁(はり)にはキノコ、壁板には腐朽菌、窓には苔、床下には虫……、まさに四面楚歌(しめんそか)」
和田「大丈夫、大丈夫! 虫がいるのはエコな証拠だから!」
一同「オマエのエコは、エコノミー(経済的)のエコだろ!」

やにわに燻炭を撒きはじめた和田。火はちゃんと消えているのか? ホントに断熱効果はあるのか? 一同の問いに対する答えはもちろん「大丈夫、大丈夫!」。

和田が盛大に撒き散らした燻炭を、平らにならしていく。

内装と並行して、助っ人さんによって外装の漆喰塗りも進む。おかげで和田邸も「白亜の豪邸」に生まれ変わった……!?

文/中山茂大 写真/阪口 克 イラスト/和田義弥

過去記事はこちら!
第1回 基礎工事
第2回 墨付け、刻み
第3回 柱、梁、桁の刻み
第4回 棟上げ目前
第5回 棟上げ
第6回 棟上げ
第7回 棟上げ
第8回 足場組み、家起こし
第9回 屋根
第10回 屋根材張り&プロによる中間チェック
第11回  壁の施工、窓の取り付け
第12回  差し鴨居 
第13回  外壁
第14回  はめ殺し窓、下見板

 

人力社

ライター中山とカメラマン阪口、 ライター和田の旅とDIYを得意とする3人組トリオ。「人力山荘」シリーズでは中山の母屋リフォーム、中山のアネックス新築DIY、和田の自宅新築DIYを連載。阪口も自宅をDIYで新築している。
人力社HP➡www.jinriki.net
阪口HP➡https://www.sakaguti.org
和田HP➡http://www.wadayoshi.com

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