田舎での困りごとを、田舎暮らしのベテランライターが回答。今回は、別荘の管理の問題です。家は住んでいないと早く傷みやすいもの。特に天井の傷みは家の構造的な問題にもなりかねません。なぜ雨漏りが起きてしまったのか、またその対処法も教えます。
5年前、雑木林の中に別荘を建てました。おしゃれな外観にしたかったので、L字型の平屋で外壁は白。屋根は寄せ棟にしました。冬が3回過ぎたところで、雨樋(あまどい)から漏れた水で外壁が汚れたり、天井に雨漏りが見つかりました。業者の話では、屋根に溜まった落ち葉が原因だとか。定年退職したら定住したいのですが、どこに注意すべきですか。
福岡県在住 前田さん●58歳
雑木林の落ち葉が雨漏りの原因に
前田さんの別荘のように林間の家は、屋根が重要なポイント。いちばんシンプルなのは本を伏せたような形の切妻(きりづま)屋根で、建物が四角形なら2面で構成される。ローコスト建築に向いており、雨漏りも発生しにくい。切妻以外で多いのは、四方向に傾斜する寄棟(よせむね)屋根。雨が流れやすく、雨仕舞い(雨水が浸入しない仕組みのこと)にも優れている。
ほかにも切妻と寄棟を合わせた入母屋(いりもや)屋根、まったくフラットな陸(ろく)屋根などがあるが、雨仕舞いは必ずしもよくない。頻繁に別荘を利用しない人は、なるべくシンプルな屋根にするのが無難だ。
切妻や寄棟も形が少し複雑になると、屋根に凹みが現れる。これを谷と呼ぶが、そこに落ち葉が溜まりやすい。さらに屋根材の隙間に詰まると、落ち葉が腐食して土になり、湿気を含むようになる。やがて乾燥した屋根の下葺き材に、水が染み込んでいく。その結果、雨漏りという最悪の事態を招くのだ。
雨樋の落ち葉。放置すると屋根に悪い影響を与えることもある。
雨を集める雨樋も、定期的に清掃すべし
軒先には通常、雨樋を設置する。雨を集めて排水路まで誘導するのが目的で、単純な切妻は2力所、寄棟は4力所に設けるのが一般的だ。
前田さんの別荘は雨樋が壊れ、外壁が汚れた。周りに雑木林があると、屋根に落ち葉が落下し、雨樋に流される。一度詰まると、水の流れがせき止められる。その部分だけ重みで垂れ下がり、砂やほこりも溜まっていく。雨樋の途中から泥水が漏れると、壁を汚してしまうのだ。また、屋根の下地材まで雨水が伝わると、その部分が腐りやすい。傷みが進行して、軒先が下がることさえある。
農村の別荘は、自分で管理するのが原則。年に何度か屋根に上って、雨樋の清掃をやったほうがいい。ただ、危険を伴うので、あえて雨樋を設置せず、地面の排水路で雨水処理をしっかりやるのも1つの方法だ。
犬走りは雨の跳ね返りを防ぐが、鉄筋なしで施工すると、コンクリートに亀裂や凸凹が生じやすい。
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この記事を書いた人
山本一典
田舎暮らしライター/1959年、北海道北見市生まれ。神奈川大学外国語学部卒業。編集プロダクション勤務を経て、85年からフリーライター。『毎日グラフ』『月刊ミリオン』で連載を執筆。87年の『田舎暮らしの本』創刊から取材スタッフとして活動。2001年に一家で福島県田村市都路町に移住。著書に『田舎不動産の見方・買い方』(宝島社)、『失敗しない田舎暮らし入門』『夫婦いっしょに田舎暮らしを実現する本』『お金がなくても田舎暮らしを成功させる100カ条』『福島で生きる!』(いずれも洋泉社)など。
Website:https://miyakozi81.blog.fc2.com/
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