キャンパーの間でクルマのルーフに設営するルーフテントが話題を呼んでいます。設営に時間がかからず、地面に設営する一般的なテントと違ってペグなどを使わないので汚れにくく、荷物を移動させることなく就寝スペースを確保でき、後片付け・収納も簡単! メッシュ素材でできていて、通気性がよいものも多く、夏でも快適と大人気なんです!
ルーフテントはほとんどのルーフキャリアに設置できるように作られているので、ミニバンや軽自動車に手軽に取り付けるユーザーが増えています。かつてはルーフテントを標準で装備するモデルもあり、中古車市場では、今なお高い人気を誇っています。今回はそうしたモデルを振り返ってみましょう。
キャンプ好きから絶大な支持を受けたマツダ ボンゴフレンディ
ルーフテントが純正採用されたモデルとして、まず車好きが思い浮かべるのは、1995年〜2006年に販売されたマツダ ボンゴフレンディ オートフリートップ(AFT)でしょう。アウトドア人気が高まるなかで登場したこのモデルは、電動でルーフがせり上がるオートフリートップでキャンパーから絶大な支持を受けました。
ルーフ部分が電動で持ち上がり、屋根の上に「屋根裏部屋」が現れます。この「屋根裏部屋」への移動は1列目と2列目シートの間にある「アクセスホール」からアクセス。また、小物を受け渡すための窓も備えられていたというのも、まるで冒険を楽しむかのようで、子どもたちから大人気でした。
前後カーテン+サイド電動カーテン、さらに多彩なシートアレンジが用意されています。「屋根裏部屋」の床面は跳ね上げ可能で、2列目シートの部分では大人でも立ち上がることが可能。この特徴もユーザーから高い評価を受けています。
フォードとの提携により、兄弟車のフォードフリーダにもオートフリートップ仕様が設定されていました。
熱狂的な人気も販売台数はメーカーにとって限定的
ボンゴフレンディ オートフリートップに続いて登場したのが、ホンダ オデッセイフィールドデッキ(1996年〜1999年)、ステップワゴン フィールドデッキ(1998年)です。
初代オデッセイはミニバンブームの火付け役となったモデルで、全高の低いスタイリッシュなミニバンにポップアップルーフが採用され、大きな注目を集めました。大人2人が寝ることができるベッドスペース確保。さらに、ウェットスーツの素材を採用したテント部により、防水性も向上させていました。
ステップワゴン フィールドデッキもポップアップルーフの仕様は基本的にオデッセイと同じで、大人2人がゆったりと就寝できるスペースを確保しています。全高は2m未満に抑えられていましたが、BOXタイプミニバンにポップアップルーフが似合っていました。
このほか、軽自動車にもルーフテント仕様車がありました。スバル ドミンゴアラジン(1996年〜1999年)は、軽ワンボックスのサンバーディアスをベースにしたコンパクトワゴンで、ルーフテントといってもルーフを跳ね上げるポップアップルーフルーフではなく、ルーフ全体が競り上がるタイプでした。
待たれる新時代のポップアップルーフ仕様
これらポップアップルーフ仕様は、いずれも現在販売されておらず、生産台数が多くないうえに、愛好者が長く維持しているケースが多いため、中古車市場に出回る例が少ない状況です。見かけることがあっても高価で、しかも、すぐに売れてしまうほどの人気ぶり。人気はあるのはわかっているものの、大きな数の販売台数が見込めないので、メーカーとしては市販化が難しいのでしょうか。
現在、ドイツ車のメルセデス・ベンツVクラスは、日本仕様のラインナップには設定されていませんが、本国ではキャンパー仕様のマルコポーロにポップアップルーフが標準装備されています。
文:近藤暁史
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近藤暁史
こんどう あきふみ|編集・ライター。男だてらにお堅く学習院大学文学部国文学科卒。ファッション誌から一気に転身して、自動車専門誌の編集部へ。独立後は国内外の各媒体で編集・執筆、動画製作なども。新車、雑ネタを中心に、タイヤが付いているものならなんでも守備範囲。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。自身のYouTubeチャンネル「こんどう自動車部」では、洗車・自動車のメンテナンスなどを中心に、クルマに関わる裏技を紹介中!
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