今年の夏はこれまでに経験したことがないような暑さが続いています。すでに屋外の異常な暑さを実感している方がほとんどだとは思いますが、それでもまだ猛暑の危険性への認識が甘く、正しい対策を行っていない方が多いのだそう。塩分チャージタブレッツを販売するカバヤ食品が行った調査によると、「熱中症対策は完璧にできている」と思っている方でもその対策が不十分なことがわかりました。皆さんのご家族は大丈夫でしょうか? お盆などで帰省し、顔を合わせることの多いこのタイミングでぜひ確認してみてください。
「暑さ対策はできている」つもりの人が知らない塩分の重要性
年々暑さが厳しくなる中、熱中症になってしまう方も増加傾向にあります。昨年は熱中症による救急搬送が9万人を超えたのだそう。毎年のようにニュースにもなるのに、なぜ熱中症は減らないのでしょうか?
その要因のひとつとして考えられるのが「塩分不足」です。
暑い日に「水分をしっかり摂って」と言われることが多いと思いますが、同時に塩分も補給する必要があります。カバヤ食品が2023年に実施した消費者調査によると、3人に1人が「塩分補給が必要と知りながらも、塩分補給をしていない」という結果も出ています。
知っているのに塩分補給をしない理由として、「自分は塩分を摂りすぎているから」と考えている方が多いのかもしれません。日本人は塩分を取りすぎだといわれることも多く、実際に厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020」で成人男性は7.5g未満・成人女性は6.5g未満が目安とされているにも関わらず実際には平均10.1gほど摂取しているというデータもあります。
塩分摂取過多なら、これ以上補給しなくていいのでは?と考えるのは危険です! 普段塩分が足りている人でも、大量に汗をかいたり、食事が摂れなかったり、減塩をしすぎている場合などに一時的に塩分不足になってしまう「一時的脱塩症」が起きる可能性があるんです。
私たちの身体は塩分と水分の割合が常に一定になるようバランスをとっています。しかし、大量に汗をかくなどすると、一時的に塩分も多く失われてしまいます。塩分が失われたにもかかわらず、水分しか摂取しないと、体内の塩分バランスが崩れてしまいます。
塩分に含まれるナトリウムには体内の水分を保持する役割がありますから、塩分バランスが崩れているにもかかわらず水分だけを摂り続けると、低ナトリウム血症を引き起こす危険性もあります。低ナトリウム血症になると疲労感・手足のしびれ・頭痛・食欲不振・吐き気などの症状を引き起こし、さらに悪化するとけいれんや意識消失、最悪の場合は呼吸困難から死に至ることもあります……。怖いですよね。
家の中なら心配ない……は誤解
「熱中症=暑い日に家の外で起きるもの」と考えている人は少なくありません。では、家の中なら熱中症対策や塩分補給は不要なのでしょうか? 体調や体質などにもよると思いますが、たとえば「冷房の効いたジムの中で運動する場合はちゃんと水分を摂っていれば大丈夫」と考えるのは危険です。
汗をかくほど身体を動かした際には、室内でもその危険度は変わりません。むしろ、家の外よりも室内の方が油断する分、危険なこともあるかもしれません。運動以外にも睡眠時も注意が必要です。人は寝ている間にコップ一杯程度の汗をかくといわれており、さらに起床時にトイレに行き排泄すると500mL以上の水分が体から出ていきます。入浴による発汗でも500mL程度水分が排出されますから、運動をしない高齢者の方でも室内で塩分不足から熱中症になってしまうことがあります。
カバヤ食品が今年に行った、熱中症への対策意識・行動に関する調査によると、熱中症対策は「完璧にできている」「ある程度できている」と回答した人が全体の半分近くいたにも関わらず、その対策内容は「水分補給をこまめにしているから」と答えた人が9割ほど。多くの人が熱中症対策として「水分も塩分も補給する必要がある」ことを知らないのですね。皆さんのご家族は大丈夫でしょうか? お盆などで帰省した際に確認しておくと安心です。
食事を抜くと熱中症のリスク!? 食欲がない日の塩分補給方法
「水分も塩分も補給する」と聞くと単純そうではあるものの、どのくらい摂ったらいいのか? 迷ってしまうかもしれません。
一日のナトリウム(食塩)の摂取量目安は成人男性で7.5g未満・成人女性で6.5g未満とされています。この量は基本的に食事で十分に摂ることができる量ではあるものの、猛暑の中では発汗とともに塩分が身体から排出されてしまいます。
さらに、「暑いと食欲がない……」と朝食や昼食を抜いてしまうことがある方は注意が必要です。できれば食事もしっかりと摂ることが理想ですが、どうしても難しい場合はせめて水分と塩分だけでも補給する必要があります。食事を抜いてしまった際は500mlの水に塩1つまみ(0.5~1グラム前後)を一緒に摂りましょう。ほかにも、塩分入りタブレットやスポーツドリンク、浅漬けやゼリー飲料、塩昆布や梅干しも夏の塩分補給に有効です。
スイカ+塩分は熱中症対策の大正解!
昔から「スイカに塩をかけて食べる」人が多いのは、スイカに水分とカリウムか含まれており、そこに塩分をプラスすることで熱中症対策になるから。塩がスイカの甘みを引き立てるというメリットもありますが、理にかなった食べ方だったのですね。
「自分は大丈夫」と思っている人ほど、熱中症の危険が高いこともあります。このお盆は家族や大切な人の水分・塩分摂取が充分にできているか改めて確認してみてくださいね。
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