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田舎暮らしの本 12月号

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田舎暮らしの本 12月号

11月1日(金)
890円(税込)

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【親子で田舎体験vol.2】恵まれているのは都会か田舎か。減っていく子どもの遊び場や体験格差を考える。|海と山、春夏秋冬の自然の魅力を味わえるまち【新潟県上越市】

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【親子で田舎体験】第2回は、新潟県上越市へ

新潟県上越市
本州の日本海側のほぼ中央に位置する新潟県南西部にある上越市は、人口規模で県内第3位を誇ります。関川が流れる広がりのある平野部を、山々と海岸が囲む多様な地形が特徴で、暑い夏から雪に覆われる冬まで、季節が劇的に移り変わります。美しい四季折々の自然に囲まれ、約18万人の市民が生活しています。歴史的に交通の要衝として栄えたまちで、直江津(なおえつ)港という重要港湾を擁するほか、北陸自動車道や上信越自動車道などの主要な陸路も通っています。さらに、平成27年3月に北陸新幹線が開通。JR信越本線、ほくほく線、妙高はねうまライン、糸魚川ひすいラインといった鉄道網も整備されています。

東京から約2時間で行ける、日本の原風景が広がる村落「清里」へ

 「親子で田舎体験 vol.2」、今回は弾丸の2泊3日で、新潟県上越市に行ってきました。今回の目的は、1月に開催されたイベント「JOIN移住・交流&地域おこしフェア2024」で出会った、当時地域おこし協力隊として活動していた高木桂さんがスタートした、こどもや多世代の交流スペース、こども食堂、農家民宿、コワーキングスペースの複合施設「清里いばしょベース Cha-ya(ちゃや)」を訪れること。自然豊かな環境で子育てをしたいと東京から上越市に移住し、「こどものたちの居場所」づくりに奮闘しているという高木さんに、ぜひもっとお話を聞きたいと思ったからでした。

  JR北陸新幹線で、東京駅から上越妙高(じょうえつみょうこう)駅まで約2時間。電車好きの息子は初めての北陸新幹線にテンションアップ! 私は仕事を、子どもたちはお菓子を食べながらタブレットで動画を観て楽しんでいると、あっという間に到着しました。

 駅の改札口で、高木さんご夫妻と4歳の息子さんが、大きな笑顔で出迎えてくださいました。

空き家を活用した「誰でも気軽に集まり、多世代交流が生まれる拠点」

|市街地までわずか15分の美しい農村地帯、清里区

 向かったのは、上越妙高駅から車で約15分の清里区。上越市の南西部の自然豊かな中山間地に広がる農村地域です。かつては清里村として独立していましたが、2005年「平成の大合併」で周辺の町村と共に上越市となりました。恵まれた自然環境の下、米作りや野菜の栽培が行われており、四季折々の昔ながらの農村風景を今も楽しむことができる地域です。初夏には蛍が飛び交い、夜には満天の星空を眺められます。

遮るもののない広い空、田畑の向こうには日本百名山の一つにも選ばれている名峰、妙高山! 「越後富士」という別名に納得の壮大な景観です。

訪れたのは4月。つくしや草花を摘む子どもたちをみて、幼いころ私もこんなふうに遊んだなぁと懐かしい気持ちになりました。

 

|清里いばしょベース Cha-ya(ちゃや)

 

 

 「清里いばしょベース Cha-ya(ちゃや)」は、のどかな農村集落にあります。外観は築年数を感じますが、中に入ると、昭和の日本家屋らしい趣は残しつつも、新しい木の香りがする明るくて温かな雰囲気。昔ながらの座卓のまわりにふかふかの座布団が並べられた室内は、思わずごろりと寝っ転がりたくなります。

  Cha-yaは、多世代が集まり交流する「こどもを中心とした多世代の交流拠点」になることを目指して、2024年3月にスタートしました。こどもや多世代の交流スペース、子ども食堂、農家民宿、コワーキングスペースと、様々な役割を担う場所になっています。

 建物は、自宅の隣にあった空き家を買い取って改装したのだそう。改装前の写真を見せていただくと、室内は残置物も多く、空き家期間が長かったことが伺えました。ここからこんなに素敵な空間になるとは! まさにリフォームのテレビ番組のよう!

 「費用を抑えるために、できることは自分たちでやりました」と笑う高木さん。小さな子どもをかかえながらのそのパワーに脱帽……!

 高木さんは、北海道出身。大学進学に伴い上京し、移住前は、福祉関連のソーシャルベンチャー企業に務めていました。出産を機に、「子どもには自然豊かな場所でたくさんの刺激を五感で感じさせたい」と2021年にご家族で新潟県上越市に移住。地域おこし協力隊員として農業・農村振興に取り組んできたのち、ちゃやをスタートしました。夫の真二郎さんは上越市内で小学校の先生をしています。

 地域とつくる「多世代交流拠点」を掲げるCha-yaには、寄付によって集まったおもちゃや本がたくさん! 子どもたちはどんな高級旅館よりも居心地よさそうに遊んでいました(笑)。

 2階はコワーキングスペースになっています。Wi-Fi装備でプリンターも備わっており、快適な環境で仕事をすることができます。仕事中は、保育士の資格も取得している高木さんが、おもちゃに夢中の子どもたちを見守っていてくれました。ときおり、子どもたちの楽し気な声が聞こえてきて、幸せな気持ちになります。

 午後になると、授業を終えた小学生が遊びにやってきました。ふと窓の外を見ると、新しいコミュニティに入ることが苦手な息子が、小学生のお兄さんと一緒に楽しそうに遊んでいてびっくり!

 平日は「こどもたちの居場所」として開放しているCha-yaには、放課後に子どもたちが集まって、宿題をしたり遊んだり自由に過ごします。私の滞在中も、訪れた小学生たちが室内でゲームをしたり、ピアノを弾いたり、Cha-yaの庭で遊んだり、思い思いに過ごしていました。

 食事は、高木さんご家族と一緒にいただきました。地元産の新鮮な食材をたっぷり使ったメニューはヘルシーかつ絶品! 普段、野菜はなかなか食べない息子も、もりもり食べていました。この時期の上越の名物でもあるメギスのフライは、兄妹で争って食べていました。

 私がすっかり気に入ってしまったのが「とう菜(とうな)」。今回初めて食べたのですが、上越では春の訪れを感じさせる食材として親しまれている伝統的な野菜なのだそう。雪の下で育つことで甘みが増す、雪国ならではの野菜で、シャキシャキとした食感とほのかな甘みがクセになるおいしさなんです。

|地域で運営する「こども食堂」子どもを軸に繋がるコミュニティ

 最終日、Cha-yaで、こども食堂が開催されるとのことで私たちも参加させていただきました。こども食堂の開催はこれが2回目。3月に開催された第1回には、地元の清里小学校の児童や保護者を中心に、なんと100人以上が訪れたのだそう。

 朝から地域の方々が調理の手伝いに次々とやってきて、なんだか楽しげな雰囲気に娘も息子もそわそわしていました。

 地元の大学生がたくさんのボードゲームを抱えてやってきました。子どもの年齢に会ったボードゲームを提案してくれて、ルールを説明しながら一緒に遊んでくれます。

 次々に子どもたちが集まり、Cha-yaに子どもたちの声が溢れます。お昼が近づくと、保護者や、地元住民も続々と訪れ大盛況に。

 メニューは地元の農家さんや会社から寄付された食材を使ったカレーライス。 お米ももちろん清里産。「はじめまして」の私の子どもたちにも、地元の方々が温かく話しかけてくれます。

 地元の小学生とすっかり仲良くなって、一緒にカレーを食べる息子のこの笑顔! この短い日数の中で、人見知りの息子の中で大きな変化があったのを感じました。

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