今回の田舎暮らしの「困ること」は、購入したらジメジメの土地だったという土地選びの問題。売地における見学の注意点をベテラン田舎暮らしライターが教えてくれます。
約1000坪で300万円の安い土地を見つけました。翌月、その近くを通ったとき事務所に電話したら、
「いま営業マンはいませんが、私でよければ案内します」と事務員。見晴らしのいい土地で気に入りました。私は即決即断するタイプなので、すぐに申し込みました。2カ月後に足を運んだら、雨で湿地のような状態。さらに、冬は北斜面の進入路が雪で埋もれ、現地へ着くのがやっとです。物件見学の注意点を教えてください。
東京都在住 陣内さん●28歳
アポなしの見学は失敗の原因にも
都会の人が田舎に出かけると、ピクニック気分になりがちだ。その延長で「近くにきたから案内して」と、陣内さんのようにアポなしで訪問する人がいる。
田舎に事務所を構える不動産業者の多くは零細企業で、いつでも物件概要を説明できるスタッフがいるとは限らない。仮に契約となれば宅地建物取引士が説明するが、物件案内だけなら事務員でも法的に問題はない。しかし、境界を間違えたり、簡単な説明すらできないケースもある。それだけで物件の良し悪しを判断するのは、危険な行為なのだ。
その土地の欠点は悪天時に見えてくる
その見学方法で購入を即断した陣内さん。2カ月後に現地を訪ねたら、ジメジメの湿地になっていた。好天時に見晴らしのいい土地を見学すれば、誰しも目を奪われる。しかし、その土地の欠点は悪天時でないと見えてこないもの。特に問題になるのは水の流れだ。周りより低い土地で水が集まってきたり、粘土質のため湿地になったり、沢が増水する場所もある。一般の人が地形や地質でそれを見抜くのは、かなり難しい。
それでなくとも、田舎の土地を見学するときはさまざまなチェックが必要。上の図に主なものを挙げたが、即決即断では見逃す可能性が高い。
せめて2~3回、うち1回は天気の悪いときに見るのが賢明だ。ただし、水が集まるから悪い土地というわけではなく、工事で水の流れは変えられる。不安があったら、業者から詳しく説明を受けるといい。
雨だけでなく、雪の影響も現地へ行かないと判断しにくい。特に雪国の物件を買う人は、冬に見学するのが正しいやり方だ。
文・写真/山本一典 イラスト/関上絵美
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