どんどん秋も深まってきました。今回は食の専門家であるスギ アカツキさんに、身体に優しく美味しい「食欲の秋」におすすめのレシピを教えてもらいました。
“万能手羽先出汁”で美味しく健康に
「秋といえば、焼き魚や炊き込みご飯が気になりますよね。もちろんどちらも魅力的なのですが、私がおすすめしたいのは、万能の素を作り始めることです。少しずつ寒さが増してくるこの季節から、鍋やお味噌汁が恋しくなってきますが、鍋つゆや美味しい出汁(だし)を買うと高かったり使い切れなかったりしますよね」(スギ アカツキさん。以降省略)
確かに、鍋の素を「今日はどの味にしようかな」と選ぶのも楽しいのですが、地味に高かったり、1~2人暮らしだと多すぎたりした経験があります。
節約のために鍋をやろうと思っても、最近は野菜も高いですし、結果的に高くついてしまっては本末転倒です。そこで、ご紹介したいのが万能出汁。美味しい作り方をスギ アカツキさんに伺いました。
|万能手羽先出汁
「手羽先を使うのですが、お湯にネギと生姜、塩、酒と一緒に入れて、1時間ほど茹でるだけ。手羽先からコラーゲンスープが出て美味しいんです。火を止めてから昆布を入れるのもおすすめです。昆布は最初から入れると苦みが出てしまうので、低温で抽出するためにも火を止めてからにしてくださいね。大量に作って小分け冷凍しておけば、鍋はもちろん、様々なスープのベースに使うことができます」
冷凍で保存して都度使えるのは便利ですね!
「手羽先の肉は1時間煮込むことで、ほろほろになるので、ほぐしてスープと一緒に冷凍しても良いですし、別の料理に使っても良いですよ。
この万能手羽先出汁をベースに、それぞれ下記のものを加えるだけで鍋のもとがいくつも作れます」
◆醤油:醤油・みりん・酒
◆キムチ:コチュジャン・キムチ
◆味噌:味噌
◆塩:塩・みりん・酒
「ニンニクチューブを加えても美味しいですね」
鶏肉と昆布の旨みが存分に抽出された出汁は、想像するだけでも美味しそうです。家にある調味料を加えるだけで鍋の素に変身するのも手軽ですね。
「さらに、炊き込みご飯・お味噌汁・カレーなどにも使うことで美味しさが増しますよ。インスタントラーメンをこの出汁で作ってもとても美味しくて感動しますよ!」
鰹出汁は冷凍すると臭みが出てしまうのですが、鶏肉と昆布出汁なら冷凍しても問題ないのだそう。
「それから、ポイントは手羽先を使うこと。手羽元でもやってみたことがありますが、少し臭みが出てしまいます」
たんぱく質補給にもなるし、風邪の予防も期待できるとのこと。スギアカツキさんのご家族はこの出汁を使った料理を日々食べているからか風邪知らずだといいます!
漬け魚=焼かないといけないわけじゃない
「焼き魚が美味しい季節ですが、グリルを洗うのが面倒だったり、そもそもグリルがなかったりする家もあると思います。そんな時にも手軽に魚が取れる方法があります。スーパーでも売られている粕漬けの魚を美味しく食べる方法です」
|西京漬けの蒸し焼き
「フライパンに、もやしやキャベツ、キノコなどを敷いて、その上に漬け魚を乗せて少し水を入れて蒸すだけ。グリルを洗う必要がなく、フライパンひとつで完成します。油を使って焼くのではなく、“蒸す”から健康にも良いですし、一緒に野菜も摂れて何より美味しいんです。西京漬けでも麹漬けでもどんなお魚でも良いですし、野菜もカット野菜でも良いから手軽です。完成したらポン酢をかけても美味しいですし、野菜の部分に焼肉のたれをかけても美味しいです。工夫次第で味変も楽しめますよ!」
確かに漬け魚=焼くものだと思い込んでいました。特に麹は焦げやすいので焦げたフライパンを洗うのも面倒だな……と敬遠していましたね。この調理方法ならハードルが下がるのでもう少し魚を食べる頻度が増えそうです!
スギ アカツキさん
食文化研究家、スーパーマーケット研究家。
東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを幅広く学ぶ。在院中に方針転換、研究の世界から飛び出し、TV、ラジオ、雑誌、ウェブなどの各種メディアで活躍中。国内外の食情報にも詳しく、食テーマについてのやさしく、わかりやすい説明に定評がある。
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この記事を書いた人
松本果歩
インタビュー・食レポ・レビュー記事・イベントレポートなどジャンルを問わず活動するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり店長を務めた経験あり。日本酒・焼酎・発酵食品が好きで国際唎酒師(日本酒)・焼酎唎酒師・発酵マイスター資格保有。
Twitter:@KA_HO_MA
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