ベテラン田舎暮らしライターが答える、田舎暮らしの「困ること」。土地や物件探しの際にぜひチェックしておきたい周辺環境についてチェックポイントを教えます。
車の免許がないので、交通の便がいい物件が希望。ゴルフ場もある町で、バスを使える売地を見つけました。高圧線は見えましたが、南側が開けていて、北側は200mほど離れて雑木山が控えています。購入して1年後に家を新築し、夫婦で定住。ところが、冬に変な臭いが漂ってきました。臭いをたどると、木立の向こうに大きな畜舎が。販売した都会の業者は、「養鶏場があることは私たちも知らなかった」と言います。他人に売却もできず、困っています。
栃木県在住 飯田さん●35歳
迷惑と思うものは事前にマークすべし
俗に、迷惑施設と呼ばれるものがある。産廃処理施設が代表的だが、どれだけ迷惑かは主観的な問題。一概に決めつけられるものではない。
例えば、飯田さんが見かけた送電線。まったく気にしないで鉄塔の近くに建築する人もいれば、小児がんや白血病にならないかと疑う人もいる。法的には一定の離隔距離を保てば建築が可能で、その数値は最長でも10.05m。田舎暮らしを始める人が、そんな狭い土地利用をするとは考えにくい。むしろ鉄塔が見える、近くに送電線があるということで、心理的に嫌悪感を持つ人がほとんどだ。気になる人は、見学前に「近くに送電線はないですか」と確認しておこう。
ゴルフ場も同様で、近くにあっても気にしない人もいれば、農薬の影響を気にする人もいる。最終的には水質検査するしかないが、汚水を少し離れた下流で放流するケースもあるので、同じ水系にある土地は用心したほうがいい。
物件の周辺環境を自分で調べることも大切
飯田さんは定住後、養鶏場の存在に気が付いた。冬の北風に乗って悪臭が漂い、雑木林が落葉したことで初めてわかったのだ。山奥に大きな施設はないと思いがちだが、農業施設は珍しくない。業者に告知義務はあるが、どの距離までという基準は不明瞭で、個別に判断するしかない。
せめて半径300mくらいの周辺環境は、自分でチェックすることも大切(上記の図参照)。その地域の住宅地図を見るのも、1つの方法だ。ただし、公共施設や農場はすぐにわかるが、産廃処理施設は「○○産業」「○○農林」といった紛らわしい名前もあるので、注意したい。
文・写真/山本一典 イラスト/関上絵美
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