掲載:2021年7月号
春蒔き夏穫りのほか、タマネギ収穫後の夏蒔きもオススメ
育てやすくおいしいズッキーニ。生育が早く、5月に植えると夏の最初に穫れるうれしい果菜(かさい)です。さらに7月に種蒔きすると秋にもフレッシュなズッキーニが楽しめます。いちばんのコンパニオンプランツはタマネギ。初夏の収穫から晩秋の植え付けまで、タマネギ連作の空いた期間に7月蒔きのズッキーニをリレーして育てると、それがタマネギ植え付けの準備にもなります。
秋穫りのズッキーニをタマネギとの交互連作で
ズッキーニはキュウリに似ていますが、つるなしカボチャの一種で「ペポカボチャ」に分類されます。日本で古くから栽培される金糸瓜(きんしうり、 別名そうめんかぼちゃ)も同じ仲間です。イタリア料理やフランス料理でよく使われ、国内では1980年代に広まり、今ではポピュラーな野菜になりました。完熟果を食べるほかのカボチャとは異なり、開花後5〜7日の若穫りした未熟果を食べます。
ズッキーニは親づるが1.5〜2mほどに伸びるだけなので比較的場所をとらず、育てやすいです。コツを知れば、実が溶けたり、大きくなり過ぎることもなく、ちょうどよい実がたくさん穫れます。
5月定植または4月〜5月の直蒔き夏穫りが一般的ですが、7月蒔きすると秋にもフレッシュでおいしいズッキーニが穫れます。7月蒔きは特にタマネギの後地がおすすめです。ズッキーニの収穫を終えた後、タマネギを無肥料で植え付け、毎年同じ畝で休まずにズッキーニとタマネギの交互連作ができます。
品種選びのアドバイス
家庭菜園には固定種がおすすめ! 複数品種の個性を味わうのも楽しみ
家庭菜園には次々に実がなり収量の多いF1品種よりも、実付きがそこそこで、うどんこ病に比較的なりにくく、味のよい固定種がおすすめです。品種によって食味はさまざま。それぞれにおいしい食べ方があります。畑に余裕があれば、いくつかの品種を試してみるのも楽しみです。
コスタータロマネスカ(上の写真参照)
イタリアの伝統品種。コリッとして味がよい。大きな花を花ズッキーニとしても食べられる。
ゴールドラッシュ
きれいな黄色い実がたくさん穫れる固定種。みずみずしい食味で、ラタトゥイユにするとトマトの赤との色みも楽しめる。
ブラックビューティー
育てやすい固定種。みずみずしく、若穫りをスライスして塩もみや、漬物にしてもおいしい。
ズッキーニの主なコンパニオンプランツ
タマネギの収穫と植え付けの間にズッキーニを育てて、お互いの生育を助ける
タマネギ
効果
畝(うね)の水はけをよくするとともに病虫害を予防して、後作(あとさく)のズッキ ーニがよく育つ。ズッキーニの後にはタマネギを無肥料で植え付けできる。
栽培のポイント
タマネギ収穫後にズッ キーニを夏蒔きし、これを収穫した後、タマネギを植え付けて交互連作する。タマネギの栽培適期を優先し、間作として夏蒔きのズッキーニを育てるのがコツ。
収穫のポイント
畝の7~8割の茎が倒 れたら、晴れが続いて土が乾いた日に一 斉収穫する。
葉ネギ
効果
ズッキーニのつる割れ病を防ぐ。
栽培のポイント
ネギクラツキのネギは、ズッキーニの種蒔き時には刈り、定植時には植え替える。そのまま育てるとズッキーニがネギに負けてしまう。
収穫のポイント
根元を残して葉をハサミで切り穫る。
ナスタチウム
効果
アブラムシなどの虫害を避ける。
栽培のポイント
ズッキーニの種蒔きまたは定植と同時に、株間に1株を植え付ける。
収穫のポイント
エディブルフラワー(食用花)として利用。花の付け根や葉にはワサビのような辛味があり、少量を薬味のように使ってもよい。
エダマメ
効果
エダマメの根に付く根粒菌が空中の窒素を固定し、土中に菌根菌のネットワークが発達してズッキーニの養分吸収を助ける。
栽培のポイント
ズッキーニを植え付ける1週間前 、畝の通路側に1カ所3粒ずつ種蒔きする。
収穫のポイント
ズッキーニの収穫が本格的になる前に、エダマメを収穫する。
ズッキーニ⇔タマネギの配置例
収穫や片付けと同時に植え付け、お互いに間を置かず連続して育てる
タマネギを抜き穫ったら間を置かず、抜いたところを一斉にズッキーニを種蒔きまたは定植する。場合によっては、タマネギの収穫前に一株早穫りし、そこにズッキーニを種蒔きしてもよい。
風通しが悪いとうどんこ病やカビが発生しやすいため、株間は充分に空ける。茎が1~1.5mに伸びて這うので畝幅が狭いなら畝の片側に植え、空いた方向に育てる。
秋はズッキーニを早めに終わらせ、その後地にタマネギを植え付けて草マルチを敷く。刈り取ったズッキーニの株は刻んで草マルチとしても活用する。
監修/竹内孝功
たけうち・あつのり●1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『とことん解説! タネから始める 無農薬「自然菜園」で育てる人気野菜 』( 洋泉社) 、『 完全版 自給自足の自然菜園12カ月 野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』『自然菜園で育てる健康野菜』(宝島社)、『これならできる!自然菜園』(農文協)、『自然菜園で野菜づくり』(家の光協会)、『1 m²からはじめる自然菜園』(学研パブリッシング)など。
WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/
自然菜園スクール http://www.shizensaien.net/
文・写真/新田穂高 イラスト/関上絵美・晴香
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