憧れの田舎暮らしを叶えるために
田舎暮らしを夢見たら
畑に出る。日々たくましく働く。ランニングで出会った村人には明るい声で挨拶する。さすれば、おおっ、コイツただの甘い憧れモノ、ひ弱な都会人なんかじゃねえな、オレとどっこいの強さだな……。これでもう立派な村人の一員だ。
日本選手の大リーグ移籍に例えればよく分かる。異国のグラウンドに立つ選手にとってチームメイトとの和、親睦は大切である。
しかし彼らはライバルでもある。彼らと同格の成績を残すか上回るかしないと出場枠には入れない。新しいグラウンド(移住地)に立ち、チームメイト(村人)に、コイツやるじゃないか……。そう思わせることができたらOK、“すごすごと”都会に帰る必要なぞあるはずもない。
田舎暮らしを夢見たらすぐさま日々の運動習慣を定着させよう、骨や筋肉を鍛えておこう。必ず朝の挨拶をしよう。僕のアドバイスはそれゆえである。
1.8×8メートルのトンネルを仕立てて人参をまく。スコップと鍬で深く起こし、ゴロ土は丁寧に手でほぐす。
新しい年の初め、新しい行動を起こす。元日も僕は毎年ふだん通り働く。手始めはビニールトンネルに人参をまき、ジャガイモを植える。キャベツやブロッコリーの苗を部屋の中で作る。電気カーペットを敷く。その上にベビーバスみたいな箱を置く。中にタネを落としたポットを並べ毛布を掛ける。電気を通すのは夕刻から翌朝9時頃まで。庭に運び出して光に当て、3日に1回くらい水やりする。発芽して2センチほどになったら土増しして成長を促す。これでもってキャベツは4月収穫が可能だ。人参、ジャガイモも収穫開始はキャベツとほぼ同じ頃。あれこれの工夫。手間はかなり、でも面白い、飽きることなし。
田舎暮らしとは“美しいが厳しい”自然環境の中で365日、飽きずに楽しく、マイペースで生活すること。経験を積めば多くの食料も自給できる。その豊かな食べ物と少々ハードな日々の労働、それが心と体の若さを約束してくれる。年の初め、理想の物件に出会えるアナタの幸運を祈りたい。
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この記事を書いた人
中村顕治
【なかむら・けんじ】1947年山口県祝島(いわいじま、上関町・かみのせきちょう)生まれ。医学雑誌編集者として出版社に勤務しながら、31歳で茨城県取手市(とりでし)に築50年の農家跡を購入して最初の田舎暮らしを始める。その7年後(1984年)の38歳のとき、現在地(千葉県八街市・やちまたし)に50a(50アール、5000㎡)の土地と新築同様の家屋を入手して移住。往復4時間という長距離通勤を1年半続けたのちに会社を退職して農家になる。現在は有機無農薬で栽培した野菜の宅配が主で、放し飼いしている鶏の卵も扱う。太陽光発電で電力の自給にも取り組む。
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